編集部からのお知らせ


ーー「みんな、おまたせ!」

\大人気シリーズが、パワーアップしてついに帰ってくる!✨/

2月13日に角川つばさBOOKSから発売される、
「こちパっ!」シリーズの完全新作……
「新こちらパーティー編集部っ! ひよっこ編集長ふたたび!」

このページで、ちょっぴり早く、ためし読みができちゃうよ!
2月12日(水)まで、毎日更新予定!

「みんな、準備はいい? それじゃあ、レッツゴー!!!」







・プロローグ

 お久しぶりです! 白石ゆのです。みんなーっ、元気にしてる?
 あたしの方は、色々なことがありまして……。
 なななんと、高校を卒業したあたしは、御年19歳でゴザイマス!(ひょえー!)
 時間の経過って、本当に速いよね!
 ん? 今も雑誌の『パーティー』作ってるかって?
 じ……実はあたし、あることがあって、ずっと夢だった編集者をあきらめたんだ。
 そんなあたしが、今度は角丸書店で編集長として本物の『パーティー』を作ることになるなんて。
 人生って、本当にわからない!
 晴れてお付き合いすることになった王子とも色々あって、あんなだし……。
 これは、中学生編集者だったあたしの、編集者人生第2章。
 コホンッ。それじゃあ、いっちょ、いってみよー!


・伝説の編集者、あらわる!?

「なあ。あのうわさ、聞いた? ほら、例の雑誌の話」
「聞いた! あの伝説の雑誌『パーティー』がうちで復刊するらしいって話だろ」
 ここは出版社・角丸書店で雑誌を扱っている第三編集局。
 となりの席の編集者にたずねられた男性は、興奮したように声をはずませる。
「『パーティー』って、かつて角丸書店で大ヒットした伝説の雑誌でしょ? しかも突然の廃刊のあと、中学生たちが復活したから、業界でも有名になったんだよね」
 そう言ってから女性は声のトーンを落としながら、言葉を続ける。
「なんて言ったって、うちで『パーティー』を立ち上げた上層部からじきじきのお声がけだったんでしょ?」
「そう! その伝説の編集者が今日うちに来るらしいよ」
「マジで!?」
「……まさかその子たちが雑誌を復刊させるってこと?」
 カッカッカッという、軽快なヒールの音が止まった。
「失礼します。第三編集局はこちらでよろしいでしょうか?」
「君はもしかして……あの『パーティー』を作った」
 指をさされると、とびきりの笑顔で「ええ」とうなずく。
「紫村カレンです。どうぞよろしく」
 紫村カレンは、学生時代は『パーティー』編集部にとってはライバルでもある、新聞部の部員だった。
「なっ、めちゃくちゃカワイイんだけど!」
「当然です」
「へ?」
「コホン。なんでもないです。そんなぁ、とんでもないです」
 カレンはねこなで声を出して、まわりをけむにまく。
「ああ。紫村さん、よく来てくれたわね」
 そう声をかけてきたのは小春さん。
『パーティー』を作っていた時にお世話になった角丸書店の雑誌『ニコルル』の編集さんだ。
「くわしい話をしたいから会議室まで来てもらえるかしら?」
「もちろんです。それではみなさん、失礼します」
 ジャスミンの香りを残し、紫村カレンは編集部をあとにするのだった。

