編集部より
NEW!
大人気の新シリーズ2巻目が大好評発売中★
「お天気係におねがい!」の1巻はもう読んだ?
あらすじをさっそくチェック!
<あらすじ>
わたし、天川空。5年1組の“お天気係”なんだ。
ある日うっかり、お天気神社の大事な鈴をこわしちゃって――
天気をあやつる、神さまの力を手に入れた⁉
かわりに力をうばわれた元・天気の神さまたち、
ハレ・アメ・フウ・ライくんがいうには
みんなのお願いを聞いて、正しく天気をあやつれないと
わたしたち全員、神さま失格で地獄行き⁉
さっそく届いた「運動会を晴れにしてほしい」ってお願い、
じぶんに自信がないわたしだけど・・・カクゴをきめた!
みんなの願い、お天気係(わたし)がかなえてみせるよ!
3月9日は主人公、空ちゃんのお誕生日!
お誕生日にまつわるスペシャルストーリーを大公開☆
『お祝いせよ! お天気の神さまの初? お誕生日』
「柴~、誕生日おめでとう~!」
今日は、クラスメイトの柴くんの誕生日。
教室で、みんなが、「おめでとう」って声をかける。
「これで、おれも11歳かあ~。このクラスで、おれより先に誕生日のやつはいないから、おれが1番年上だな!」
柴くんは鼻をひくひくさせながら、自慢げに言う。
「あっ、でも……。おい、太陽」
くるっと、柴くんがこっちを向く。
「お前の誕生日はいつだよ? まだ聞いてなかった」
え! 柴くん、誕生日を気にするくらい、ハレくんと仲よくなったんだ!
「お前が、おれより誕生日がおそかったら、おれのほうが年上! センパイだからな!」
あっ、それを言いたかったのね……。
「柴くんも、子どもだよねえ。でも、あたしも知りたいかも」
莉子ちゃんが、少しだけはしゃいだ声で言う。
でも、莉子ちゃんだけじゃなくて、みんなが知りたがっているみたい。
おしゃべりしていた子も、本を読んでいた子も、ピーンと耳を立ててる。
わたしも、知らないんだよね。そういえば、いつなんだろう。
まあ、誕生日がいつでも、ハレくんがものすごく年上なことに変わりはないんだけど。
「誕生日……? ああ、生まれた日を祝うとかいう、人間の行事か」
ハレくんは首をかしげたあと、つぶやくように言った。
人間の行事って……。もしかして、神さまにはないイベントなのかな?
ハレくんはふんって鼻で笑ってから、柴くんの肩に手を置いた。
「心配するな。お前は一生、オレより年上になることはぜったいない!」
すごーく自慢げに言うハレくん。
柴くんが、あわてはじめる。
「なっ……。おれより前に、誕生日があるのか? いつなんだよ、言えよっ」
「いつだろうと関係ねーよ。お前は、オレに追いつくことはできねーんだよ。年も、勉強も、運動もな」
「はあ⁈ 勉強と運動はカンケーないだろ! いいから、教えろよっ」
「やだね」
ハレくんはぺろっと舌を出して、ことわる。
こんなに言いたくないってことは、いくら年上でも、誕生日は柴くんより後なのかな?
ほかのみんなの誕生日も知らないし……。
帰り道、教えてもらおうっと。
***
「――教えるもなにも、俺たちに、誕生日はない」
帰り道、さっそく聞いてみたら、ライくんはきっぱり言った。
当然、わたしはびっくりして、その場に立ち止まる。
「え! なんで?」
「なんでって言われても、ねーもんはねーんだよ。だから、柴の質問にも、答えられるわけがねーんだよ」
「人間の世界だとあたり前だけど、ぼくたち天気の神さまにはないよねえ」
みんな、誕生日がないことをふつーに受け止めてる。
でも、わたしだったらかなしいよ。
「みんなの誕生日、お祝いできないなんて……」
「空の気遣いには感謝する。でも俺たちは、祝ってもらはなくてもだいじょうぶだ」
「今までも、祝ってもらったことはないし」
「そんなに、興味ねーしな」
「そんなこと言われたら、ますますかなしいよ」
「おれは、お祝いしたい! みんなで盛り上がりたい!」
フウくんだけが、手をあげる。でも、
「誕生日がないのに、祝うことなんてできないだろ。あきらめろ」
ライくんに言われて、フウくんはすねたように口をとがらせる。
ん~、誕生日がないかあ。ないものは、ないもんね。
でも、ないなら、いっそ――。
「つくったら、だめかな……?」
わたしの口が、勝手に動く。
「わたしが、みんなのお誕生日を考えるから。ねえ、考えてもいい?」
「それは……どうなんだろうな。まあ、ルール違反にはならないしな」
「いいじゃん! 誕生日、つくってほしいよ!」
「空ちゃんが考えてくれるなら、ぼくもうれしいな」
「まあ、誕生日があって損はないしな」
やった~!
