角川つばさ文庫小説賞

第4回<こども部門>結果発表!

第4回<こども部門>結果発表!

第4回角川つばさ文庫小説賞は、312本の作品を応募いただきました。
どうもありがとうございました!
半年にわたる選考の結果、下記の28名のみなさんが受賞されました。
受賞されたみなさん、おめでとうございます!
第5回角川つばさ文庫小説賞の募集期間は、
2016年7月1日(金)〜2016年8月31日(水)になります。
今年も、あなたの作品を、お待ちしております!

こども部門受賞作品

グランプリ

ふしぎなかんらんしゃ

SARA(小学5年)

ストーリー
町にやってくる移動遊園地。そこにあるかんらんしゃには3色のゴンドラがついています。けがをしてサッカーができなくなってしまい、落ち込んでいた男の子が水色の2番のゴンドラに乗りました。すると、憧れのサッカー選手がけがに負けずにリハビリをする姿が目の前にあらわれて──!?
選評
けがをしてサッカーができなくなってしまった男の子、死んだお母さんに会いたいと願う女の子、いじめに苦しむ女の子。3人の主人公が、かんらんしゃにのって不思議な体験をし、成長する姿がていねいに描かれていますね。「人は変わることができる」というメッセージが伝わってきます。どんなお話にするか、時間をかけて考えたのではないでしょうか。構成がしっかりしています。特に3人めの女の子のお話は、森での暮らしを通じて自分に自信をつけるという展開におどろきました。
グランプリ

部品屋

寒空小春(中学3年)

ストーリー
「わたし」は1枚のチラシを見つけます。そこには「部品屋 人間の部品 売ります」と書かれていました。好奇心旺盛なわたしは、部品屋が入ったビルに向かいます。店主は、自分のからだの一部をお店にあるものと交換できると言います。そこで、わたしが自分の顔を交換してみると──!?
選評
「人間の部品 売ります」なんて言われたら、ぞっとするけれど気になりますよね。「ぱっちり二重の目になりたい」「小顔になりたい」「色白になりたい」……自分の見た目に対するコンプレックスは、だれにでもあります。もし自分の一部を換えられるとしたら──? 主人公がどんな選択をするのかが気になりながら読みすすめました。「もっと、もっと」と、どんどん大きくなる人間の欲望が上手に描かれています。記憶を換えてほしいと主人公がお願いするラストに鳥はだがたちました。
特別賞(中学年の部)

はなまるくまさん ゆうなちゃんの家に行く

新堂結菜(小学4年)

ストーリー
ゆうなは、泣き虫のはるなちゃんが大きらい。一番の理由は、はるなちゃんが学校で「はなまる」をたくさんもらうと、くまのぬいぐるみを買ってもらえるから。うちのママは、ちっともほめてくれないのに。ある日はるなちゃんの家に行くと、くまのぬいぐるみがベッドの上に置いてあって──!?
選評
毎日、習い事や塾に一生懸命がんばっているゆうなちゃん。だからこそ、いつも甘えてばかりに見える友達が、なんだかにくらしく感じる……という主人公の気持ちがリアルです。「くまさん」の登場によって、自分の本当の気持ちやママの気持ち、友達のやさしさなど、これまで見えていなかった、人の心の新たな一面に気づいていく様子がとてもよく描かれています。原稿用紙6枚でこれだけの表現ができることに、ビックリしました。
特別賞(中学年の部)

おにぎり

みやざきさや(小学4年)

ストーリー
「ぼく」が歩いていると、向こうからおにぎりが歩いてきて「こりゃ、見たことない食べ物だ」と言います。「ぼくは食べ物じゃないよ」と否定しようとしたら、おにぎりの口から梅ぼしが出てきて、「それは人間といって、ぼくたちをパクパクと食べてしまうんだよ」と説明しはじめて!?
選評
いつもわたしたちがなにげなく食べている「おにぎり」が、逃げだしたら? しかもうめぼしと会話をしちゃったら? という着想が、実におもしろいですね。文章のテンポもよく、原稿用紙でたった1枚半の作品なのに、きちんと起承転結があって、キャラクターもいきいきしています。このお話が絵本だったら……とおもわず想像させられてしまいました。きっと物語と同じ、個性的でとぼけた味わいのある絵がつくのでしょう。最後のオチもきれいに決まっています。
特別賞(高学年の部)

