編集部からのお知らせ

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大人気の新シリーズ2巻目がもうすぐ発売!
「お天気係におねがい!」の1巻はもう読んだ?
あらすじをさっそくチェック!



<あらすじ>

わたし、天川空。5年1組の“お天気係”なんだ。
ある日うっかり、お天気神社の大事な鈴をこわしちゃって――
天気をあやつる、神さまの力を手に入れた⁉

かわりに力をうばわれた元・天気の神さまたち、
ハレアメフウライくんがいうには
みんなのお願いを聞いて、正しく天気をあやつれないと
わたしたち全員、神さま失格で地獄行き⁉

さっそく届いた「運動会を晴れにしてほしい」ってお願い、
じぶんに自信がないわたしだけど・・・カクゴをきめた!

みんなの願い、お天気係(わたし)がかなえてみせるよ!


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登場人物紹介だよ☆


読むと『お天気男子』たちのことがもっとわかっちゃう!?
トクベツ書き下ろしエピソードを公開☆

『恋せよ、初詣?』



「あけましておめでとう~~~!」

 今日は1月1日。
 新しい年になってさっそく、街の神社(お天気神社じゃないよ!)に初詣に来たよ。

 メンバーは、ハレくん、アメくん、フウくん、ライくんのお天気男子たち4人。
 そして……。

「空、太陽くんたちも、あけましておめでとう」

 今日は莉子ちゃんもいっしょ!
 お正月早々、大好きな友だちと過ごせるなんて、すごくしあわせ~。

「それにしても太陽くん、すっごく寒そうだね」

 待ち合わせて会うなり、ハレくんの格好を見て、莉子ちゃんは目を丸くする。

 ぶかぶかの上着、モフモフの帽子、マフラー(2枚も巻いて)、手袋(これも2組重ねて)って、だれよりもしっかり防寒している姿を見ればね……。

「ハレは、寒いの苦手なんだよねー」

「いくら俺でも、ここまで着込むことはないぞ。逆に、動きづらくて危険だろ」

「なーんか、雪だるまみたーい♪ わーい」

「フウ、転がそうとするなっ。あーあ、なんでこんな寒い日に、外に出なくちゃなんないんだよっ。つーか、初詣ってなんだ?」

「えっ。太陽くん、初詣に行ったことないの?」

 またまた莉子ちゃんがびっくりする。
 わたしはあわてて、ハレくんに耳打ちする。

「ハレくんっ、来る前に説明したでしょ? 初詣っていうのは、神社で、今年1年のお願いごとをするイベントだって」

「だから、それなら、お天気神社ですればいいって言っただろ」

「そのお天気神社には、神さまがいないでしょっ」

「空お前……じぶんが神さまだってこと、年を越したら忘れたのか⁈」

「忘れてません!! でも、わたしはあくまで代理だし。わたしも、ほかのちゃんとした神さまにお願いしたいことがあるのっ」

 新年から、ツッコミまくり。
 わたし、そんなキャラじゃないのに~~。

「そらりん~、ハレハレ~、もう並ぼうよ~。この神社、すごい人気あるみたいだしー。お天気神社と比べものにならないじゃん」

 フウくんが感心したように言う。
 ライくんが、こほんっと咳払いする。

「俺の調べでは、この神社は縁結びで有名らしい。願えばかならず、縁に恵まれるといううわさだ。きっと、縁結びに強い神さまがいるんだろう」

 おおっ、さすがライくん。
 この神社は、毎年、恋愛のお願いをする人が多いんだって。
 恋を占うおみくじとか、両想いになれるお守りも大人気らしいんだ。

「莉子ちゃんが、いろいろ調べてくれて、ここに来ようって言ってくれたんだよね」
「うん。でも、本当によかった? 空の家だって、立派な神社なのに……」
「気にしないで! ちょうど今年は、とくべつなお願いをしたかったから」

 わたしたちも、参拝客の列につく。
 おさいせん箱までのなが~い道を、ちょっとずつ進む。

「それにしても、2人とも、気が合ってるって感じだったね」

 並んでいる途中、となりにいる莉子ちゃんに言われた。

「2人って?」

「さっきの、空と太陽くん。なんの話をしているかは分かんなかったけど。空って、太陽くんといると、ちょっと別人に見えるよね。けっこう早口で、たくさんしゃべる感じとか……あっ、いい意味でね!」