みんなの誕生日をつくれる~……あれ、まって。
神さまの誕生日をつくるって、すごく重要なミッションじゃない?
急にプレッシャーが……。
いやでも、神さまだって、誕生日がないよりあった方が、ぜったい良いに決まってる。
みんなにぴったりな誕生日を、考えよう!
***
家に帰って、ひさびさに、占いの本をひらいた。
むかし、おばあちゃんからもらったものなんだ。生まれた月とか、星座とかで、じぶんの性格を占ったりしてた。
お天気男子たちも、この占いの本から、似合う誕生日を考えようっと。
「えーっと、まずはハレくんから……」
ハレくんはやっぱり、夏! ってイメージだなあ。
パラパラ、ページをめくる。しし座の、強そうな絵に目がとまった。
「しし座かあ。えっと、しし座の人の特徴は、たのもしい、リーダータイプ。情熱的で、負けず嫌い……」
ハレくんそのものじゃん! まずは、しし座決定ね。
それから、いろいろな数字の組み合わせを考えて、8月1日にする。
「つぎはアメくんね。えーっと……」
ほかの3人も、本をめくりながら、性格や雰囲気から、ぴったり似合う誕生日を考えた。
頭をいっぱい使うからたいへんだけど、すごくわくわくする。
みんな、よろこんでくれるといいなあ。
***
「――ついに、できました! みんなの誕生日」
神社に行って、さっそくみんなに発表する。
「ハレくんは、8月1日。アメくんは、10月10日。フウくんは、5月5日。ライくんは、9月20日です! どうかな?」
緊張しながら、みんなの反応を待つ。
でも4人とも、ポカーンとしているだけでなにも言わない。
「もしかして、だめだった……?」
「えっ? ちがうよ、空ちゃん。もちろん、うれしいよ。ただ……」
「数字だけ言われても、よく分からねーんだよ。誕生日を決めて、つぎはどうするんだ?」
「あっ、それは言ってなかったね。もちろん、誕生日をお祝いするパーティーをひらきます!」
「やったあ~! なにする? 誕生日って、どうやってお祝いすんの~?」
フウくんが、まっ先にはしゃぐ。
でもわたしは、手のひらを向けて、ストップをかける。
「まって。フウくんは、お祝いしなくていいよ。ていうか今回は、フウくんはお祝いされるほうだから」
お天気男子たちが、いっせいに首をかしげる。
「今、1番誕生日が近いのは、フウくんだから。ほかのみんなで、フウくんの誕生日をお祝いするの!」
手を組んで、みんなに提案する。
でも……。
「祝うって、なにするんだよ」
「ぜったいにしなくちゃいけないのか?」
またまた、反応がいまいち。
みんな、まだピンッときてないのかなあ。
「そらり~ん」
フウくんが、わたしの服のすそを引っぱる。
「おれ、ハレハレとアメメとライでお祝いって、だいじょうぶか心配なんだけど~」
「どうして?」
「ハレはセンスないし~」
「はあ⁈」
「アメメは、お祝いのときでも、すぐ泣いちゃうし」
「そ、それは……」
「ライは、すごくつまんないし!」
「フウ、お前……」
フウくんにはっきり言われて、ハレくんたちは肩をぷるぷるふるわせる。
「分かったよ! 誕生日のお祝い、やってやるよ!」
ハレくんが、大声で宣言する。
「フウが、オレたちに、ちょ~~感謝したくなるようなパーティーにしてやる!」
「ぼくも、ぜったいにフウを感動させてみせる! ぼくは泣かないからね」
「俺も、パーティーの準備くらいカンペキにできることを証明してやる」
アメくんとライくんも、やる気満々。
うんうんっ! これなら、すてきな誕生日パーティーをひらけそう。
わたしは、フウくんの手をぎゅっとにぎって言った。
「だいじょうぶ、何にも心配いらないよ。フウくんは、たのしみにまってて!」
***
さっそくみんなで、フウくんの誕生日の企画を話し合うことに。
「じゃあまずは、フウくんにあげるプレゼントを考えよう。誕生日で1番大事なのは、やっぱりプレゼントだからね」
「ぷれぜんと? なんだそれ」
「お祝いする人の好きなものを作ったり、買って送ったりすることだよ。みんな、フウくんがよろこびそうなものって、なにか知ってる?」
「フウがよろこぶものねぇ。なにやっても、よろこぶんじゃね?」
「ハレ、またそんな適当なこと言って……でも、たしかにそうかも」
「俺にも分からない。こういうお祝いは、むしろ、フウの得意分野だからな」
ガクッ。
このままじゃあ、話がすすまないよ。
「みんな、あきらめないで! フウくんがとびきりよろこぶ、とくべつなものは、かならずあるはずだよ」
みんなで、う~んってうなりながら考える。
「そうえいば」
ふっと、ライくんが顔を上げる。
