編集部より
NEW!
『いみちぇん!!廻 三.神隠しの取り替え子』の発売を記念して、「いみちぇん!」グッズ第二弾の製作が決定!
本日から受注開始!
【お知らせ】
反響を受けまして、
グッズ第二弾の二次受注が決定しました!
みなさんの声にお応えして「いみちぇん!」グッズ第二弾の受注期間を追加しました!
【グッズ受注期間(予定)】
一次受注:2025/9/10(水)10:00~2025/10/2(木)23:59まで 発売日:12月
二次受注:2025/10/20(月)10:00~2025/11/27(木)23:59まで 発売日:12月
※二次受注につきましては、予定数量に達し次第、受付を終了させていただきます

スペシャルセットをカドストで買うとついてくる、
あさばみゆきさん書き下ろしSSの試し読みを大公開!
スペシャルセット第2弾 直毘モモセット
書き下ろしSS『モモのいない誕生日』試し読み
【あらすじ】
中学を卒業後、文房師の修行のために里へ帰った匠。
恋人のモモとは絶賛、遠キョリ恋愛中・・・・・・。修行に打ち込んでいるけど、どこかさみしそうで――?
『モモのいない誕生日』
後ろから肩をたたかれて、考えこんでたおれは、我に返った。
航平がいつの間にか、紙漉(す)き工房にいる。乾かし終えた紙を、裁断に来たらしい。
「匠、すっげー顔してるぞ。どうしたんだよ」
おれは漉き船にたっぷりためた紙料液に手を入れて、低くうなる。
「失敗した。繊維を砕きすぎたんだ」
「マジ?」
航平は自分も液を手の平にため、紙の繊維に目を凝らす。
「すげぇキレイじゃんか。真っ白でなめらかな紙になるだろうけど、イメージちがうのか」
「ああ。なめらかすぎる。モモの筆づかいは優しいから、これじゃ穂先がすべりすぎるんだ」
「なるほどなぁ。匠がしくじるなんて、めずらしいな」
「――作りなおす」
「ウソだろ!? あんな執念深く、楮(こうぞ)のチリ取りやってたのに!?」
航平はそっくり返りそうになる。
和紙の原料になる楮は、煮て柔らかくした皮から、チリやゴミを取りのぞく手作業が必要になる。
水に手をひたしっぱなしの、細かくてしんどい作業だが、一粒でもチリが残っていたら、「紙の精が宿る紙」としてふさわしくない。
一ミリのチリも見逃さず、やっと液にするまでこぎつけたのに、このザマか……。
材料を無駄にするワケにもいかず、今回のは外村で販売する商品へまわすことにする。
これをあらかた漉いて乾燥板に張り付けたら、また楮の処理からやり直しだ。
気合いを入れなおし、さっそく、紙漉き用の木枠にすだれをセットし始める。
航平は肩をすくめて、脇に置いていた刷毛(はけ)を取った。漉きあげた紙を、板に張りつける時に使うやつだ。
「すげ。これも、もう交換時だな。何十年も使えるヤツだぞ? 何枚漉いてんだよ」
「たしかに、刷毛目が荒くなってきたよな」
修行を始めた時にもらって、ずっと大事に使ってきたが、そろそろ替え時か。
航平は刷毛を作業台にもどすと、自分の仕事を始めた。背中ごしに、裁断機でザクッと紙を立ち落とす、小気味いい音が響いてくる。
「なぁ、匠」
「ん?」
「ずーっと工房にこもってんの、モモさまと離ればなれで、寂しいからだろ。遠距離恋愛スタート一カ月め、大丈夫か?」
おれはすだれを水になじませる作業を止め、じろりと背後をにらむ。
航平はニーッと口角を持ち上げてる。
「……きのうの夜、電話した」
「へぇ~っ、あ、そうなんだ! よかったなー!」
航平とこんな話をする事なんて、そうそうない。勝手に耳が熱くなってくる。
「あらためて感慨深いなぁ。匠がモモさまを個人的に好きなの、最初にモモさまが里に来たときからわかってたけどさ」
「まさか」
「まさかじゃないって。匠が女子にあんなヤキモチ丸出しにすんのなんて、初めて見たもん」
そんなことないと言いかけたが、思い返してみたら、否定できない気がする。
黙ったおれに、航平はハハッと笑った。
「匠。三時までに仕事終わらせて、外な」
「三時? 何かあるのか」
おれは壁時計を確かめる。
「チビたちが、せっかく帰ってきた匠さまが遊んでくんなくて、つまんないって」
「ああ……、そうか。悪かった。じゃあ、三時に外に出る」
依や樹がすっかり手を離れて、もう今は、あいつらのほうが年少の世話を焼いてる。
おれは高校が終わると、直で工房にこもる毎日で、あまり遊んでやれてなかった。
「ヨロシク。じゃ、あとでな」
航平は裁断を終えた束を持って、すぐに作業場を出ていく。
同じ職人同士、集中したいタイミングを分かってくれるのは、ありがたい。
「・・・・・・会いたいな」
軟弱な言葉が、ぽろりとこぼれて、自分で自分に驚いた。
そこでやっと、ああ、と、今さら理解する。連日、仕事が失敗続きなのは、寂しいせいか。
漉き船の白い水面を、じっと見つめる。
次に会えるのは、夏休みか?
