
第13回<こども部門>結果発表
第13回角川つばさ文庫小説賞は、
303本の作品を応募いただきました。
どうもありがとうございました!
半年にわたる選考の結果、
下記の21組のみなさんが受賞されました。
受賞されたみなさん、おめでとうございます!
第14回角川つばさ文庫小説賞の募集期間は、
2025年7月1日~2025年8月31日になります。
今年も、あなたの作品をお待ちしております!
こども部門受賞作品

体ライバルズ!!
- 選評
- 主人公のおならプー子、大親友の骨田ホネッキー、ライバルののび下タン――個性豊かな登場人物たちに、編集部員一同大爆笑! とっても身近な体の機能を「特別な能力」としてキャラクターに持たせるアイデア力が素晴らしいです。一見弱そうな「おなら」の能力ですが、演奏したり宙に浮いたりボールの軌道を変えたりと、じつはすごい力かも!? 持ち前の能力をどう生かすかが大事なことなんだ、と前向きな気持ちになれる作品でした。グランプリ受賞、おめでとうございます!

失われた「オイシサ」を求めて
- 選評
- SF的な作品は多いのですが、特にこの作品は、私たちの生きる現実の食糧問題と、「食べる」という行為の意味について、作者自身が考察し、それにもとづいて執筆をしたということが伝わってきます。未来が舞台ですが、登場人物の話し方はいかにも今日的で、そのバランスもとっても素晴らしいですね。「そういうものだから」という世界を抜けだした主人公が「この先は、自分で考えないといけない」と考えるラストシーンが非常にすがすがしく、見事な作品でした。

わたしのじん生 あの子のじん生~えがおで行こう
- 選評
- リズミカルな文章、気持ちのよい日本語の「音」にまず惹きこまれました。「赤ちゃんのたね」しらたまの「アタシ」の一人称で進む物語。その一語一語にしらたまらしさがあふれていて、つぎはどんな行動をとるのか、何を喋るのか、彼女のあぶなっかしさに目を離せません。しらたまくんとの出会いを起点に、不穏な予兆、不意のラストまで、一息に読ませる構成力も素晴らしいです。セリフ回しや擬音・擬態語の使い方も小気味よく、全6ページながらとても読み応えのある作品でした。

琴葉の言葉科学研究所
- 選評
- 研究者の主人公が「言葉のない世界」に行くことになるという導入から、道具の使い方をまちがえて元の世界に戻れなくなってしまうなど、ユーモアや驚きのある展開の連続が秀逸でした。琴葉と人々の交流、言葉が生まれたことで学校や病院ができたり、社会が変わっていく描写もみずみずしく、ぐっと心をつかまれます。ラストで琴葉は亡くなってしまいますが、私たちにとって身近で当たり前に存在する「言葉」の尊さを再認識させられたようで、爽やかな読後感を覚える物語でした。

孔雀が与えたもの
- 選評
- 淡々とした物語運びのなかで、西日に照らされる孔雀とツバメの異なる羽の色彩や、赤いもみじを照らす秋の夕日、雲に隠れながらぼんやり輝く三日月など、あざやかに情景が思い浮かぶような描写が見事でした。ツバルのピンチに羽を与えて飛べるようになるまでよりそい、母を失ったツキが前を向いて生きていけるようにみちびくジャックの存在の描き方も素晴らしいです。救われたふたりと、救ったジャックの三人が出会うラストは、心からよかった、と思えるハッピーエンドでした。

二つの夏と一つの約束
- 選評
- 戦時中にタイムスリップしてしまった夏海を優しく迎え入れた静香たち親子のあたたかさ、明日起きる空襲から静香たちをどうしても救いたい夏海の焦りが、とても情感豊かに描かれていて、ぐっと引き込まれました。二人が平和の実現のために力を尽くして天寿をまっとうしたことを知り、自分も想いを受け継ぐ決意をするリレーのような結末は、この作品を読んでいる私たちもまた、このリレーをつなぐ一員であることを強く思わせてくれます。平和を願う、すばらしい物語でした。

