編集部からのお知らせ


ーー「みんな、おまたせ!」

\大人気シリーズが、パワーアップしてついに帰ってくる!✨/

2月13日に角川つばさBOOKSから発売される、
「こちパっ!」シリーズの完全新作……
「新こちらパーティー編集部っ! ひよっこ編集長ふたたび!」

このページで、ちょっぴり早く、ためし読みができちゃうよ!
2月12日(水)まで、毎日更新予定!

「みんな、準備はいい? それじゃあ、レッツゴー!!!」







「何でエンマがここにいるの?」
 エンマにそう尋ねると、彼のかわりにしおりちゃんが口を開く。
「正確に呪うためには情報が必要なので。情報通のエンマ君にも手伝ってもらっていたんです」
「アンタ、手伝ってないで貞子を止めなさいよ」
「止めたらオレがやられるに決まってるだろ」
 カレンさんとエンマがコソコソと密談を交わしている。
「ふふふ」
「─何笑ってんだよ」
「エンマってば、そんなこと言ってぇ。本当はしおりちゃんの呪いが完成しないよう、見張ってたんじゃないの?」
 完成したら大変なことになっちゃうもの!
「ばっ。そんなお人よしなことするわけねーだろ」
 やはり図星なのか、エンマの声が少しうわずる。
「ち、ちなみにエンマはあたしが編集者になるのをあきらめようとした理由も知ってるの?」
「あー。あの警察沙汰の奴だろ」
 ぐおおおおおおっ。さすが、ご存じでいらっしゃる!
 三ツ星学園時代は、生徒だけでなく先生たちの秘密も握っていて、めちゃくちゃ恐れられてたもん!
 だけど……エンマが何でもお見通しなら、安心してあの質問ができる。
「それなら話は早いや。エンマはもう一度あたしが『パーティー』を作ってもいいと思ってる?」
「バーカ。オマエ以外に誰が作るんだよ。絶対作れ」
 キッパリと言われ、「どうして」と思わず心の中の言葉が声に出る。
「オマエが作らなきゃ、オレたちも一緒に遊べねーだろ」
 ええええっ。そんな簡単な理由!? あたしはガックリと肩を落とした。
「いやいや。あたしがやらなくたって、みんなは編集部に入れてもらってやればいいじゃん」
「ゆのさん、それは違います。ゆのさんがいなくなったら、その雑誌は私たちの『パーティー』ではありません」
 キッパリと告げるしおりちゃんの言葉に、カレンさんも同感というようにうなずいた。
「雑誌の色は編集長で変わるんです。私たちはゆのさんが編集長として作る『パーティー』を一緒に作りたい。だからゆのさんと一緒でなくてはダメなんです」
 3人の顔を見ていると、一人部屋にいた時からは考えられないような勇気がわいてくる。
 それはまるで『パーティー』を読んでいた時のワクワクした明るい気持ちに似ていた。
 ああ、あたし。今モーレツに雑誌が作りたい!
 しおりちゃんとカレンさんとエンマと3人で、さっきまでの自分みたいに落ち込んでる人だって笑顔にしちゃうような雑誌を作りたい。─いや、作るんだ!
「みんな……ありがとう。あたし、やっぱりもう1回『パーティー』を作る!」
 不安な気持ちは正直まだあるけれど、ここにいる編集部のみんなとあたしたちの雑誌を作りたい!
 もしかして、また挫折をするかも知れないけれど……。
 それでも今回だけ。今回だけは全力で雑誌を作る──すべてはそれからだ。
「覚悟はわかったけど『パーティー』の件、17時までに返事するんじゃねーのかよ。あと1分だぞ」
 その言葉を聞いた瞬間、カレンさんがスマホを開き何やら確認して悲鳴をあげる。
「やだっ。メールに添付の企画書じゃなくて、文面の中にだけ〆切の時間が書いてある!」
「え!?」
『パーティー』再開の言葉をかける間もなく、あたしたちは慌てて時計をチェックする。
 しおりちゃんの部屋の壁にかかっている時計は、17時を過ぎていた!
 うぎゃあああああああああっ! どどどどど、どうしようーっ!
「カレンさん、あたし今からひとっ走り角丸書店まで行って、土下座してやっぱりやりたいって頼みこんでくる!」
 グッと親指を立ててウィンクすると。
「そんな明るく土下座しようとしないでください! ゆのさんの土下座は価値0です!」
「貞子の言う通り! アンタの土下座、紙みたいにペラペラに軽いのよ!」
 しおりちゃんとカレンさんから物凄い剣幕で同時にツッコミを入れられ、あたしは「そこまで言わなくても……」と、思いきりまゆをハの字に下げる。
「ぶっ。あはははははは。すげー、マンガみてーなテンパり方してんのな」
 あわてるあたしたちを見て、エンマがヒイヒイとお腹を抱えて笑っている。
「エンマ! 今、笑ってる場合じゃないから!」
「そうよ! この非常事態に、のんきにスマホいじってるんじゃないわよ!」
「オレがせっかく助けてやろうと思ったのに、いいのか?」
 エンマはそう言うと、スマホのメール画面を開いて見せてくれた。
 送信者は小春さん。
 エンマ君。『パーティー』編集部、復活の連絡ありがとう。近々みんなで会社に来てもらうわね。
 と書いてあるんですけどーっ。
「えーっと。これって?」
「このオレサマが知らねえとでも思ったか。おまえらの動きは全部お見通しだ。こーなるのがわかってたから、先に連絡しといてやったんだよ」
「エンマ! でかした!」
「エンマ君、ありがとうございます!」
「不良猫、やる時はやるじゃない!」
「うわっ。おまえら抱き着いてくるな!」
 あたしたちは感激のあまり、勢いよくエンマに飛びついたのだった。
「─帰ったら、貼りかえなきゃなぁ」
「ん? 何を貼りかえるって」
 エンマに聞きかえされ、あたしは「ナイショ」と答えた。