「久しぶり。あなたのウワサは聞いているよ」
「ウワサなんてとんでもない。SNSで美容系の発信をしていたらぐうぜんバズっただけです」
「確信犯的にやったんでしょ」
「ふふふ。バレちゃいましたか」
 ペロッと舌を出した。
「小春さんは今も『ニコルル』を作っていらっしゃるんですか?」
「今は編集からは離れて、営業部にいるの」
「そうなんですか!?」
「編集者じゃないけど、雑誌に関わる仕事っていうのは変わらないからよろしくね」
「はいっ」
「さっそく本題に入るけど……、メールでも伝えた通り、『パーティー』の復刊をあなたたちに任せたいと思ってるの。この企画は、角丸書店としても大事な企画。絶対に失敗は許されない」
 カレンは真顔でうなずいた。
「でも、そんな大事な雑誌を、学生のあたしたちが作っていいんでしょうか?」
 カレンがそうたずねると、小春さんはスマイルを浮かべる。
「あなたたちに作らせてみたらどうだって意見が出てね。思いきってお願いしてみようって流れになったの。それよりもゆのちゃんは元気?」
 ゆのの名前を出され、カレンは無意識に眉をひそめる。
「この企画はね。学生時代に『パーティー』を復活させた、白石ゆのが編集長じゃなければいけないの。本当に問題ない?」
「─大丈夫です」
「本当に? ゆのちゃん、もう編集者はやめたって言ってたけど」
「まあ。あれだけのことをやらかしましたから」
 そう言ってから、カレンは「でも」と言葉を続ける。
「やめません。あたしは、ゆのが1回の挫折で簡単に編集者をあきらめないって信じてます」
「ゆのちゃんは良い友達を持ったわね。それじゃあ、社内でも共有させてもらうわね」
「はい。お願いします」
 カレンはそう言うと、深々と頭を下げたのだった。


・お久しぶりです!

 ピンポーンピンポーン!! ガンガンガン!
 チッ。やはり簡単には出てこないか。
 あたし、紫村カレンは美少女にはあるまじき顔でチッと舌打ちをした。
「ゆーのー! そこにいるのはわかってるのよ! 観念して出てきなさい!」
 ガンガンガンと玄関のドアをたたいても、部屋にはいるはずなのに沈黙のままだった。
 え? なんで部屋にいるかわかってるかって?
 だってあたしに気づいて、自分の部屋の窓を急いでしめるゆのが見えましたから!
 こーゆー時は、息を殺しておとなしくしておけばいいのに……。
 相変わらずツメが甘いのがゆのらしいっちゃ、ゆのらしい。
 あたしはカバンの中からノートを取り出しメガホンを作ると、玄関の扉に向かって大声で叫んだ。
「ゆの! アンタがいるのはわかってるんだからね! 今日という今日は、絶っっ対に逃がさないわよ! 10秒あげるから自分から出てきなさいよ!」
 10、9、8、7、6、5、4、3、2、1――。
 シーン。
 10秒経っても玄関のドアは沈黙したまま。
 あたしはハーッと大きなため息をついた。
「この強情っぱり。アンタの気持ちはよ───くわかったわ。それじゃあ仕方ない。玄関前で花火大会といきますか」
 シュッ。バチバチバチ──。
 手持ち花火に火をつけた瞬間、
「いやああああっ!」
 大きな音を立てて玄関の扉が開いたかと思うと、勢いよく花火を奪い取られる。
「あ。ハルちゃん。お久しぶりです」
「お久しぶり。まー! また可愛くなっちゃって……って、世間話してる場合じゃないわよおおっ! 本気で火をつけるって! 怖い子!」
 泣きそうな顔で玄関から飛び出してきたのは、遠野ハルさん。
 ホラーマンガ家をしているゆののお母さんの担当編集さんで、ゆのにとっては家族みたいな人だ。
「ハルさん、ゆのはいますよね?」
「ううっ。いるけど……なんかいっちょ前に誰にも会いたくないって言ってて。また日を改めて来てもらうことって……何してるのっ!?」
「家の中にロケット花火飛ばしたらどうなるかなーって♡」
「ひいいいっ! 冗談でもやめてえええっ」
「やーだ。冗談に聞こえますぅ?─あたし、本気ですけど?」
 ハルちゃんの顔の方に爆竹を差し出すと、あたしはニッコリと笑った。
「さあ! さあどうぞあがって!」
「良かった。失礼しまーす。もちろん、そんなことしませんよ♪ 冗談です」
 100%よそいきのスマイルを浮かべ、あたしはゆのの部屋へと向かったのだった。


今日の更新はここまで!
「新こちらパーティー編集部っ!」発売まであと5日!
明日の更新もお楽しみに☆

「新こちらパーティー編集部っ! ひよっこ編集長ふたたび!」

角川つばさBOOKSから2月13日発売! 楽しみに待っていてね!



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