さよなら、むしべ
- 選評
- 教室内の閉鎖的な空気感や、クラスメイトの真鍋を通して主人公の美里が自分自身を見つめる心情は、中学生だからこそ描けるリアルな描写で、とても引きこまれました。文章も巧みで、美里の感情の変化が丁寧に描かれていることで、物語に厚みが生まれています。また、美里が真鍋に手を差し伸べ連帯していくのではなく、彼女が複雑な感情を抱えたまま物語を締めたところに強い作家性を感じました。ぜひ今後も書き続けて、より洗練された作品を生み出していってほしいです。
入賞
富士山サバイバルキャンプ-全員で満点を取って脱出せよ-
- 選評
- 富士山を舞台に全員がテストで満点を取らなければならないというルールが、脱出ゲームの設定としてたいへん秀逸でした。ハラハラドキドキのストーリー展開が分かりやすい文章で表現され、物語にひきこむ力があります。驚きの結末もお見事でした!
ビー玉の大冒険
- 選評
- 読ませる力が素晴らしい文章でした。淡々とした筆致は物語世界にしっかりとした現実感を持たせていて、王様とビー玉との交流の様子はどこか放っておけず、ラストを見届けたいという思いで引き込まれました。別れのシーンの繊細で複雑な心理描写も、秀逸です。
空色郵便局
- 選評
- ロマンのあるタイトル、四季のうつろいが目に浮かぶような美しい描写に、才能を感じました。郵便局に訪れる人たちと局長さんの思いが丁寧に描かれた、感動的な作品です。この小説は局長さんの壮大な遺言だったことがわかる、一気にたたみかけてくるラストも圧巻です。
魔術師の猫は今日も…
- 選評
- コミカルな書き出しにワクワクして読み進めました。かなえが魔女だったと分かってからの展開が圧巻で、心を掴まれました! ラストは、ハッピーエンドと感じる人もいれば、切ないと感じる人もいるかもしれません。色々な受け取り方のできる作品で、強く心に残りました。
ヤツ
- 選評
- 『ヤツ』とは一体誰だろう、という疑問が浮かぶ冒頭で一気に引き込まれました。様々な視点から描かれる『ヤツ』の悪評、そのバリエーションと発想が素晴らしいです。想像もつかないような角度からみた私たちの日常に、つづきがもっと読みたい気持ちになりました。
鳥の絵
- 選評
- 夢を折られた主人公の心情がとても丁寧に描かれていて、強く訴えかけるような文章に心を揺さぶられました。不思議な少女、翼と出会って交流していくなかで、諦めかけていた夢をもう一度頑張ろうと決意するストーリーに、まっすぐな素直さとパワーを感じる作品でした。
こころの弁当屋
- 選評
- 真奈は大切な親友の最期の時に、どうして病室に行かず、はなとの「そばにいる」という約束をやぶってしまったのか? 気になって、読む手が止まりませんでした。すばらしい構成です。ラストのお弁当のレシピも、読後感にアクセントを添えてくれる、とてもよい演出でした。
偽った真実
- 選評
- 物語の導入から「何が始まるんだろう」とワクワクさせられました。謎が謎を呼ぶ展開で、髪の長いお化け“夜美”に本当に呪われていたのは誰だったのか、ドキドキしながら読み進めました。しかし美緒の家を荒らしたのは、一体誰のしわざだったのでしょうか……?
365分の1日の幸福
- 選評
- 洋風のロマンチックな世界観で、映像が頭に浮かぶような情景描写が巧みです。自分ではなく子どもの命を延ばすことを願ったルーリンの気持ちにぐっときました。1日しか生きられないセルヴェーネの残したものと生きた意味がありありと迫ってきて、美しくも感動的な作品です。
深雪のいもうと
- 選評
- ほの暗い雰囲気のタイムスリップもの。時間がどんどん巻き戻っていく第5章のシーンは、謎の核心に迫っていく感じにドキドキしました。タイトルセンスも抜群です! 一見ハートフルなタイトルからは想像もつかない壮大な物語で、いい意味で騙されましたし、才能を感じました!
彼の続きは私が
- 選評
- 先の展開を予想させない構成力は、中1とは思えません。ハラハラしながら読み進めました。思いつめるあまりにとっぴな行動をとってしまう主人公の心情に、説得力があります。あたたかなラストシーンにはホッとしました。ぜひこれからも書き続けてほしいです!
永遠に眠るあなたへ
- 選評
- 主人公の香織と、彼女が物語の中で生み出した親友ソフィアの交流が、繊細に描かれていて、筆力を感じます。物語を終わらせることでソフィアとの別れを決断する、ラストの香織の心情に思わずぐっときました。切ないのに心が温かくなる、強く心に残る作品です。
神使少女
- 選評
- 独自の世界観に読者を引き込む力があります。構成力も抜群で、少ないページ数の中で起承転結が緻密に組まれており、ハラハラドキドキと大変読みごたえがありました。各キャラクターがいきいきと魅力的に描かれている所も素晴らしく、続編が読みたくなる作品です。
