無料読み放題!

『スイッチ!⑮ フィナーレは絶体絶命の文化祭!』は、
3月12日㊌発売~~~~!!!(発売まであとすこし!)
最終巻のテーマは『文化祭』!
――男子たちの呪いはとける?
――まつりと男子たちの恋のゆくえは?
――結婚はどうなる?
最終巻もまたまた事件の連続で……?
展開が予測できない最強ラブコメ最新作を
先行ためし読みしちゃおう!
\今日から発売日まで毎日更新していくよ!!(全5回)/
「みなさん、準備はいいですか?
それじゃあ、いっちょ行ってみましょー!!!」
スイッチ!⑮ フィナーレは絶体絶命の文化祭!
1 ラブ度急上昇中です!?
『そういうわけですので、和月さん。サクッと、私をお嫁さんにして頂けますか?』
和月さんと結婚の約束をしてから3日後の昼休み─。
私・日々野まつりとアイドルグループ『ジョーカー』の小笠原和月さんは、四ツ葉学園内にある裏庭で、お昼ご飯を食べている最中です。
「まつりちゃん、本当に本気?」
疑わしげな視線を投げかけてくる和月さんに向かい、私は胸をそらせる。
「本気も本気ですよ! 和月さん、じゃなかった、愛しい旦那様! ささっ、お召し上がりください! おえっ」
「えーっと、今最後にすっごい小声で『おえっ』って聞こえたような─」
私の言葉に、和月さんが顔を引きつらせながらそうたずねてくる。
くっ。地獄耳ですね!
私は心の中で毒づいてから、「いひひひ。空耳じゃないですかぁ?」と全力でしらばっくれた。
「いやいや。空耳なんかじゃないよ。絶対に聞こえたって」
「ごちゃごちゃうるさいですね。ぶっ飛ばされたいですか!?」
「えっ。未来のお嫁さんがめちゃくちゃ反抗的なんだけど!?」
めんどくさいリアクションをする和月さんを黙らせるため、私は山盛りごはんを載せたスプーンを和月さんの口の中に突っ込んだ。
和月さんは「ゴフッ」とむせたあと、身体をくの字にして悶えている。
「わー! 大変! 旦那様が! 血を吐いていらっしゃる!」
和月さんはスプーンで口を切ったのか鮮血が見える。
「いやいや。いきなり死亡ルートにもっていかないで!」
ヨロヨロしながら告げる和月さんに向かい、
「いえいえっ。遠慮なさらずに! 私は一人で立派に生きていけますのでご安心を!」
「――」
胸をはってそう言うと、和月さんは「絶対に死なないって気持ちにしてくれてありがとう」と笑う。(ただし目は笑っていないように見えます!)
「和月さん、私たちラブラブですね!」
「いや。この会話のどこを聞いたらラブラブなのか、全然わからないけど――」
「男嫌いの私が、和月さんと一緒にめちゃくちゃ会話してるじゃないですか!」
自分の腰に両手をあてながらそう言うと、
「低っ。ラブラブのハードル低っ!」
と、和月さんが不満を述べる。
「ラブラブって言うからには─こんな風にもっと密着してていいんじゃない?」
和月さんに急に抱きしめられ、耳元で甘く囁かれた瞬間、モウレツな吐き気がこみあげてくる。
「うおええええええええええええ」
「ひいいいいいいいいいいいいいいいい!」
思わずえずく私から、和月さんはアスリートも真っ青なスピードで飛び退る。
「なんで逃げるんですか! ここはドーンと大きな愛で受け止めてくださいよ!」
「いやいやいやいやっ。キラキラを受け止めるのはムリっ!」
「そんな腰抜けじゃ、旦那様失格ですよ!?」
「いやいや。そっちだって花嫁失格だから!」
和月さんと言い合っていると、コツンと何かが頭にあたった。
ビックリして後ろを向くと、そこにいたのは『ジョーカー』の藤原レンさんだ。その手には弁当のフタを持っている。
「レンさん、急に後ろから何なんですか! 邪魔しないでください!」
「邪魔するに決まってるだろ。二人で楽しそうにじゃれあうな」
私は両手で頭をなでながら非難がましい目で見つめてみたが、レンさんはポーカーフェイスを崩さない。
「今のやりとりのどこが仲良さそうに見えるのさ」
「和月は気づいてないかも知れないけどさ。はたから見てるとバカップルのケンカっぽく見えなくもないよ」
あきれたような口調でそう言うのは、『ジョーカー』のメンバー・谷口翼さんだ。
「バカップルじゃないです! 私たち、本気で愛し合ってます!」
「そうそう。芝居じゃないから。結婚前のぎこちなさなだけだから! ね? まつりちゃん」
そう言って両手を広げる和月さんの胸に飛び込もうとしたが、「うげっ」とえずき、キラキラがこみあげてきた。
「おい、和月。ニセカップルを熱演中の未来の妻はお前の胸に飛び込みたくないってさ」
「そんなにイヤなんだ。ポチ子はやっぱり正直者だなー」
「そ……そんな事ありません! 私は和月さんを夫として愛すと決めましたから!」
調子に乗るレンさんと翼さんに向かい、私は大きな声でそう言った。
「ポチ子、そのうすら寒い芝居、いつまで続けるつもり? もうやめて美味しい物でも食べようよ。僕、作っちゃうよ♪」
翼さんの言葉を聞いた瞬間、反射的にグウとお腹がなる。(だって、翼さんってば料理がとっても上手なんです!)
「美味しい料理でしたら、和月さんも一緒に。あ、レンさんも仕方ないからまぜてあげますよ? だからもうニセって言わないでくださいね」
「ぎ・そ・う」
キー! 腹立たしい!
レンさんってば、わざとゆっくり言葉を区切って挑発してきます。
「そんなに言うなら、ニセじゃないっていう証拠見せて欲しいなぁ」
手を頭の後ろに組みながら、翼さんは悪い事を思いついたような顔でニヤリとほほ笑む。
「証拠?」
「そう。たとえば今ここでキスしてみせるとか?」
「翼、かわいそうな事言うな。両手をひろげた胸にも飛び込めないまつりに、そんな事できるわけないだろ」
「そこまで言うならやってやります! 和月さん目をつぶってください!」
私はそう言うと目をつぶり、和月さんに向かって突進したのだった。
今日の更新はここまで!
第2回は明日12時に更新予定! 楽しみに待っていてね☆
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