 そっか。そんなふうに見えてたんだ。
 たしかに、ハレくんと話してると、会話が途切れないんだよね。言葉もスルスル出てくる。
 ぜんぜんちがうじぶんになったみたいで、心がふわふわしてちょっとヘンな気分。だけど、じつはけっこうたのしかったりするんだよね……。

 どんっ。列の後ろから押されて、前にいるアメくんにぶつかってしまった。

「ごめん、だいじょうぶ?」

「ぼくはだいじょうぶだよ。それより、空ちゃん。あぶないから、ぼくのうでをつかんでて

「え、でも」

「いいから。つかまってくれる方が、ぼくも安心するから」

 ん~。わたしが頭突きして、アメくんにケガをさせちゃうよりはいいかな?
 えんりょしつつ、後ろから、そっとうでにつかまらせてもらう。

「空ちゃん。参拝する前に、聞いていいかな。さっき、言ってたよね。今年はとくべつなお願いをしたいって……空ちゃんも、だれかとの縁結びをお願いしたいの?」

 アメくんは前を向いたまま、質問してくる。

「うん! アメくんたちやみんなと、ずっといっしょに過ごせますようにってお願いしたいの」

 お天気の神さまの代理になって、さいしょはびっくりした。でも、アメくんたちと出会えて、ほんとうによかったって思ってる。
 みんなといっしょにいる時間はたのしくて、それが当たり前になってきてる。
 この先どうなるかは分かんないけど、ずっとこの時間がつづいてほしい。

「この神社は、縁を結ぶだけじゃなくて、強くもしてくれるって聞いたから」

「空ちゃんは、ぼくたちがずっといっしょでもいいの?」

「もちろんだよ」

 ちょっとずつ進んでいた列が、一瞬止まる。
 その隙に、アメくんがくるっとふり返った。

「それなら、よかった。ぼくも、空ちゃんと、ずっといっしょにいられるようにお願いしようと思っていたから

 アメくんは、目を細めて笑っていた。
 すごくすてきな笑顔で、むねがほわ~ってあったかくなる。

 アメくんと話す時間は、ハレくんと真逆。
 ゆっくりで、おだやかで、とにかく落ちつくし安心する。
 1番わたしらしくいられるといえば、そんな感じがする。

 ほんと、お天気男子たちは、4人ともすっごく個性的。
 でもだれといても、それぞれ居心地がいいから、不思議だよねえ。
 みんなが、(元)神さまだからかな?

 それとも、じつは、わたしもすっごく個性的とか⁈ ……いや、それはないよね~。

                     ***

 やっと参拝の順番が回ってきた。
 またこわさないように、慎重に鈴を鳴らす。それから、手を合わせる。
 ちょっと緊張するけど、お天気の儀式のときよりはリラックスしていられる。

(これからも、みんなといっしょにいられますように……)

 心の中で、お願いごとをつぶやく。

(あっ。でもまって。地獄に落ちませんようにって、お願いしたほうがいいかな? 地獄に落ちちゃったら、元も子もないもんね)

(いや、それよりも、こわれた鈴が直りますようにのほうがいいかな? ハレくんたちは、はやく力をとりもどしたいはずだし……)

(でもでも、まって。お天気神社のことを、ほかの神社の神さまにお願いするのは、ルール違反になっちゃうかも?)