「この前テレビで、バケツプリンを見て、じぶんも食べてみたいとか言っていたな」
「プリン……」
それなら、わたしたちにもつくれるね。
バケツプリンってところが、たいへんだけど、フウくんがかぶりつくところを想像すると、作るのがすごくたのしみ。
「じゃあ、とびきりおいしくて、大きいプリンをプレゼントしよう!」
誕生日パーティーの計画が決まった。
それから、部屋のかざりつけを用意するチームと、プリンの材料を買ってくるチームに別れた。
わたしとハレくんはプリンチームになって、さっそく買い物に出かける。
「ただのプリンじゃなくて、生クリームもたっぷりのせて~。いろんなフルーツも、いっぱいかざって~。うんっと豪華にしなくちゃ。ねっ、ハレくん!」
後ろを歩いているハレくんを、ふり返る。
ハレくんはめずらしく、ボーッとした顔で、わたしを見ていた。
「なに?」
「オレが、こんなこと言うのもおかしいけどさ。空、気合入りすぎじゃね?」
図星をつかれたように感じて、足が止まる。
「お前が、こんなに率先してはしゃぐのって、めずらしいだろ。誕生日、好きなのか?」
「好きっていうか……。誕生日って、すごく大切だと思うから。生まれてきてくれてありがとうって言ってもらえるって、うれしいんだよ」
「ふーん。でも、それだけか? オレには、お前がムリしてるようにも見えるけどな」
あっ……。
やっぱり、ハレくんにかくしごとはできないみたいだね。
「わたし、誕生日には、ちょっとうれしくない思い出もあるんだよね。わたしの誕生日は毎年ね、おばあちゃんががんばって準備してくれていたの。でも、おばあちゃんが亡くなったつぎの年、パパもママもうっかり忘れてたんだよね」
話しながら、むねがズキッとした。
そっと、右手でおさえる。
「だから、ほかのだれかの誕生日は、ぜったいに忘れたくなくて。おばあちゃんみたいに、がんばってお祝いしたいの。そうすれば、わたしの誕生日も、だれかが覚えててくれるかもって……」
ちょっとなみだ出そうになって、ぶんぶんって顔を横にふる。
だめだめっ、泣いちゃだめ。
「パパもママもね、しごとがいそがしかったから、しかたなかったんだ。だって、それからは、ぜったいに忘れないんだよ。むしろ、今までよりうんとお祝いしてくれるの!」
ハレくんはだまったまま。
やっぱり、誕生日の話をされても、よく分からないよね……。
「……それでも」
ハレくんが、ゆっくり口をひらく。
「忘れられるのは、かなしかっただろ」
ハレくんは、やさしい声で言った。
がまんしていたなみだが、一気にあふれる。
分かってる。パパもママも、しかたなかったんだって。
でもハレくんの言うとおり、かなしかった。わたし、ほんとうは……。
「でも、もう心配するな! これからは、オレたちがぜったいに忘れないし、ばっちり祝ってやる」
ハレくんが、ニカッと笑う。
ああ、ほんとうに、ハレくんの笑顔ってずるいなあ。
なんか、泣いてるのがもったいなく思えてきちゃった。
なみだをぬぐって、わたしもニカッと笑う。
「ハレくん、ありがとう」
「泣いているひま、ねーぞ。フウをびっくりさせてやるんだ!」
「うん! たのしい誕生日にしようね」
***
フウくんの誕生日、当日――。
「じゃあ、みんな。これから、フウくんお誕生日パーティー計画を始めるよ」
放課後、フウくん抜きでこっそり集まった。
「わたしとハレくんとアメくんは、先に帰って、部屋のかざりつけとプリンの準備ね」
必要なかざりつけは、ちゃんと用意してある。
プリンも、きのうの夜のうちに冷蔵庫に冷やしてある。
あとは、仕上げをカンペキにしなくっちゃね。
「ライくんは、フウくんとおそめに帰ってきてね」
「そのことなんだが。同じ道をつかって帰るのに、どうやっておそく着けばいいんだ?」
ライくんが、まじめな顔で聞いてくる。
「それは……寄り道するとか、ちょっとウソついて用事をたのむとか?」
「登下校の寄り道は、ルール違反だ。それに、ウソをつくような用事もない」
「こまかいやつだな!」
ハレくんが、イライラしはじめる。
アメくんがほほ笑みながら、「それじゃあ」とべつの提案をする。
「来週の国語の時間にやる、おススメの本紹介用の本を、図書館に借りに行くのはどうかな。授業のために行くんだから、悪いことじゃないし。そこで、なるべく時間をかせいでくれる?」
「分かった。それなら、できると思う」
「ライくん、まかせたよ! ハレくんとアメくんは、わたしといっしょに、いそいで準備しよう!」
***
「よし! 部屋の用意は、カンペキだね!」
ダッシュで神社に帰ってきて、すぐにかざりつけにとりかかった。
フウくんお誕生日おめでとうの、くす玉も設置OK!