雨の日 傘の子

三木風果(小学6年)

ストーリー
ある雨の日、傘を忘れたゆずきは走って家へ向かいます。すると目の前にひとりの女の子の姿が。その子のさしていた傘に入れてもらうと、「傘の向こうの世界」へと引き入れられてしまい──!? 女の子はゆずきに、雨が降らなくなってしまったこの世界を救ってほしいと言うけれど!?
選評
雨の日が待ちどおしくなるお話です。主人公の少年ゆずきが、ふしぎな色あいの傘から空の町へと引きいれられるシーンがすばらしいですね。色あざやかな万華鏡をのぞいているかのように、物語がどんどん広がっていきます。話をしてはいけない「雨通り」、無言でいてはいけない「晴天広場」など、世界の作りかたにセンスを感じました。ゆずきが、なにごともなかったかのように日常にもどっていくというラストも作品の雰囲気にあっていました。
特別賞(高学年の部)

河童失格!? 水太郎クン

壱良技高(小学6年)

ストーリー
水がきらいな水太郎くんのためにお母さんが用意してくれたのは、キタエマスーン先生です。苦手なことを克服させてくれると有名な先生なんですって。その効果か、すぐに水ぎらいがなおった水太郎くん。だけど友だちの水紗ちゃんから、キタエマスーン先生の悪いうわさを聞いてしまい…!?
選評
河童なのに水が苦手だという水太郎くんの設定がおもしろいですね。キタエマスーン先生がどんな特訓をしていたのかを具体的にもっと読みたいと思いましたが、実はきちんと指導せずにインチキをしていたというところを読んで、なるほどと納得しました。陸から水の中に引っ越してしまった水太郎くんは、薬がきれてしまったらどうなるのでしょう。水太郎くんを襲う悲劇に、かわいそうだと思いつつ、おもわず笑ってしまいました。この独特のセンスをこれからも大事にしてください。
特別賞「中学生の部」

団体戦 —主将と大将—

野川 葉(中学3年)

ストーリー
剣道部で団体戦の大将をつとめるさえは、自分は誰よりも努力しているからこそ強いのだという自信があります。ところが、中学生活最後となる試合のメンバー発表の日、主将の西本が、大将を別の人にするべきだと口にします。どうやらさえに対する不満があるようで──!?
選評
冒頭にでてくる、剣道の試合のシーンがあざやかで、ぐいぐいと物語に引き込まれました。一瞬の緊張感や息づかいまで伝わってきそうです。努力家のさえですが、どこかで他のメンバーを見下していたことに気づきます。先生にそのことを指摘されハッとする場面に、胸がしめつけられました。もう1人の主人公である、主将もいいですね。さえへのイライラと、それでも剣道の腕まえを認めて尊敬する心に、すがすがしい気持ちになりました。
特別賞「中学生の部」

鉱国のノスタルジー

天宮南央(中学3年)

ストーリー
ノスタルジーカが住む街では、男の人は鉱山で働きます。彼女は初めて鉱山の現場を見て驚きました。彼らは「ネグレテ」という生き物を殺し、硬くなったその体から鉱石を削り取っていたのです。ある日、彼女はケガをしたネグレテに出会います。助けようとしますが、街の大人たちに見つかってしまい!?
選評
このお話の世界では、街に住む人たちが「ネグレテ」という生き物を殺して暮らしています。私たちが生きている世界でも、戦争などでたくさんの命がうばわれていますよね。どうしたら世界中の人たちがなかよく暮らせるのだろう、と考えながら読みました。主人公はネグレテにお父さんを殺され、「ネル」と名づけられたネグレテは人間に家族を殺されています。そのネルが主人公をかばうシーンに胸が熱くなりました。

入賞

二年ごしのおみやげ

石井柚希(小学4年)

ストーリー
ひろしと妹のしずかは、遊覧船にのっていたはずなのに、気づいたら幽霊船の中にいました! そこで2年前に転校したれいかという少女と、しゃべるマリモ「マリモン」に出会います。彼らと話していると突然、百ダコという化け物があらわれて妹をさらっていってしまい!?