「むむむっ……」

「空! いつまでお願いしてんだ!」

 ハレくんの声で、うしろをふり向く。
うしろに並んでいるお客さんたちはみんな、こまった顔で待っていた。

「あわわわっ、ごめんなさい!」

 あわてて横にどくと、こんどはだれかにぶつかった。
 わたし、めっちゃ、めいわくかけまくってくる……。

「すみません! だいじょうぶですか?」

 ぶつかったのは、髪をひとつ縛りにした、神社の巫女さんだった。

「だいじょうぶよ。お友だちと来たの? お願いごとは、ちゃんとできたかな?」

「あー……はい」

「じゃあ、恋占いのおみくじも引いていかない? 今なら空いているから」

 恋占い? でもわたし、今恋とかしてないしなあ……。

「空っ、引いてみようよ!」

 参拝が終わった莉子ちゃんが、うしろからくっつく。

「せっかく来たんだし。列が長くならないうちに!」

 莉子ちゃん、ノリノリだなあ。
 でも莉子ちゃんも引くなら、やってみようかな。

 2人で、巫女さんに案内された場所で、恋占いおみくじを引いてみる。

「うわっ。あたし、大吉だよ」

となりで、莉子ちゃんのうれしそうな声が聞こえた。

想いつづければ叶うって、書いてある。そっかあ、そうなんだ……」

 莉子ちゃんって、好きな子でもいるのかな。
 そういえば、わたしたち、そういう話ってしたことない。
 ほかの女の子たちがしているのを、聞いたことはあるけど……・

「空は?」

「えっと。わたしは……同じ、大吉だよ」

 【 秘めた恋、正直になれば実る 】
 
って、言われてもなあ……。

「どうしたの? あんまりうれしくなそうね」

 巫女さんに、やさしくたずねられる。

「大吉はうれしいんですけど……。わたし、好きな人とか、よく分からなくて。ごめんなさい」

「あやまることないわ。そういう人は、よくいらっしゃるから。でもね、じぶんで気づいていないだけで、じつは心の中に、気になってる人がいたりするのよ

 巫女さんにむねを指さされて、ドキッとしかける。
 あぶない、あぶない。ライくんにおこられちゃうところだったよ。

 でも、心の中にかあ……。
 今まで心の特訓をしてきたけど、そんなこと気づかなかったなあ。

「好きな人って、どうやったら気づけるんですか?」

「そのおみくじをむねに抱いて、目を閉じてみて。さいしょに浮かんだ人が、あなたが心の奥底で気になっている人だと言われているわ」

 ふぅん。

「それにあなたのおみくじには、秘めた恋って書いてあるから、案外身近にいる男の子が恋の相手かもしれないわ。存在が近いほど、無意識に秘密にしたくなるものよ」

 それって、つまり……ハレくんたちのこと?

 いやいや! ハレくんたちは元だけど、神さまだし! 
 それに、恋の相手とか、そういう感じじゃないもん。
 ハレくんは、困ったところもあるけど、ちがうわたしを引き出してくれるすごいコーチって感じだし。アメくん は、いっしょにいて落ちつける、やさしいお友だちって感じだし……。

 ガランッ、ガランッ!

 とつぜん、とんでもなくはげしく鈴を鳴らす音が聞こえた。
 ふり返ると、ハレくんが鈴に向かって、声を上げている。

「おーい! 中に、だれかいるんだろ!」

 ま、まさか! 
 鈴の中に神さまがいると思って、話しかけてる⁈

「いいか、よく聞けよ。人気があるって調子にのってるみたいだがな、おれたちお天気神社のほうが、何倍もすげーんだからなっ

「ハレハレっ、なにケンカしようとしてんの? 同じ神さま同士じゃん。ごめんねー! ねえ、そこにいるんだったら、いっしょに遊ぼうー♪」

 フウくんまで! あわわわっ。

 わたしがパニックになっている間に、アメくんとライくんが、2人をお客さんたちの列から引っ張り出してくれた。

「2人とも、なにやってるの!」

「なにって。堂々と、ライバル宣言してやったんだよ」
「おれは、遊ぼうってさそっただけだよ?」

「そんなことしなくていいんだよ~。もお~、はずかしいよお~」

「ほんとだよ。ぼく、何度も言ってるよね。ぼくたちは、元神さまで、今は人間の小学生だって」

「ハレ、フウ、お前たちも特訓しろ。人間らしくふるまえる特訓をな。俺が、計画を立ててやる」

 はあ~……。本気で、ライくんにお願いしようかな。
 ていうか、新年早々こんなバタバタで、これからどんな1年になっちゃうの?

「……ねえ、みんな。さっきから、なんの話をしてるの?

 莉子ちゃんが、眉をひそめながら近づいてくる。

 しまった! わたしたちったら、うっかり大きな声で……。

な、なんでもないよ! わたしたち、集まるといつもこんな感じで。ありえない冗談ばっかり言い合うの!」

「そうそう、ついはしゃいじゃうんだよねぇ。ねー、ハレ? 空ちゃんに初詣に行こうって言ってもらえたのがうれしくて、あんなヘンなことしちゃったんだよね?」

 アメくんが、ハレくんに目配せする。
 口元は笑ってるけど、目は笑ってない……。

「くっ……。ああ、そうだよ。はしゃぎすぎて悪かったな!」

 ハレくんはやけくそ気味にあやまる。
 莉子ちゃんは、ぎこちない笑みを浮かべた。

「そう……。ほんとうに、仲がいいんだね。近くに住んでるんだから、あたり前だよね……」

 莉子ちゃんが、落ち込んだように顔を伏せる。
 どうしたんだろう……?