「じゃあ、あとはプリンを仕上げればいいんだよね」
「うん。フルーツや生クリームで、きれいにデコレーションするの」
三人そろって、台所に移動する。
それから、冷蔵庫を開けた。
「さあ、プリン――ええっ⁈」
な、なんてこと……。
「どうした、空」
「プリンが、どうかしたの?」
「そ、それが……プリンがないの‼」
今朝はあったのに!
わたし、早起きして神社に来て、ちゃんと固まってるかたしかめたもん!
「おい、ウソだろっ。どこに消えたんだ⁈」
「分かんないよ~!」
はわわっ、プリンがメインの誕生日パーティーなのに~。
「とにかく、フウたちが帰ってくるまでに見つけないと……」
「見つけるったって、どこをさがすんだよ? 冷蔵庫から、プリンが勝手に出るわけねーし。あっ、夜雲が出したか?」
「それはないよ。パーティーのこともプリンのことも、ちゃんと伝えてあるんだもん」
もう、どうしよう。
「なくなったプリンのことを考えても、しかたねー。もう1回つくるぞ」
「ムリだよ。プリンはかたまるのに、時間がかかるから」
「んー。プリンの代わりになりそうなものが、あればいいんだけど……」
「お前たち、なにやってるんだ?」
いつの間にか、けわしい顔をしたライくんが、うしろに立っていた。
「ライくん! 帰って来たの? フウくんも?」
「ああ。あいつは今、部屋にいる。それより、パーティーの計画を変更したのか? フウが帰ってきたら、くらっかー? を鳴らして出迎える予定だったろ」
「それが、バケツプリンが消えちゃって……」
ライくんが、無言でおどろく。
「なんだって? プリンが勝手に消えるなんて、そんなわけない」
「わたしたちにも、なぞなの。フウくんのために、がんばってつくったのに――」
「ねえ~、みんな~。なにしてんのー?」
待ちきれなくなったフウくんが、とうとう来ちゃった!
「部屋のかざり、めっちゃいいね~! でも、誕生日パーティー始めないの? ここでみんな集まって、なにしてんの?」
わたしたちは顔を見合わせて、あきらめる。
もう、正直に話すしかないよ。
「ごめん、フウくん。ほんとうは、バケツプリンをプレゼントするはずだったんだけど、なぜか行方不明になっちゃって……」
「えっ!」
フウくんがびっくりした顔をする。
ああ、がっかりさせちゃう……。
「あのプリン、そらりんたちがつくってくれたの?」
んんっ⁈ あのプリン?
こんどはわたしたちが、びっくりする。
「フウくん。もしかして、バケツプリンのこと知ってるの?」
「うん。だっておれ、今日の朝食べちゃったもん」
フウくんは、あっけらかんと言う。
なっ、なっ……食べたって。じゃあ――。
「犯人は、お前かよ!」
ビシッ!
