第10回<一般部門>結果発表
第10回角川つばさ文庫小説賞〈一般部門〉は、
最終候補作4作品の中から、選考委員のあいはらひろゆき先生、
宗田理先生、本上まなみ先生による議論の結果、
下記の作品が金賞と特別賞に選ばれました。
一般部門受賞作品
- ストーリー
- 「あたしと、バドミントンのダブルスを組もうよ!」
内気でおとなしい性格の小学5年生・ことりに声をかけてきたのは、大会に出るためのパートナーを探していた、転校生の奈央(なお)。左利きで背が高いことりは、バドミントンで有利らしい。スポーツは続いたことがなく、もう絶対にやらないと決めていたが、奈央の明るさと熱意に少しずつ心を動かされ、勇気を出して二人で大会に出ることに。見た目も性格も正反対ーーだからこそ、強くなれる! そしてむかえた大会初戦、勝負のゆくえは……!?
- プロフィール
- 香川県出身、大阪府在住。小説も読みますが漫画はもっと読みます。バドミントンについて、いちから勉強中。運動不足解消とアイデア出しのために、しょっちゅう散歩しています。
- 受賞の言葉
- このたびは素敵な賞をいただき、誠にありがとうございます。選考にたずさわってくださった全ての方々に、心よりお礼申し上げます。
子どものころ、体を動かすことが苦手でした。というか、大人になった今も苦手です。でも、スポーツを見ることは好きです。アスリートのインタビュー記事やスポーツ漫画を読むことも好きです。そして小説を書き始めてからは、いろんなスポーツを題材にしてきました。なかなか良い結果には結びつきませんでしたが、自分なりにスポーツを描くことがどんどん好きになっていきました。『好き』にもいろいろな形があっていいと思っています。
今回受賞した作品では、スポーツ嫌いの主人公がもうひとりの主人公との出会いをきっかけに一歩を踏み出し、バドミントンのペアを組むことで変わっていきます。同じように、苦手なものや興味がないものを『好き』に変えてしまう出会いは、誰にだってきっとあると信じています。
そんな出会いを、新たな『好き』を手に入れるきっかけとなるお話を、読者のみなさまへお送りしたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします!
- ストーリー
- ねぇ、知ってる? うちの中学で、怪事件に巻きこまれたら、イケメンの先輩が助けてくれるってウワサ。
ある日、図書室で幽霊に出くわしてしまった、わたし、夜野目柊(やのめ しゅう)。そんなわたしの前に現れたのは、ウワサの人物。どんな怪異の正体もあばいてしまう"怪異潰(つぶ)し"こと、感崎(かんざき)先輩で――。怪異なんて、存在しない? でも、わたし、視たんです! 視えない先輩と視えるわたし。力をあわせて怪事件にいどめ!
- プロフィール
- 都会とも田舎ともいえない地方出身。カフェオレ好き。
- 受賞の言葉
- ノーベル賞を取ってインタビューを受ける空想とか、オリンピックで金メダルを取った後に記者会見を開く空想などを、普段からよくします。
なので角川つばさ文庫小説賞を受賞したら、受賞のことばでどんなことを書こうかなとは、ちらほら考えてもいたんです。
でも、いざ実現してみると筆が進みません。なんかこう、おしゃれでイイ感じなことを書きたいんですが、おしゃれでイイ感じなことを思いつけなくて。
そういえば空想の中で、記者会見で質問に答えていたときも、話す内容がヒドすぎて、お茶の間を引かせていました。
なのでここはシンプルに、飾らず、感謝の念を記すことにします。
このたびは特別賞という名誉ある賞をいただき、感激にたえません。本当にありがとうございました。
選考委員選評
- プロフィール
- 作家。著書に「くまのがっこう」「がんばれ!ルルロロ」「クローバーフレンズ」など。
- 選評
- 今年は角川つばさ文庫小説賞が始まって10年目。記念すべき年にふさわしいたくさんの作品を応募いただきました。1回目から審査に関わっている人間としては、この賞が大きく花開いて、たくさんの才能ある作家がこの賞から生まれたことを感慨深く思います。
さて、栄えある10回目に「金賞」を射止めたのは平河ゆうきさんの『凸凹バドバード』です。角川つばさ文庫小説賞ではめずらしい、スポーツを題材にしたものです。しかもバドミントンという日本も強豪国であり、子どもたちにはとても馴染みのあるスポーツを題材にした点が新鮮でした。内容は個性のまるで違うふたりの主人公の心温まる強い友情とバドミントンへ向かうまっすぐで純な思いが生き生きと描かれています。スポーツをやっている子たちだけでなく、全ての子どもたちの心に届く友情物語です。また作家の確実な筆致もすばらしく、高い才能を感じさせます。角川つばさ文庫でのこれからの活躍が大いに期待できます。