「あの、莉子ちゃ……」

「あれ……ない!」

 莉子ちゃんが、バッと顔を上げる。
 こんどはなに⁈

「お財布がない! なくなってる!」

「「「「「ええ!」」」」」

 とつぜんの展開に、みんな大きな声でおどろく。

「そんな、お財布がないなんて……どこかで落としたとか?」

「もしかしたら……でもあたし、かばんに入れたと思うんだけど」

「すられた可能性もあるぞ。人ごみでは、そういうことがよくあるって聞いた」

 ライくんが、真剣な顔で言う。
 それってつまり、だれかに盗られたってこと⁈

「すれちがったときや、ぶつかったときに、気づかないうちに……」

「あっ、そういえば。空たちに話しかける前に、知らない人とぶつかったよ」

「莉子ちゃん、どんな人とぶつかったの?」

「えっと。緑色の上着に、青いニット帽子をかぶった男の人……

「はっきりはしないが、その男にすられた可能性もあるな」

「じゃあ、その人にたしかめて、もし持ってたら、返してもらはなくちゃ!」

 さっそく、あたりを見わたす。だけど、それらしき人は見当たらない。
 ていうか、人が多すぎる……。

「まず、どうやって見つけよう?」
「この人ごみだからね。もしかしたら、もういない可能性もあるね」

 莉子ちゃんのお財布は、ぜったい見つけなくちゃいけないのに。

「あの、もういいよ。たぶん、見つけられないだろうし」

 莉子ちゃんが、首を横にふる。
 
「お財布には、ほとんどお金は入ってなかったの。ママから、あんまりたくさんお金を持っていくのはあぶないって言われてたから。あとは、おみくじが入ってただけで……でも、それももういらないし」

「なんで? 大吉だって、よろこんでたのに」

「うん。でもやっぱり、叶わない気がするし……

「あきらめんな!」

 ハレくんが、ズバッと言う。

「この神社の神さまが、どんなやつかは知らない。でもな、神さまっていうのはウソをつかないんだ。だからじぶんから、運を手放すようなことはするな。おれが、かならず見つけてやる

「太陽くん……」

 莉子ちゃんがうるんだひとみで、ハレくんを見つめる。

さがせば、ぜったい見つかる! 手分けして、男をさがすんだ」

「まて」
 ライくんが、止める。
「せっかくだから、人間の子どもらしくふるまえる特訓をしながら、この神社にいる大勢の客たちにも手伝ってもらって、さがさないか?」

 ライくんはめずらしく、ちょっとたのしそうに言う。
 いったい、なにを思いついたの……??

                         ***

「こまった……どうするかな……」

 ざわざわ。まだまだお客さんが途絶えない神社の中。
 ライくんはぽつんと1人、すっかりこまって、うなだれている。

 すると、2人のお姉さんが近づいてきた。

「どうしたの? だいじょうぶ?」
「もしかして、迷子?」

お父さんとはぐれてしまって。どこに行ったんだろう」

 ライくんは、淡々と話す。
 あんまりこまってる感じには見えないけど、お姉さんたちは心配そうに顔を見合わせる。

「お父さんは、どんな人なの?」

緑色の上着に、青いニット帽子をかぶっています」

「じゃあ、お姉さんたちが、さがしてきてあげる!」
「すぐに見つけてあげるからね!」

「ほんとうですか? ありがとうございます」

 ライくんはまじめな顔のまま、ぺこっと頭を下げる。
 お姉さんたちは、全力でさがしに走り出した。

「ふう。これで見つかるといいな」

 うしろにいたわたしを、ライくんがふり返る。
 これがライくんの作戦
 莉子ちゃんとぶつかった男の人を、はれぐたお父さんってことにして、わたしたちはこまってる子どもの演技をする。
 そして周りのお客さんたちにも、見つけるのを協力してもらうの。

 ほかのみんなも、今ごろあちこちで演技をしているはず。
 わたしは、言い出したライくんの演技が1番心配だったから(だっていつも大人っぽいから)、いっしょにいたの。

「ハレたちもしっかり、父親とはぐれた子どもを演じられていればいいが」

「うーん。ほかのみんなは大丈夫だと思うよ。わたしは、ライくんの方が心配だったよ。ライくんって、ふだんからあんまり表情が変わらないから」

「そうか? お礼を言うときは、なるべく笑顔をつくったつもりだったが。んー……」

 ライくんは、さらにむずかしい顔をして考えだす。

 ライくんはまじめで、いつも落ちついているのがいいところ。
 でも、本気で笑った顔って、どんな感じなんだろう
 ハレくんたちは、見たことあるのかな。わたしには、見せてくれる日が来るのかな……。