ハレくんはおこりながら、フウくんを指さす。
「オレたち、どんだけあせったと思ってんだよ!」
「だって~。おれが夢見てた巨大プリンがあったから、つい。でも、そっかあ」
フウくんがにんまりした顔を見せる。
「あのプリンが、おれへの誕生日プレゼントだったんだね~。めっちゃおいしかったよ。みんな、ありがとうね!」
「ほんとうは、今見せて、おどろかせたかったんだけど……」
「じゃあ、もう一度――」
「作らないからな」
ライくんが、はっきり言う。
「まったく、はあ。誕生日のお祝いっていうのは、つかれるものだな。いつも以上にハラハラさせられる」
「そうだね。それにけっきょく、成功させられなかった。フウに見つからないよう、もっとちゃんとかくさなくちゃいけなかったね」
アメくんが、がっかりしたように言う。
わたしも、お天気男子初の誕生日のお祝い、カンペキにやりたかったな……。
「でも、つづけるぞ。オレたち全員の誕生日、お祝いするって決めたんだからな」
ハレくんが、前向きに言う。
「今回が成功しなかったんなら、つぎは成功させるんだよ。そうだろ、空」
つぎ……。うん、そうだよね。誕生日は、毎年やってくるもの。
これからも、ハレくんたちといられれば……。
「ハレくんの言うとおりだね! つぎはぜったい、成功させようね!」
「つぎって、ハレじゃない? ふふふっ、それはちょっとたのしみかも……なにしようかなあ」
「おい、アメ。そのたくらんでる顔やめろ! 言っとくが、お祝いだからなっ。嫌がらせするんじゃねーぞ」
「こんどは、もっと、念入りに計画を立てないとな。今から、ハレの誕生日の話し合いをしよう」
「えー! 今日はおれが主役じゃん! ……って言っても、おれ、ハレハレがよろこびそうなアイデア、もう10個も思いついちゃってるんだよね~」
みんな、すっかりはしゃいでる。
よかった。誕生日を好きになってもらえそうで。
これはこれで、成功だった? のかな。
***
「柴。この前の質問に、答えてやるよ」
よくじつの放課後。帰る前に、めずらしく、ハレくんから柴くんに声をかけた。
みんなびっくりして、教室の視線が2人に集まる。
「この前の質問……? あっ、誕生日の!」
柴くんは思い出したあと、なぜか身がまえた。
「どうしたんだよ、急に。なんか、こえーな……」
「べつに、知りたくねーなら言わねーよ」
ザッ!
とつぜん、クラスの女子たちが立ち上がった。
「だめだめっ! あたしは知りたい!」
「わたしも! 太陽くんの誕生日に、おめでとうって言いたいもん!」
「柴っ、ちゃんと聞いてよっ。太陽くんから、じぶんのこと教えてくれるなんて、すごいチャンスなんだからっ」
「うっ、うるさいなあ! これは、おれと太陽の話なんだよっ」
柴くんは女子たちに言い返してから、ハレくんに顔をもどす。
「まあ、聞いてやってもいいぜ。それで、誕生日はいつなんだよ」
「オレの誕生日は、8月1日だ」
ハレくんが答えた瞬間、女子たちはノートにメモする。
柴くんはゆっくり瞬きをしたあと、「なーんだ!」って笑った。
「やっぱり、おれよりおそいんじゃん! おれに負けると思って、言いたくなかったんだな?」
「べつに、そうじゃねーけど。つーか、誕生日に、はやいとかおそいとか関係ないだろ。だいじなのは、じぶんや周りのやつが、ちゃんと知ってるってことじゃねーの?」
ハレくんは、「じゃあな」って柴くんからはなれる。
誕生日なんて興味ないって言ってたハレくんが、あんなこと言うなんて。
ふふっ。誕生日を考えた甲斐があったな~。
「太陽くん、やっぱりカッコいい……」
「同い年なのに、すっごい大人っぽいときがあるよね!」
「柴とぜんぜんちがう~」
「なっ! なんで、おれが負けたかんじになってるんだよっ。くっそ~~~! ぜったい、いつか太陽に勝ってやる! なにかで!」
ムキになって、バタバタする柴くん。
ハレくんは顔だけふり返って、「いつでも、勝負してやるよ」って答える。
それから、わたしを見た。
なんだか、うれしそうな表情をしている。
「空、帰ろうぜ」
「うん!」
わたしたちは、さわがしい教室を出て下駄箱に向かう。
すると、アメくん、フウくん、ライくんが、先に来て待ってくれていた。
4人の誕生日は、わたしが知ってる。
わたしの誕生日は、4人が知ってくれている。
わたし、ほんとうに、みんなと出会えてしあわせだよ。
トクベツ書き下ろしエピソード 『お祝いせよ! お天気の神さまの初? お誕生日』 おしまい
空ちゃん、お誕生日おめでとう!
『お天気係におねがい!②』も大好評発売中★
みんなからのコメントもどんどんお待ちしています♪
作品のページからおくってね!
あさつじみかさんの人気シリーズ
『社長ですがなにか?』も要チェック!
第11回角川つばさ文庫小説賞《金賞》受賞のゼッタイおもしろいシリーズだよ!