次に「特別賞」の星奈さきさんの『感崎零の怪異潰し』です。これもつばさ小説賞ではとても異色の作品です。少し上の読者が読む内容だとも言え、角川つばさ文庫小説賞として賞を与えるべきか、かなりの議論になりました。ただ、星奈さんの独特で切れ味のある文体、言葉遊びなどを駆使したこれまた作者特有のリズム感など、確かな才能を感じさせる作品であり、10年を迎えた角川つばさ文庫小説賞が新たな成長と拡がりを目指すという意味でこういった作品を角川つばさ文庫として押し出していく挑戦があっていいのではという結論に至り、「特別賞」の受賞になりました。その意味では、角川つばさ文庫の読者に届かせるためには課題もある作品ではありますが、それを解決してぜひ、新しいつばさの顔になっていってくれると信じています。
最後に、残念ながら賞を逃した2作品ですが、ファッション、小説というテーマもおもしろく、角川つばさ文庫つばさの読者に好まれる恋愛を軸にした内容ではありますが、少し新鮮さや物語の躍動感に欠けた部分はありました。次作に期待します。
- プロフィール
- 作家。代表作は『ぼくらの七日間戦争』。「ぼくら」シリーズは角川つばさ文庫でも大人気。
- 選評
- 今年の最終候補4作品は、どれも読みやすく上手にまとまっていた。だが全体的に小粒で、角川つばさ文庫がターゲットとしている小中学生の読者を小説の世界にぐっとひきこんでいく力が少し弱かったように思う。
金賞の、バドミントンを題材に女子小学生の友情と成長を描いた『凸凹バドバード』は読後感が爽やかな秀作だった。対照的な性格の主人公とパートナー、ライバルの双子姉妹など、各々のキャラクターが立っていて感情移入しやすい。試合の描写や決着のつけ方もうまく、続きが読みたくなる。ただ、テーマがテーマなだけに、読者にどこまで興味を持ってもらえるかは未知数。主人公ペアの友情などにもう少し焦点を当てると、広く読んでもらえるようになるのではないか。
『感崎零の怪異潰し』は、霊の視える女の子と霊は視えないが怪異にくわしい男の子のコンビが、学校の不思議な出来事の謎を解き明かしていく新感覚の学園ミステリーだ。テンポの良い会話とともに次々と事件を解決していく様は小気味がいいが、若干強引で無理のある展開もあった。作品全体としてはやや物足りなかったが、作者のオリジナリティと意欲を買って特別賞に選んだ。
『王子様のレッスン』はリズム感があり軽快で、多くの読者に受けると思うが少々新鮮味に欠ける。服作りのノウハウやファッション業界に関する具体的なエピソードがあれば、より読みごたえのある物語になっただろう。
『私が小説を書くときは』は主人公の心理描写等がきめ細かく書けていたが、内容が恋愛に偏りすぎていた。小説家を目指すストーリーなら、主人公が挑んでいる小説についてくわしく魅力的に描いてほしかった。
角川つばさ文庫小説賞も今回で10回目になるが、全般的に学園もの、恋愛ものの応募が多い印象を受ける。レーベルの裾野を広げるためにも、普段あまり本を読まない子どもたちを振り向かせるような、わくわくする作品にもっともっと挑戦してほしい。
- プロフィール
- 女優、タレントとして活躍するほか、エッセイや絵本などの著作も多数。
- 選評
- 『凸凹バドバード』はバドミントンに打ち込む少女奈央の姿が魅力的でした。背は高くないけれど走るのが得意、という強みを発揮した試合のシーンは、鮮やかで迫力あるものでした。一心にシャトルを追い続ける様子からは、スポーツは身体だけでなく心も鍛えられるということが伝わります。パートナーのことりをはじめ、個性豊かな仲間と共に切磋琢磨しながら成長していく姿は清々しく、子どもたちにもぜひ読んでもらいたいと思いました。
『感崎零の怪異潰し』は主人公柊の個性的な人物像に惹きつけられました。延々と続くひとり言、目の前にいる友だちとの会話にも時差が生じてしまうといった不可思議な間合いも面白い。いくつかの怪異現象をパートナーの零と協力して解決していきますが、途中で難航したりする場面もあると、よりドキドキが増すかもしれません。多くの可能性を秘めた作品だと思いました。
残念ながら贈賞とはなりませんでしたが『私が小説を書くときは』は、設定も物語の展開も明快でとても読みやすい作品でした。“学園×恋愛”もの。すでに多くの作品がある、このジャンルに果敢に挑戦、最終選考に残られたのは立派です。主人公伊鶴のこつこつ小説を書く姿勢や繊細な心の動きが丁寧に描かれていました。効かせたい響かせたい言葉は、数を絞ったほうがより効果が出ると思います。
私服がださい女の子が主人公、という設定が良かった『王子様のレッスン』。ファッションセンスを磨くのは難しく、お金をかけて失敗してというのは「初心者あるある」で共感できました。ただ、序盤から原宿へひとりで繰り出し、偶然お洒落なお節介兄さんに遭遇、という展開は唐突すぎてもったいなかった。描きたいものが明確で、的を絞って一作書き切るだけの力は十分ある方だと感じましたので、お話にほんの少しリアリティを持たせるための調整を心がけると良いと思います。「偶然」は取扱注意。おふたりの次作に期待しています!