「空」

 急に、ライくんが顔を近づけてきた。
 わたしの頭に手をのばして、髪をさわる。

「枯れ葉がくっついてたぞ」

 ありがとうって、言おうとした。
 でも、

「いつか、ライくんの本気の笑顔を見てみたいなあ」

 クールな顔のままのライくんの顔が近くにあって、つい本音がもれた。
 ライくんはいっしょに過ごせば過ごすほど、知りたいことや見たい顔がたくさん出てくる。

 ちょっときびしくて、すごく心配性なんだけど。わたしには、とっても不思議な人……。

 ライくんはしばらく、なにかを考えている様子だった。
 でも、わたしをまっすぐ見て、口をひらいた。
 
「俺はあんまり、気持ちを顔に出すのは得意じゃない。でもいつか、本気の笑顔を見せるとしたら、相手はきっと――

「見つかったってーーー!!!」

 フウくんの大きな声が、聞こえた。

「そらりん! ライ! ハレハレが、犯人を見つけて追いかけてる! アメメとりこりんも!」

「行こう、空」
「う、うん!」

 ライくんの言いかけたことが気になったけど、今はそんな場合じゃないよね。
 人ごみをかきわけて、呼びに来たフウくんの後を追いかける。

「あっ、わあ!」
「そらりん!」

 転びそうになったけど、すぐにフウくんがかばってくれた。

「ごめんね。あの、わたしは置いていっていいよ。わたしのペースに合わせてたら、おそくなっちゃう」

 ほんと、かんじんなときに役に立たない。むしろ、足を引っぱっちゃう……。

「ライ、先に行ってて。ハレハレたちは、神社の外に向かって追いかけてるから。おれは、そらりんといっしょに追いかけるね

 フウくんはライくんを行かせてから、わたしの肩に手をまわした。

「そらりん。足は結べないけど、運動会の二人三脚みたいに走ろう! 転びそうになっても、おれがささえるから、だいじょーぶ!」

「え!」

 まさかの提案に、びっくり。初詣で二人三脚って……。
 想像しただけでヘン過ぎて、思わず笑っちゃう。でもすっかり、気が楽になった。

 わたしも、フウくんの肩に手を回す。
 
「莉子ちゃんのために、がんばらなくちゃね」
「そうだよ、そらりん。行こう!」

 フウくんは、たのしい。くよくよしやすいわたしの心を、いつも軽くしてくれる。
 それにいざってとき、すごくたよりになるんだよね。

 ……って、わたし、さっきからお天気男子たちのこと考えすぎじゃない?
 ふいに、あの巫女さんの言葉が頭に浮かぶ。

――案外身近にいる男の子が恋の相手かもしれないわ。
――存在が近いほど、無意識に秘密にしたくなるものよ。


 い、いや! だから、ちがうもん!
 みんなは、すごーくだいじな仲間だもん。
 ていうか今は、莉子ちゃんの財布を見つけることに集中しなくちゃ!

                           ***

「おい、待て!!!」

 フウくんと追いかけていたら、ハレくんの後ろ姿が見えた。
 ちょうど、すりの犯人かもしれない男の人に、飛びかかろうとしていたときだった。

「とりゃあ!」
「わああ!!」


 男の人は声を上げて、地面にたおれた。
 ハレくん、アメくん、ライくん、フウくんはすぐにおさえこむ。

 わたしは莉子ちゃんと手を取り合って、様子を見守る。

「いたい! いたいから、はなしてくれ! お前ら、だれだよ? おれがなにしたっていうんだよ?」

「お前が財布を盗ったすりの犯人じゃないって分かれば、はなしてやる。でも、もし、財布を盗ったんなら……」

 周りの大人たちが、会話を聞いて、集まって来る。

「なに、すりって?」 「そういえばさっき、財布を失くしてこまってる人がいたわね」
「まじ? ……あれ、あたしのもない!」 「あっ、おれもない! いつの間に?」

「~~~! 分かったよ、盗ったのはおれだよ! 返すから、はなしてくれ~」

 男の人はとうとう、じぶんがすりの犯人だって告白した。
 莉子ちゃんだけじゃなくて、ほかの人たちのお財布も盗ってたんだ!

 ハレくんたちはおさえこむのをやめて、代わりに、逃げられないようにぐるっと周りを囲んだ。

 すり犯は、すっかり抵抗する気力を失くしたみたい。上着のポケット、ズボンのポケット、帽子の中、体のあちこちから財布をとりだす。

「あっ、あたしの財布

 莉子ちゃんが、ピンク色のふたつ折りの財布を指さす。
 ハレくんがすぐさま、とり返す。

「ったく。いいか、他人のものうばっても、じぶんのものにはならねーんだよ。ほしいものがあるんだったら、自分の力で手に入れろ!