「これで──よしっ!」
 その日、自分の部屋に戻ると白い紙に『「パーティー」を復活させるぞ!』とマジックで書き、一番目立つ学習机の前に貼った。
「迷った時は前に出ろ」
 あたしは大好きな言葉を唱えながら、一番右上の引き出しを開ける。
 そこには中学時代『パーティー』を作るきっかけになった、ある人からもらった宝物の万年筆が1本だけ入っていた。
 ずっとお守りにしていた虹色の万年筆を両手で握りしめると、ポケットの中にしまったのだった。


・久しぶりの編集会議!

「コホン。それでは──第1回編集会議をはじめます!……って、本当にあたしが仕切っちゃっていいの!?」
 あたしは会議室に集まっているしおりちゃん、カレンさん、エンマの3人を見た。
 実際に企画がスタートすると、角丸書店で作業をすることになるらしいんだけど……。
 今日は久しぶりに会ったこともあり、近況報告がてらうちで編集会議をすることになったんだ。
「いいも何も、中学の時もオマエが雑誌作るっていきなり言い出してさ。オレサマたちを『パーティー』編集部に引っ張り込んだんだろ。なにエンリョしてんだ」
「チョイ待った! それ記憶補正。エンマは自分からはいりたーいって言って、入部してきたんでしょ!?」
「はあ!? そうだったか?」
「それより『パーティー』を作るメンバーは私たちだけですか? 灰塚先輩が手伝ってくれると、大変助かるのですが」
 灰塚先輩は元新聞部だったけど、『パーティー』編集部に入ってくれた先輩だ。
 あまりにもあたしが誤字脱字するもんだから、灰塚先輩が怒って辞書投げつけてきたっけ!(遠い目)
 ひーっ。あれって今思うと、当たりどころ悪かったら大事故だよね!?
 灰塚先輩のことだから、『オマエは当たっても死なん』とか言いそうだけどね。
 でも学生時代に作っていた『パーティー』の誤植が少なかったのは、灰塚先輩のおかげだ。
 そこは本当に感謝だよ!
「たしかに口うるせーけど、仕事は確実だったよな──って、ゆの、何やってんだよ」
 土下座姿で何度も神に祈りを捧げているあたしに気づき、エンマが顔を引きつらせる。
「灰塚先輩には超お世話になったから! どっちにいるかわからないから、とりあえず全方向に向けて拝んでるんだよ」
「そういうことでしたら私も──」
「アンタも真似しないの!」
 得心したようにうなずき、あたしの隣で同じく礼拝しようとするしおりちゃんに向かい、カレンさんはピシャリとツッコんだ。
「まあ。難しいだろうな。灰塚先輩、なんか角丸書店で校正のバイトしてて忙しいらしいぜ? しかも西園寺先輩がらみらしい」
 げっ。そうなの!?
 西園寺先輩の名前を聞いて、思わずあたしたちは身体をすくませる。
 西園寺会長は笑顔で毒を吐きまくる、あたしたちの中学の元生徒会長兼新聞部の部長でね。
 『パーティー』編集部を廃部にしようと考える西園寺会長から、我ら『パーティー』編集部は、メチャクチャ目の敵にされてたんだよね。(主にあたしか!?)といいつつ、なぜか一度お付き合いしたんだけど……。ひー! いまだに信じられないですよっ!
「あーあ。あとは王子がいてくれたらなぁ」
 王子こと黒崎旺司は、あたしのクールな幼馴染で、『パーティー』編集部の一員だ。
 最近ずぅえんずぅえん会っていないけど、めでたく(!?)お付き合いしている運命の人デアリマス。
(ギャー! 恥ずかしい!)
 文句を言いつつも、我らの面倒をキッチリと見てくれる『パーティー』編集部で一番のしっかり者。
 王子がいてくれたら、すぐに別の話題で盛り上がって横道にそれるあたしたちの手綱をひいてまとめ上げてくれそうなのに。
「黒崎? 呼べば? ヒマそうだから来るんじゃねーの?」
「え? 誰を呼べば来るって」
「だから黒崎だろ? 日本に帰ってきてるんだから、手伝ってもらえばいいだろ?」
「確かに、この前黒崎くんと一緒に、ご飯を食べました」
 んんっ!? ドーユーコトデスカ?(大混乱)
 高校を卒業してからあたしはママと旅に出たんだけど、王子もお医者さんになるために海外に行ったんだ。
 みんなにはナイショだけど、王子が一度、海外から帰ってきたことがあってさ。
 その時は、二人きりでデートしたんだよ!?
 王子とキスだって、いっぱい、いっぱーいしたんだからっ!
 ……とはみんなには言えないけど、とにかくどっから見ても恋人同士♡って感じの、超あまあまラブラブだったのに。
 ん? でも待って……。王子と連絡が取れなくなったのって、その後くらいから──かも……?
 こっちは向こうで何か事故にあってないかとか、病気になってないかとか心配してたのに。
 それなのにエンマとは連絡をしてたですと!?(怒りMAX)


今日の更新はここまで!
「新こちらパーティー編集部っ!」発売まであと2日!
明日の更新もお楽しみに☆

「新こちらパーティー編集部っ! ひよっこ編集長ふたたび!」

角川つばさBOOKSから2月13日発売! 楽しみに待っていてね!



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