
「お話のアイデアは、どんな時に思いつきますか?」
「キャラの性格などの設定をどのように考えていますか?」など、
たくさんの質問ありがとう♡
『サキヨミ!』の作者:七海まちさんが
読者のみなさんからの質問に、こたえてくれたよ!



『サキヨミ!』の元となる作品を書いたのがかなり前のことではっきりとは覚えていないのですが、おそらく藤子・F・不二雄先生の作品に影響された部分はあるのかな、と思っています。先生の描く「少し不思議」な世界が、子どもの頃からとても好きだったので。
サキヨミという能力がどのように思い浮かんだのかも思い出せないのですが(すみません……)、おそらくスタートは単純な思いつきで、書きながらそこに肉付けをしていったんだと思います。


すごいことだなんて、ありがとうございます! 思いついたきっかけは、上の質問でも書いたようにあまり覚えていないのです。ごめんなさい……!
「悪いことしか見えない」のは、よい未来が見える設定にしても美羽の行動にはつながらず、物語が動かないと考えたからだと思います。
超能力……というか人にはない力や才能というのは、もちろんいい面もあるけれど、そのぶんつらい思いをするなどの負の側面もあると思います。「悪いことしか見えない」という設定にすることで、この負の側面を書きたかったというのもあるかもしれません。
また、藤子・F・不二雄先生によれば、物語というものはマイナスからプラスへの落差が大きいほどおもしろくなるものだそうです。「悪い未来を見る(何もしなければその通りになる)」というマイナスの状態から始めることで、プラスへの落差を大きくするねらいがあったのかもしれません。


キャラクターの名前は、ほとんどがその場の思いつきです。芸能人や漫画のキャラクター、学生時代の同級生などから拝借することもあります。なかなかしっくりくる名前が浮かばないときは、赤ちゃんの名付け辞典や、インターネットで調べたりもします。
『サキヨミ!』のキャラクターも、3巻の深谷先輩のようにお遊びで決めることもありますが、美羽、夕実、レイラは完全な思いつきです。「瀧島」は高校の同級生からで、「幸都」は「雪うさ」が由来……かと思いきや、こちらも思いつき。決まったのは「幸都」が先で「雪うさ」は後なんです。なぜなら最初に書いたバージョンでは雪うさが出てこないから……! 漢字は、あまり見ない組み合わせがいいなあと思ってこれにしたんだったと思います。
また、新しいキャラの名前を考えるときは、なるべく頭文字がかぶらないようにしています。(「ゆみ」と「ゆきと」はかぶってしまっていますが、瀧島君はあまり下の名前で呼ばれることがないのでセーフということで……!)


子どもの頃の自分自身を投影したキャラクターなのかな、と思います。いつも自分に自信がなくて、人と深く関わることを避けがち、人の目をまっすぐ見られない……など、共通点が多い気がします。私は当時からあまり変わっていませんが、美羽はどんどん成長しているので、うれしいですが、置いていかれているようで、ちょっとさびしい気もします。


巻き戻していろんなことをやり直せる能力……と思ったのですが、キリがなくなりそうなので、時間を止める能力がほしいです。止めている間は肉体の時間も止まるので老化も疲労もせず、空腹状態にもならない、おまけに頭はずっとさえ続ける――そんな都合のいい能力があったらいいなと思います。その時間を使って小説を書いたり、たくさんの本や映画を味わったりしたいです。


内容の大小にもよりますが、自分にできることがあるならがんばって助けます! そうでない場合は、人の力に頼ると思います。どちらにせよ、相手や周りの人間に話して無理やり信じてもらうところから始めるんじゃないかなと思います。自分ひとりでかかえこむことは、とてもできません。
美羽にとっての瀧島君みたいに、同じ力を持つ人がそばにいたら心強いだろうなと思います。


お話を思いつくの、むずかしいですよね。私もずっとなやみ続けている問題です。
経験上、アイデアが出やすいのは、
・お風呂に入っているとき
・散歩をしているとき
・本を読んだり、テレビや映画を見たりしているとき
・昼寝で夢を見たとき
……などです。
が、「すぐに何か考えなきゃ!」というときは、とりあえずノートに思いついたことをぽんぽん書いていくと、思いがけない発想が浮かんだりします。
また、普段から、思いついたこと、おもしろいと感じたことをすぐにメモする習慣をつけ、それを見返してあれこれくっつけてみるのもいいと思います。アイデアは「組み合わせ」です!


動画を見たり、猫と遊んだり、おやつを食べたり、昼寝をしたりしています。昔はアロマが好きだったのですが、今は家に猫がいるので(猫にアロマは危険だそうです)、無臭の炭酸入浴剤を入れてお風呂に入ったりもしています。
最近は、仕事の合間にココアを飲むのが日課となっています。


小学校に上がる前から、絵本を読むのが好きでした。小学生になると、母がいろいろな本を買ってきてくれるようになったのですが、それがいまいち自分の好みに合わなかったり興味がわかなかったりしたので、自分で本屋さんに行って好きな本を買うようになりました。特に好きだったのが『ズッコケ三人組』シリーズです。それと並行して、漫画もいろいろ読んでました。


たくさんいるのですが、ひとり挙げるとすればやはり藤子・F・不二雄先生です。あくなき知識欲と発想力、作品の底に流れる優しさや愛、漫画に対するひたむきな姿勢など、知れば知るほど神様のような人だなと思います。『藤子・F・不二雄の発想術』(小学館新書)は私のバイブルで、行きづまったときなどに読み返しています。上の質問の答えで書いた「マイナスからプラスへの落差が大きいほど面白くなる」というのも、この本で学んだことだったりします。


たくさんのご質問をありがとうございました!
答えることを通して、『サキヨミ!』は私の「好き」がつまった作品なんだなあと、改めて実感することができました。
つばさ文庫の読者さんの中には、物語を書きたいと考えている方もたくさんいると思います。
初めは何を書いたらいいのかわからないこともあると思いますが、そんなときはぜひ、自分の好きなものについて書いてみてください。
「好き」は大きな力です。つばさ文庫をたくさん読んで、みなさんの「好き」をどんどん育てていってください!

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