これまで毎日会ってたのに、一年のうち、数えるほどしか会えないという現実を、身に染みて理解する。
しっかりしろ。モモにはもちろん、航平や兄弟たちにだって見せられる顔じゃない。
寂しいくらいで、修行を止めていられるか。
おれは濡れた手のまま、ぱんっと頬を挟みたたいた。
試し読みはここまで!
つづきは『いみちぇん!』シリーズ スペシャルセット第2弾 直毘モモセットをカドストで買うとついてくる、購入特典の小冊子で読めるよ!
【商品仕様】
・価格:3,960円(税込)
・内容物
●『いみちぇん!』アクリルペンスタンド 直毘モモ
サイズ(約):H162×W150mm リング内径17mm
※ペンの太さにより入らないものもあります。
●缶バッジ2個セット
サイズ(約):H58×W60mm
●お役目ポーチ
サイズ(約):本体:約160×180mm ショルダー部分:10×1150mm
●書き下ろしSS『モモのいない誕生日』
サイズ:B6小冊子
・素材:
【アクリルペンスタンド】アクリル樹脂
【缶バッジ2個セット】紙、スチール、PET
【お役目ポーチ】ポリエステル
【カドスト購入特典描き下ろしSS「モモのいない誕生日」】紙
※画像はイメージです。実際の商品と異なる場合があります。
※予告なく商品ラインナップ・商品名・デザイン・仕様・価格が変更になる場合がございます。
『いみちぇん!!廻』シリーズ スペシャルセット第2弾 藤原りんねセット
書き下ろしSS『万宙くんをお祝いしよう!』試し読み
【あらすじ】
藤原りんねは初等部二年生、佐和田万宙は中等部二年生。
年のはなれた二人だけど、書道部で仲良くなった「友だち」なんだ(「いみちぇん!! ふたたび、ひみつの二人組」より)。
そんな「友だち」のトクベツな日を、りんねたちはお祝いしたくて――?
『万宙くんをお祝いしよう!』
初等部書道部と中等部書道部の部室は、おんなじ部屋なんだよ。
だけど中等部のほうが終わるのがおそいから、わたしたちの部活動が終わっても、まだお姉ちゃんたちが授業中の日もある。
今日も、初等部二年生は半日授業で、お姉ちゃんたちは六時間目まで。
「りんね、ほんとに残るの? うちら帰っちゃうよ?」
アキに確かめられて、わたしは大きくうなずく。
「桜も、塾がなければなぁ」
「明日みんなで、中等部にトツゲキすればよくない?」
「ううん、今日がいい。だいじょうぶだよ、わたし、ちゃんとできるから」
三人ともいそがしくて、もう帰らなきゃなの。
でもホントにだいじょうぶだよ。初等部に正式に書道部ができるまでは、よくここで、一人でモモお姉ちゃんたちが来るのを待ってたんだ。
わたしの決意に、三人は顔を見合わせる。
「じゃ、それたのんだからね。りんね」
「うん!」
アキたちにたくされた「それ」の箱を、わたしはだいじにだいじにテーブルにのせて、大きくうなずいた。
今日、十二月八日は、万宙くんの誕生日。
万宙くんは、書道部の、仲よしのお友だちなんだ。
モモお姉ちゃんと同級生で、見た目は、ちょっぴり〝フリョー〟みたいで、コワいかも?
