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NEW!
第5作め❤
みんなが送ってくれたネタをもとに
作者の無月蒼さんが短編を書き下ろしちゃう企画です!
第12回角川つばさ文庫小説賞で〈金賞〉を受賞した『アオハル100%』で
# 読者の考えたアオハルチャレンジ を募集したところ、
ファンレターや、感想投稿から、たくさんアイディアが集まったよ。
寄せられたアイディアで、書き下ろしたSS(ショートストーリー)、さて今回はどんな話?
『アオハル100% # 読者の考えたアオハルチャレンジ』
スペシャルストーリー5☆#みんなでおそろいのものを買っちゃう!
中学の昼休み。
わたし、火花ほむらは、友だちの千鶴や香鈴といっしょに教室で、この前オレンジさんが考えてくれたアオハルチャレンジ、#趣味といっしょに自撮り のポストを見ていた。
「へー、香鈴はアクセサリー作りをやったんだ。このブローチ、自分で作ったの? スゴッ!」
「そうでもないよ。材料はワンコインショップでそろえられるし、なれればけっこうカンタンにできるんだから」
「十分スゴいと思うけど。千鶴は、音楽鑑賞か~」
「うん。けど音楽を聴いてるってわかる写真を撮るの、意外と難しくてね」
たしかに。
音は目に見えないから、写真で伝えるのは苦労するかも。
けどイヤホンをつけて自撮りしてる写真は、ちゃんと音楽を聴いてるってわかるよ。
ちなみにわたしは、スケボーを持ってるところを自撮りして、ポストした。
本当はスケボーに乗ってすべってるところを撮りたかったんだけど、すべりながら自撮りするのは危なすぎたから、断念したんだよね。
今回のお題、趣味によっては写真を撮るのが難しかったけど、それでも工夫しながら撮影するのは楽しかった。
で、問題は次のお題なんだけど……。
「次のアオハルチャレンジ、どうしようかなあ?」
ついさっき、わたしは青春仕掛け人のアカウントで、新しいお題を出していた。
今度のお題はみのりさんのアイディア、#おそろいのものを買おう!
みんなでおそろいの小物かアクセサリーでも買えば楽しいかもって思って、採用したんだけど……。
「ねえ、千鶴はこのお題どう思う?」
「おもしろそうだと思うよ。ただ欠点は、今はおこづかいがそんなに無いってことね」
「うん、わたしも~」
2人で苦笑いをする。
おもしろそうって思って採用したんだけど、ポストしたあとで、わたしだって、おこづかいがそんなに残ってないことを、思いだしたの。
まったくないわけじゃないけど、できれば高い買い物はさけたいなあ……。
すると香鈴が。
「それじゃあ、駄菓子なんてどう? 3人で同じのを買って、写真に撮るとか」
なるほど、たしかにそういうのもアリか。
けど香鈴はすぐに、思いだしたように言う。
「あ、でもこれだと前にやった、#友だちといっしょにおやつ とかぶっちゃうかも」
「いいんじゃない、似たお題があっても」
「けどよく考えたら、せっかくなら、かたちに残るもののほうがいいんじゃないかなあ?」
一度は駄菓子を提案した香鈴だったけど、う~んと首をかしげながら考えこむ。
たしかにわたしも最初は、「おそろいのものを買う小物とかアクセサリーとか、手もとに残るものを想像したなあ。
けどそれだと、やっぱり、どうしても高くなっちゃう。
もっと安価で、記念になるようなものが買えたらいいんだけど……。
話していると、昼休み終了を告げるチャイムが鳴る。
「まあ、ゆっくり考えればいいんじゃない。別に急ぐこともないんだし」
「それもそうだね」
千鶴に言われて、それぞれの席へともどっていく。
それからすぐに先生がきて、午後の授業がはじまったけど。
やっぱりつい、なにかないか考えちゃうんだよね。
授業中なのに、アイディアが浮かんでは消えてをくり返してる。
べつに、買うのは高い物である必要はないんだよ。
なんて考えながらノート取ってたせいで、字を書きまちがえちゃった!
シャーペンをおいて、ノートに書いていた文字を消しゴムで消したけど……
そうだ、「おそろいのもの」って、消しゴムやペンとかでもいいじゃん?
たとえば3個セットになってる消しゴムだってあるし、千鶴や香鈴と、いっしょに買って分けるのも楽しい。
問題は、「これだ!」って思うものがあるかどうかだけど、今度ワンコインショップワンコインショップにでも行って探してみようかな……ん? ワンコインショップと言えば。
さっき #趣味といっしょに自撮り のポストを見ていた時の会話が、よみがえってきた。
たしかあの時香鈴が……あ、これいいかも!
