無料読み放題!
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ーー「みんな、おまたせ!」
\大人気シリーズが、パワーアップしてついに帰ってくる!✨/
2月13日に角川つばさBOOKSから発売される、
「こちパっ!」シリーズの完全新作……
「新こちらパーティー編集部っ! ひよっこ編集長ふたたび!」
このページで、ちょっぴり早く、ためし読みができちゃうよ!
2月12日(水)まで、毎日更新予定!
「みんな、準備はいい? それじゃあ、レッツゴー!!!」
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・しおりちゃん危機一髪!
「いやーっ! 待って待って! やっぱり急に押しかけちゃマズイんじゃない?」
「シャラップ! 『パーティー』作るより大事なことなんてないでしょ」
ここはあたしの大親友でパーティー編集部元副編集長の銀野しおりちゃんの自宅。雰囲気のある魔女の館のような建物だ。
「そもそも仕方ないじゃない。アンタと同じく貞子も、電話もメールも出ないんだから」
貞子っていうのは、昔からカレンさんがしおりちゃんに使うあだ名だ。なつかしいなー!!
「ずっと連絡とってたんだよ!? だけど、あたしが編集部でやらかした話をしてから返信がなくなっちゃったんだよね」
銀野しおりちゃんは占いと呪いが得意で、魔女を本気でめざす女の子。
あたしが作ったパーティー編集部に最初に入ってくれたメンバーで大切な親友だ。
しおりちゃんに編集者やめるって伝えたら「ガシャン」って話の途中で電話を切られて以来、一度も連絡はなし。
「嫌われちゃったのかな」
「─アンタ、それ本気で言ってる?」
「だって……」
そうじゃなかったら、あんなに来ていた連絡がピタリと止まるはずないもの……。
「ヘナチョコ! いつまでたっても覚悟が決まらないなら、あたしが押す」
しびれを切らしたカレンさんが、インターフォンを押そうとすると─。
「わああっ」
ガチャとドアが開き、勢いよく双子が飛び出してくる。
「ギャー! カワイイ! 二人とも大きくなったねぇ」
抱きしめると、全力でイヤイヤをされる。
「あの……しおりちゃんいる?」
「いる! 早く! 早くお姉ちゃまの部屋に行って!」
「早くしないと大量殺人犯になっちゃう!」
た……大量殺人犯─っ!?
あたしとカレンさんはポカンと口を開けながら顔を見合わせたあと、大きくうなずいた。
「それじゃあ失礼します!」
「お邪魔します!」
ペコリとお辞儀をすると、しおりちゃんの部屋に向かって爆走した。
コンコン。
ノックをするも返事はなし。
ただドアの向こうからは、バシーン! バシーン! という不穏な音が鳴り響いている。
「しおりちゃん?」
そうっと部屋の扉を開けると──。
「───っ!」
モア──っと煙が立ち込め、部屋の中が見えない。
「ゲホゲホ。し……しおりちゃん?」
少しずつ煙がはれてきて、部屋の中の様子が見えてくる。
「堕ちなさい堕ちなさい堕ちなさい堕ちなさい─全員まとめて地獄に堕ちなさい」
しおりちゃんはバシバシと拳を打ち付けたあと手に持っていたブードゥー人形を壁に投げつける。
投げつけていた壁の下には、おびただしい数のブードゥー人形が転がっていた。
他にも真っ赤な水が張られたバケツの池にブードゥー人形が浮かび、またある人形たちは針が山ほど刺さっていたり。部屋のいたるところに『呪』って札が貼ってあって、怖いんですけど──っ。
JI・GO・KU!
ここはまるで絵本に出てくる地獄のような有様だよ!