頭は金色のとこと、赤いとこがあって、最初に部室で会ったときは、ビックリしちゃったんだ。
玲連も桜も、最初は万宙くんのこと、コワいって言ってた。
それに、中等部のお兄さんと「友だち」なんてヘンなのって。
だけど、万宙くんはすっごくすっごく優しいんだ。
万宙くんが書道部に入ったとき、わたしが「先生」になって、墨のすり方とか、筆の持ち方とかね、モモお姉ちゃんに教えてもらったこと、いっぱい教えてあげた。
万宙くんも、「りんねってスゲーな。これは? こっちはどうやんの?」って、ニコニコしてくれるから、わたしももっといっぱい教えてあげたくて、ますます書道部に来るのが楽しくなった。
でもね。初等部書道部ができて、アキたちが来るようになったら、万宙くん、そんなに「教えて」って言ってくれなくなっちゃった。
それでわたし、やっと気づいたんだ。
万宙くんは、お兄ちゃんみたいに、わたしと「遊んでくれてた」のかなぁって。
そしたら、急に万宙くんが「中学生のお兄さん」に見えて。
なんだかわかんないけど、わたしはちょっと、しょんぼりしちゃった。
でもね、わたしがアキたちとのおしゃべりについていけなくて、ぽーっとしてると、すぐ、「りんねせんせー」って、声かけてくれる。
やっぱり万宙くんのコト、優しくて、大好きだなぁって思ったんだ。
今日は、教室移動のとき、渡り廊下の上から、万宙くんが友だちとおしゃべりしてるのを見かけたの。
――万宙、おまえ今日誕生日だよな? 帰り、ハンバーガー屋よってかね?
――あー、ワリ。今日部活。明日おごって。
――おごんの確定かよっ。いいけどさ、じゃあ明日行こうぜー。
ワイワイしながら通りすぎてく頭を見送って。
わたしはアキたちと、ワッと顔を見合わせた。
佐和田センパイ、誕生日なの!? なんかお祝いしたいね!って。
アキたちも、もうとっくに、万宙くんが大好きなんだ。
わたしは三人からあずかった和紙で作った箱を、ていねいにテーブルにのっけて、時計を見上げる。
まだ二時だ。六時間目が終わるのは、三時半。
しーんとした部室は、ひさしぶりだ。だいじょうぶって言ったくせに、急にさびしくなってきちゃった。
時計の針の音が、かち、かち、大きく聞こえてくる。
部室がすごく広く見える。
……まさか、悪いものがでてきたりしないよね。
そんなことまで考えちゃって、ぷるるっと頭をふる。
「しょっ、書道しよ!」
モモお姉ちゃんが言ってた。ココロがそわそわするときは、書道をすると、スーッとしずまるよって。
自分の道具を取りに行こうとした、その時。
ガタッ。
いきなりドアが開いた。
試し読みはここまで!
つづきは『いみちぇん!!廻』シリーズ スペシャルセット第2弾 藤原りんねセットをカドストで買うとついてくる、購入特典の小冊子で読めるよ!
【商品仕様】
・価格:3,410円(税込)
・内容物
●『いみちぇん!!廻』アクリルペンスタンド 藤原りんね
サイズ(約):H162×W150mm リング内径17mm
※ペンの太さにより入らないものもあります。
●缶バッジ2個セット
サイズ(約):H58×W60mm
●ミニアクリルスタンド
サイズ(約):本体:W80×H122mm以内 台座:W72×H30mm以内
●書き下ろしSS『万宙くんをお祝いしよう!』
サイズ:B6小冊子
・素材:
【アクリルペンスタンド】アクリル樹脂
【缶バッジ2個セット】紙、スチール、PET
【ミニアクリルスタンド】アクリル樹脂
【カドスト購入特典描き下ろしSS「万宙くんをお祝いしよう!」】紙
※画像はイメージです。実際の商品と異なる場合があります。
※予告なく商品ラインナップ・商品名・デザイン・仕様・価格が変更になる場合がございます。
「いみちぇん!!廻」三巻の発売を記念して、
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