 すり犯に一喝してから、莉子ちゃんに財布をわたしてあげる。

「ほら。もう、盗られるなよ」

「うん! ありがとう! それからあの、太陽くん……

 急に、莉子ちゃんがもじもじし出す。

「太陽くんの言ったとおり、あきらめずにがんばるね。あたしも、じぶんの力で手に入れてみせる!

「ん? ああ。よく分かんねーけど、がんばれ

 満面の笑みを浮かべる莉子ちゃん。
 こんな顔、今まで見たことない。

 もしかして、莉子ちゃんの好きな人って……まさかね? 

 でも莉子ちゃん、ハレくんの転校初日から、「同じクラスでよかった」って言ってたような。
 この神社に来ようって言ったのも、莉子ちゃんだし……。
 分かんない、分かんないけど。もし、そうだったら……。

 わたしは、じぶんのむねに手を当てる。
 わたしがじつは気になってる人って、だれなんだろう。
 気づかないだけで、もし本当にいるなら、知りたくなってきちゃった……。

 あの巫女のさんに言われたとおり、恋占いのおみくじをむねに抱いて、目を閉じてみる。
 わたしのまっ暗なまぶたの裏に、さいしょに浮かんだのは――。

                   ***

「そっか。空、今日寝坊しちゃったんだ」
「うん。ママに呼ばれて、やっと起きたの」

 お昼休けいの時間。
 莉子ちゃんとトイレに行った帰りに、今朝、遅刻しそうになった話をしていた。

すごい夢見ちゃって、なかなか目が覚めなかったんだよね」

「どんな夢見たの?」

「それがね、初詣の夢だったの。莉子ちゃんやハレくんたちと、神社にお参りに行ったんだ。でもね、莉子ちゃんのお財布がすられて、大騒動だったの

「えっ、なにそれ。もお~、夢でもやめてよ~」
 莉子ちゃん、ぷくっとほおをふくらませる。
「ていうか、今まだ七月なのに年越しの夢? そんな調子で、こんどの林間学校だいじょうぶ?」

「それはもう、だいじょうぶだよ~。準備も、けっこうすすんでるんだ」

 そうだ。ハレくんたちにも、準備の仕方を教えなくちゃね。

 林間学校の話に変わったところで、べつのクラスの女の子たちとすれちがった。

「林間学校、まじでたのしみ。夜さあ、ぜったいやばいことになるよね」
「ねえ、ほんとうに言わなきゃだめなのかなあ」

 夜? 

「みんな、キャンプファイヤーがたのしみなんだね」

「えっ、ちがうでしょ。さっきの、2組の子たちでしょ? 1日目の夜に、2組の女子は集まって、好きな人を告白し合うんだって」

 莉子ちゃんの話にびっくりして、足が止まる。

「そうなんだ! ほわあ~」

「ほわあ~って、なに感心してるの……。まあ、1組は、そんな話にならなくてよかったよ。好きな人をみんなの前で言うなんて、きつすぎる

「え。莉子ちゃんは、好きな子がいるってこと?」

 莉子ちゃんの表情が、かたまる。
 でも顔の色は、みるみる赤くなっていく。

 まって。あの夢が、もし現実といっしょなら……。

「も、もしかして、莉子ちゃんの好きな人って――」

い、いないよ! いきなりヘンなこと聞くからびっくりしちゃった。ていうか空は、どうなの? 気になる人とかは?」

「わたし? わたしは――

 ふつーに、いないよって答えるつもりだった。
 でも、夢のさいごに、目を閉じたときに見えた人を思い出してしまった。

「空……顔が赤い! いるんだ!」

ち、ちがうよ。もう教室にもどろう!」


 まさか、まさかね。
 うん、あれが現実なわけない。夢は、あくまで夢に決まってるもん……!

トクベツ書き下ろしエピソード『恋せよ、初詣?』おしまい


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「お天気係におねがい!」をもう読んだみんなからのコメントも
どんどんお待ちしています♪

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そして、今日(1月1日)から『お天気係におねがい!』2巻のためしよみ連載がスタート!
ひとあし先にためしよみしちゃおう♪


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『お天気係におねがい!(2) 霧につつまれた林間学校』は1月7日(水)発売予定!
どうぞおたのしみに☆


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『社長ですがなにか?』も要チェック!
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