「「~~~っ!」」
あたしとカレンさんは声にならない悲鳴をあげ、どちらからともなく抱きしめ合う。
「ふふふ。次は舌を引っこ抜いてやりましょう─って舌はなかったですね。ふふふ。それではどこを引っこ抜いてあげましょうか─」
ペンチを手に持ちニタリと笑うしおりちゃんの腰に、あたしはタックルするように飛びついた。
「ノオーっ! しおりちゃん! おやめくだされええええっ」
あたしはしおりちゃんに向かい、高速土下座をする。
「そのキレのある土下座は悪魔ではなく本物のゆのさん?……それと……」
「紫村カレンよ。カ・レ・ン。まさか忘れたとは言わないわよね!」
「すみません。ゆのさんにしか興味がないもので」
「貞子め。アンタのそーゆーところがムカつくの!」
「─小言はあとにしてください。私は今、大切な儀式の最中なので」
「「儀式!?」」
あたしとカレンさんは同時に叫び、顔を見合わせる。
そういえばこのブキミなお人形たち、何だか見覚えがあるような。
「しおりちゃん。この人たちってもしかして」
「ゆのさんをクビにした外道どもです。安心してください。すでに相当悪夢にうなされているはずです。悲願成就、あの世行きはもうすぐです」
「うわああああああああっ。成就させちゃダメえええええええっ!」
「なぜですか!? ゆのさんから編集者という夢を取り上げたんですよ? 死して詫びて頂かねば」
「ひひひ。しおりちゃん、オーバーだなぁ」
あたしは引きつった顔で笑う。
「どこがオーバーなんですか?」
ひえー! しおりちゃんの目がすわってる。
しかも怒りの矛先がこちらに向かってきた。
「─ゆのさんに憑依した悪魔……私の呪いを阻止するためにやってきたにせものですか?」
「違う違う! 本物!」
「じゃあ。ゆのさんの好きなものは?」
「生クリームたっぷりのココア!」
「ゆのさんの幼馴染の名前は?」
「黒崎旺司。幼馴染であたしの大事な人というか─」
ギャー! 恥ずかしっ!
「─にせものですね」
ええええっ。なんでそうなるの!?
「ゆのさんは、ニヤニヤ気持ち悪い笑みを浮かべながら、のろけを言うような人じゃありません」
ガーン! しおりちゃんに気持ちが悪いって言われた。
「ゆの! 貞子の目がすわってる! 早く本物だって証明しなさいよ!!」
本物の証明!? そ……そんなの、わからないよーっ!(涙)
しおりちゃんに納得してもらうためには、あたしが心から思っている事を伝えるしかないのかも。
あたしはフウッと深呼吸すると、しおりちゃんの両肩に手をかけ、紫色の瞳をまっすぐに見つめた。
「しおりちゃん、あたしは本物だよ。しおりちゃんの親友で、『パーティー』の編集長。だから──信じてくれる?」
「─でもゆのさんは、もう編集者はやめるって……」
「うん。そう思ってたところに鬼の形相をしたカレンさんがやってきて」
カレンさんがすかさず「鬼じゃないわよ」とツッコミを入れる。
「角丸書店から復刊する『パーティー』をあたしたちで作らないかって話が出てるの。あたしは正直、自分が編集者をやって良いか自信がない。だけどカレンさんが、みんなに聞いてみろって……」
驚いたように言葉をなくすしおりちゃんの手にあたしは、そっと触れる。
「しおりちゃんは、あたしが『パーティー』を作ってもいいと思う?─また一緒に『パーティー』を作ってくれる?」
いつもそばで見守ってくれていたしおりちゃんが、またあたしと一緒に雑誌を作るって言ってくれたら──。
親友の言葉を信じて、もう一度やってみたい!
ドキドキドキ。
あたしは裁判官の判決を待つような気持ちで、しおりちゃんの言葉を待った。
「いいに決まってるじゃないですか!! そして、私は副編集長です! たとえ屍になっても、ゆのさんの隣は絶対に誰にも譲りません!」
しおりちゃんは強い口調で感情を爆発させると、あたしのことをギュッと抱きしめた。
「ゆのさん……。おかえりなさい」
「しおりちゃん。ごめん。─ありがとう」
「ゆのさん……。カレンさん、ゆのさんについている悪魔を祓ってくださり、ありがとうございます」
「はあ!? アンタと違って、あたしにそんな力ないわよ」
「そんなことありません。カレンさんの鬼の形相は、悪魔をも祓いのける力を持っています」
「ぬあんですってええええっ!」
真顔で告げるしおりちゃんの言葉に、カレンさんが目をつりあげる。
「─感動の再会はいーけど、ダラダラくっちゃべってていいのか?」
声の方に視線を向けると、見慣れた赤い髪の男の子が、八重歯をのぞかせながら不敵に笑っている。
えええええええええっ、エンマあああああ!?
そこには、ヨッと右手を上げて不敵な笑みを浮かべる赤松円馬が立っていたのでありました。
今日の更新はここまで!
「新こちらパーティー編集部っ!」発売まであと3日!
明日の更新もお楽しみに☆
「新こちらパーティー編集部っ! ひよっこ編集長ふたたび!」
角川つばさBOOKSから2月13日発売! 楽しみに待っていてね!
刊行記念で、うれしいお知らせいっぱい!
みんなの熱い応援にこたえて、うれしいお知らせを
どどどーーーーーーんと大公開!!