かささぎの橋
- 選評
- 誰もが知っている織姫さまと彦星さまの世界で活躍する存在・・・・・・聞くだけでワクワクします。主人公の葛藤や変化が丁寧に描かれているだけではなく、共感できる部分がちりばめられていて筆力を感じます。思わず空を見上げて思いをはせたくなる素晴らしい作品でした。
こども部門 1次選考通過作品
わたしのじん生 あの子のじん生~えがおで行こう | 切貫咲栄(小2) |
---|---|
琴葉の言葉科学研究所 | 竹中涼香(小3) |
不釣りあいとか、×なのです! | 鈴木理多(小4) |
あいいろネーム! | タカハシもみじ(小4) |
金のバラと悪の王様 | 弘山紗菜(小4) |
はなたれ若様 | 梨式部(小4) |
富士山サバイバルキャンプ-全員で満点を取って脱出せよ- | MAYMAY(小4) |
夏の夜の一ページ | 星野卯月(小4) |
ビー玉の大冒険 | 黒河叶蓮(小4) |
二人で秘密 駅の基地 | 夢鉄(小4) |
体ライバルズ!! | 星野彩葉(小5) |
生きてる意味を大切に | 尾﨑伊波(小5) |
孔雀が与えたもの | 上尾彬人(小5) |
human LIFE | サラ(小5) |
一雄とサトシ | 笠原ほたる(小5) |
ロイヤル修行中 | 能登あおい(小5) |
二つの夏と一つの約束 | 小野あんず(小5) |
生きるため | 切貫奏栄(小5) |
煌めく未来へ | ぺんのおと(小5) |
クモを駆ける。 | モモリンゴ(小5) |
空色郵便局 | 秋野りの(小5) |
カンランカ!! | あすぱら(小5) |
オレンジ色のきずな | 佐藤碧依(小5) |
アイとモアの使い魔 | きなこあんみつ(小5) |
償い | 堀籠康太(小6) |
宇宙学校 | 松島那子(小6) |
ヤツ | 淡路優唯(小6) |
不思議な靴 | 日下睦己(小6) |
いじめの恐ろしさ | 永田和維(小6) |
死のボタン | 山口友輝(小6) |
ミントキャンディー☆ | TWOSILS(小6) |
あたたかい家の中で | ぴーなっつ(小6) |
情けは私の為ならず | 夢野みかん(小6) |
不可思議林檎 | 四昼星(小6) |
鳥の絵 | 早﨑日菜子(小6) |
風鈴の死 | 本ノ虫(小6) |
こころの弁当屋 | 好守みか(小6) |
ぼくの性別 | ひろかわかりん(小6) |
プールの向こうには | 店部愛梨紗(小6) |
魔術師の猫は今日も… | 佐藤百夏(小6) |
偽った真実 | 藤田珠実(小6) |
直撃、名城集!! | 大久保海翔(小6) |
夢の魔法 | めろん(小6) |
365分の1日の幸福 | 朝烏春桃(小6) |
夢の中の出来事 | 大友こいぬ(小6) |
深雪のいもうと | 岡村のゆり(小6) |
向日葵 | にこ(小6) |
エモーション | TSUBAKI MITSUI(小6) |
「瞬間移動の玉」にひそむ「ワナ」とは? | あっくん(小6) |
怖気と復習 | 熱田千夏(小6) |
英雄 | 山下すず(小6) |
隠れた英雄 | 森上健一郎(小6) |
この想い届け! | ナナホシテントウ(小6) |
彼の続きは私が | KADO松(中1) |
戦場彼岸 | 優合未知成(中1) |
タクシー | 川出(中1) |
星神祭がくれたもの | おかゆ(中1) |
懐かしい風に吹かれて。 | 嶋田こと美(中1) |
永遠に眠るあなたへ | くれないはるか(中1) |
魂世界 | 大福グミ(中1) |
時空間物語 遊牧民ノ砂漠ノ章 | アイスンム(中2) |
不完全な魔女っ子 | 渡邉莉予(中2) |
メロンソーダ | 宮下ぴかり(中2) |
双子のお悩み相談部! | なこる(中2) |
失われた「オイシサ」を求めて | ナガイミサキ(中2) |
超ガサツな俺の幼馴染 | 天音夜(中2) |
アトラクティブミラー | 喜来実香(中2) |
さよなら、むしべ | 加藤ユナ(中2) |
君の絵と私の記憶 | 小松菜々子(中3) |
志保ちゃんとシホちゃん | 此ノ花(中3) |
天使のミカエリ | 東條ひら(中3) |
ひなた | 大縁羽月(中3) |
ドラゴンと少女 | 花鳥風月(中3) |
EARTH1割 | 変神ふるぱ(中3) |
星は願いを叶えない | 吉田修也(中3) |
娘が生きた18年間~余命1ヶ月~ | 與那嶺若菜(中3) |
午前二十六時 | ひな(中3) |
神使少女 | しくよろみみ(中3) |
かささぎの橋 | 市野花音(中3) |