とつぜん、アイディアがひらめいて、思わず声をあげそうになったけど、あわててのみこむ。
危ない危ない、今は授業中――!
勉強と関係ないことを考えてたこと、先生にバレてないよね……と様子をうかがいながら、今度こそ真面目に授業を受けた。
……それから休み時間になって、再び千鶴と香鈴に声をかける。
「2人とも、ちょっといい?」
「ん、どうしたの、ほむら?」
「さっきのアオハルチャレンジの話だけどさ。おそろいの材料を買って、いっしょに手作りするっていうのはどうかな? 前のチャレンジで、香鈴がやってたみたいに!」
思い出したのは #趣味といっしょに自撮 で、香鈴が作っていたブローチ。
アクセサリーなら、自分で作れるよね!
おそろいの材料を買って手作りすれば、安くすんでなおかつかわいいものが、作れるんじゃないかな?
するとすかさず、香鈴が反応した。
「それいいかも。例えば、ビーズでブレスレットを作るなら、安くてすみそう」
「でしょでしょ。これなら材料はワンコインショップで買えるし、3人で分けたら材料もムダなく使えるよね」
「けどわたし、アクセサリーなんて作ったことないよ。わたしにもできるの?」
千鶴はそう言ったけど、アクセサリーを作ったことないのは、わたしも同じ。
けど、工作はけっこー得意なほうだから、なんとかなるでしょ!
「そんなに難しくないよ。よかったら、うちで3人で作ろうよ!」
得意分野なだけに、張り切る香鈴。
こうしてわたしたちは後日、ワンコインショップに行って、数種類のビーズを購入した。
思った通り安く買えて、助かったよ。
そのあとは香鈴の家で、製作に取りかかった。
作るのは、ビーズを通したテグスを輪っかにしたブレスレット。
香鈴の家には、前に使ったテグスや留め具があまってて、それに、わたしたちが買ってきたビーズを通していく。
「う~ん。ビーズは通せたけど、小さくてテグスがうまく結べない」
「そういうときは片方のはしで輪っかを作って、もう片方のはしを通すといいよ」
「こんな感じ? けどこれ、あとでほどけたりしないかな?」
「平気だよ。最後、結び目に、接着剤をつけるから」
「なるほどぉ~!」
こまごましたビーズを1つ1つあつかっていくのは、イメージしていたより、けっこうたいへんだったけど。
3人でおしゃべりしながらだと、うまくいかないことも楽しかった!
こうして香鈴の指導のもと、なんとかアクセサリー製作は進んで。
3色のビーズを使った、カラフルなブレスレットが完成。
もちろん、3人おそろいだ!
「できたっ!」
「おそろいのものを買うだけじゃなくて、作っちゃうなんてね。さすが、ほむら!」
「香鈴からアクセサリー作れるってきいてたから、アイディアがうかんだんだよ。ありがと!」
「ふふっ、どういたしまして。そうだ、せっかくだからポストするときは……」
わたしたちはブレスレットをつけると、手首が見えるようにしながら3人でグーの形にした手を3方向から合わせる。
これで撮ればブレスレットも写るし、カッコいいよね!
写真をポスト!
すると、
ピコン! ピコン!
と、すぐに反応があって、【お手製のブレスレット、すごくかわいい!】とか【おそろいの材料を買って手作り! この発想はなかった!】などのコメントがたくさん。
今回もチャレンジ、大成功だね!
――――その後、わたしたちのポストを見た学校の子たちから次々と「ブレスレットの作り方を教えて」って言われて、うちの学校でアクセサリー作りがちょっとしたブームになるんだけど。
それはまた別のお話。
6話め以降も、公開予定。またお知らせします。
本の感想といっしょに、あなたのアイディアも待ってるよ!
ちょ~~~~~かわいい『アオハル100%』の特集ページ、
みんなもう見てくれた?
「アオハル100%」のお話の魅力や、キャラ、見どころが
ギュッと1ページにつまったページです。
まだ見てない子はぜひチェックしてね!
『アオハル100% バチバチ!はじける最強ライバル!?』にも
#読者の考えたアオハルチャレンジ の小説が1作、入ってるよ!
な ん と!
「#読者の考えたアオハルチャレンジ」から生まれたスペシャルストーリーは、
この本の中にも1作、入ってるんだよ!
本では、だれのお題が採用されているのか、ぜひチェックしてね!