みらくる☆クレア〜ユラと秘密のおまじない〜

白羽インコ(小学4年)

ストーリー
魔法学校にかようクレアは、校長先生から「魔法ではないもので魔法と同じ効果を起こせ」と課題をだされます。こうして人間界に送りこまれたクレアは、少女・ユラとともに「おまじない」と「努力を忘れない心」で問題を解決しますが、校長先生から「不合格」と言われてしまい!?

ツバサを広げて

松島明里(小学4年)

ストーリー
海猫レストランで働くクック3姉弟。この3姉弟の正体は、じつは鳥なんだ。ある日、ぼくのおさななじみが、クック3姉弟の1人、レインボークックに戦いを挑み─!? ぼくのおばあちゃんは、戦いの場である「女子スイーツ大会」で何かがおこると言うけれど!?

メガネ依存症

アオイ(小学5年)

ストーリー
帰り道に見かけた、ベージュ色のメガネ。気づくとそのメガネが私の手にありました。メガネをかけると人の心の声が聞こえ、物事がうまくいくようになります。メガネに頼らずに自力で美大に合格した主人公ですが、ある日、どうしても勝てないライバルに出会い!?

ようこそ!ラビットライフへ

犬本わー子(小学5年)

ストーリー
たいくつな毎日をすごしていた私の前に、突然ピンクのウサギがあらわれて……気づくとウサギの世界にいました。ごうかなウサウサマンションでのくらしは楽しかったけど、親友のかりんちゃんが入院していると知り、人間界に帰ることに。ぶじに戻れるのでしょうか!?

ハートのステーション♡

星空しほ(小学5年)

ストーリー
私は森よつば。ある日、クラスメイトで同じ「よつば」という名前の川上くんが、ロケットに乗るチケットをくれて、宇宙旅行をすることに。火星や木星を見て、気持ちがどんどんもりあがります! でも、惑星を探検しているうちに迷子になっちゃった!? だれかたすけて?!

十人十色タカさん11の冒険〜理想の世界〜

伊藤鮭(小学5年)

ストーリー
中学3年生のタカは、冒険好きのおじいちゃんから1冊の本をもらいます。そしてこの本を手がかりに、10人の仲間とともに理想の世界を探すことに! 行きさきは琵琶湖。湖にもぐって理想の世界にたどりついた彼らは、ある人が残したメッセージを受けとって─!?

ぼくの脳はアインシュタイン!

荒木晴名(小学6年)

ストーリー
天才科学者アインシュタインの脳はひそかにとりだされ、その一部がぼくの脳に移植されていました。父さんと母さんのしわざです。アインシュタインの兄だというジョージの幽霊が現れたり、転校生に命をねらわれたりと、移植手術をされてからぼくの毎日は大いそがし!

少年探偵団フィフスエムの暗号ツアー

中山麻理奈(小学6年)

ストーリー
少年探偵団フィフスエムは、ふしぎな暗号を手にいれます。それを仕込んだのは、じつは彼らの親でした。けれど、その先に待っていたのは「怪盗ムーン」からの本物の予告状だったのです! フィフスエムのメンバーはこの暗号にいどみ、犯人をつかまえようとします。

ブラックタイムマシーン〜時をこえて夢を〜

太田翔子(小学5年)

ストーリー
小金井亮太と小金沢勇太は、顔がそっくりだけど性格は正反対。「ブラックタイムマシーン」を見つけた2人はタイムスリップしようとしますが、失敗に終わります。そして2年後。中学2年になった2人は再会して前世の世界へ。そこで2人が兄弟だったことを知りますが!?