一般部門 3次選考通過作品
感崎零の怪異潰し |
星奈咲 |
私が小説を書くときは |
富升針清 |
凸凹バドバード |
平河ゆうき |
王子様のレッスン~中一女子がおしゃれになる方法 |
小坂まな |
一般部門 2次選考通過作品
わたし幽霊になっちゃった!? |
じゅんれいか |
感崎零の怪異潰し |
星奈咲 |
ざ・ちぇんじ☆児童会!? |
成井露丸 |
私が小説を書くときは |
富升針清 |
監督は宇宙人! 地球の少女は夢を見る |
荒居あけみ |
凸凹バドバード |
平河ゆうき |
だから空を見上げる |
東山未怜 |
怪獣のまち |
立花鏡河 |
集まれ、ようかい保健室! |
三倉周 |
わんこな彼と、オタクな私 |
石丸明 |
裏SOSアプリ |
夢乃ひいろ |
スプーキーハウスでお待ちしております |
それいゆ星氷店 |
王子様のレッスン~中一女子がおしゃれになる方法 |
小坂まな |
ロズウェル☆ユニオン |
青龍明良 |
カミワザお見せします! |
三ツ沢ひらく |
一般部門 1次選考通過作品
幽霊の正体見たり・・・? |
ことさわみ |
かみかくし |
荒居あけみ |
タビィと星に祈る |
コトリツグミ |
わたしたちは夢限大! |
藍木月 |
なくしもの国からのお客さま |
あかまつまゆか |
雅とナマケと妖怪退治! |
清水咲良 |
アラン先生は魔法使い! 〜思いは魔法に勝てますか!?〜 |
はづきあかり |
わたし幽霊になっちゃった!? |
じゅんれいか |
アンリ千紀 |
源宵乃 |
ふしぎメガネとひみつのカフェ |
乃木ちひろ |
感崎零の怪異潰し |
星奈咲 |
ざ・ちぇんじ☆児童会!? |
成井露丸 |
私が小説を書くときは |
富升針清 |
マジックバトル |
東山れん |
優日と地の底の魔獣 |
大空なごむ |
盲導竜の照らすあかり |
式さん |
かわいくなりたい魔女とシンデレラネイル |
はなぶさ よ |
監督は宇宙人! 地球の少女は夢を見る |
荒居あけみ |
ファンタジービースト |
虎影百合子 |
星が丘カルテット! |
榛名しいか |
空へ大脱出 |
時田 |
ユニコーンへ歌う |
和泉瑠璃 |
凸凹バドバード |
平河ゆうき |
*はなかご* 〜死神の弟子は苦労がいっぱい〜 |
あまかわかおり |
ショータイム |
クロノエイト |
だから空を見上げる |
東山未怜 |
ぼくが、わたしになった日 |
木城まこと |
姫川中学校歴史研究同好会 −呪われし少女と祝福の女神− |
多賀モトヒロ |
ゲートキーパー |
京谷湊人 |
魔女っ子キラキラハンティング |
佐藤綾音 |
古国の末姫と加護持ちの王 |
空月 |
ガラスペンを透かせば、君が |
深水千世 |
イナカマチ番犬奇譚 |
石動なつめ |
怪獣のまち |
立花鏡河 |
グッド・ナイト |
霜月はつ果 |
星石と宙獣 |
螺子巻ぐるり |
おいでませ!変なモノ博物館! |
糸内ゴウ |
おばけの赤ちゃん 預かりました |
おしろかおる |
「笹の葉さ〜らさら♪」 |
支織つづり |
音と魔法と恋の歌 |
桃実ユキ |
猫っかぶりクインテッド |
CHIBI |
集まれ、ようかい保健室! |
三倉周 |
わんこな彼と、オタクな私 |
石丸明 |
ストレンジ・アクターズ |
それいゆ星氷店 |
スプーキーハウスでお待ちしております |
それいゆ星氷店 |
ツクモ鉄道観光列車 |
吉田宙石 |
鈴之瀬ソリューションズ! |
澤村哲弥 |
蝶よ花よ −オロチと初恋の約束− |
星野らんせ |
裏SOSアプリ |
夢乃ひいろ |
命と引きかえに願いを叶える悪魔を捕まえました! |
じゅんれいか |
Ψキッズ! |
関山裕子 |
王子様のレッスン〜中一女子がおしゃれになる方法 |
小坂まな |
中学生ユーチューバーの心霊スポットMAP |
じゅんれいか |
オーマイロボット! |
てるま@五分で読書発売中 |
ロズウェル☆ユニオン |
青龍明良 |
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