水色の平行線

春(中学3年)

ストーリー
佐恵は絵を描くのが大好き。だけどおさななじみの美葵はもっと上手です。ある日、美葵の絵を見た佐恵の心に嫉妬心がひろがります。その感情は、クラスメイトのことばをきっかけに爆発。その後、佐恵は自分の気持ちをうけとめ、美葵と向きあおうと決意しますが─。

スモールワールド

夏美(中学1年)

ストーリー
仲良し3つ子の風花、楓、泉は、明日からの夏休みを楽しむぞ! ともりあがっていました。学校からの帰り道に見つけたトンネルをくぐると……なんと、3人が小人になってしまいました! クラスメイトの太田くんの助けを借りて、もとに戻る方法をさぐりますが!?

苦いコーヒーを一口

織之助(中学2年)

ストーリー
ちょっと背のびしてコーヒーを飲みたいお年ごろの正樹は、カフェで1人の少女と出会います。彼女と話すうちに、おたがいにコーヒーの苦みをがまんしていたことを知ります。そこでマスターにすすめられて、生クリームがのった「ウインナーコーヒー」を飲んでみると!?

地球が終わる少し前の話

髙澤(中学2年)

ストーリー
「4日後に地球は滅亡する」というニュースが流れた日も、悠斗はいつもどおりに登校します。クラスにはいじめられっ子や不登校の子がいますが、彼にはどうすることもできません。ある日、いじめられっ子を助けようと心に決めますが─。

翼の生えた少女

范淑惠(中学2年)

ストーリー
ハルには生まれたときから羽があります。だけど少し触れただけでも痛みを感じるので、空を飛ぶなんてもってのほか。クラスメイトからはばかにされるし、羽があっていい思いをしたことなど一度もありません。ある日、親友のマイカの家で遊んでいたら、建物が火事になり!?

夏の続き

鹿児島萌(中学3年)

ストーリー
都会の高校にかよう紗和は、かつて住んだ田舎町「平良野」ですごした充実した毎日と現在とのギャップに落ち込んでいます。夏休みのある日、道を歩いていると目の前に平良野の景色が! そして1人の少女があらわれます。彼女は、ここは「比良野」だと言うけれど!?

マジカル☆レター

松原ガラティア(中学2年)

ストーリー
夢子は転校初日、魔法のポストの伝説を知ります。白いポストに手紙を入れると、どこへでも届けてくれるのだとか。帰り道に白い猫を追って森に入ると、白いポストとリリィという配達人が! リリィは夢子を、転校前にけんか別れした勇花のいる病院へと連れていきます。

かぶられ猫のセレナーデ

松岡和(中学2年)

ストーリー
かぶられ猫は、人間の頭にのって「かぶられる」ことで、人の心の傷をなおします。ある日、かぶられ猫のロプは、新たな仕事を命じられました。心を閉ざした少女・百合子の心をなおすように、と。ところが、ロプが頭にのっても百合子はなかなか話してくれなくて─。

テンブン学者とジンベイ少女 彼と少女の微青春学

白夜夕凪(中学3年)

ストーリー
天文学者の「博士」と、いつも甚平をきている少女「ほむら」は仲のよいおとなりさん同士。ある夏の日、博士の提案で「青春」をすることになった2人は博多へ行きます。その夜、博士はここにきた理由を話しはじめます。7年前に出会った女性との思い出にふれながら……。

深夜零時の鏡の前で

野之原ゆみる(中学3年)

ストーリー
学校には合わせ鏡の伝説があります。それは、深夜0時に合わせ鏡をみると、どんな願いも叶うというもの。でも、そんなことがあるわけなかった! それは、「鏡呪蝶」という魔物を呼びだす方法だったのです。友だちを助けるため、ぼくはその魔物とたたかいます。