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『人生デスゲーム 命がけの生き残り試験』
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★連載第1回はコチラ! 
全3回)

「すべてが思い通りになる人生」が
手に入るとしたら、きみはどうする?

親や先生に言われて勉強はしてるけど、
行きたい学校も将来の夢も、決まってない。
なんだかものたりない毎日。

そんなリョウのもとに、一通の招待状が届く。
それは、「選ばれた100人の小学6年生」だけが受けられる試験。
合格すれば、進学から、仕事、お金まで
「すべてが思い通りになる人生」が手に入るらしい。

しかし、会場に閉じこめられたリョウたち参加者に告げられたのは、
『試験に失敗すれば、人生を奪われる』
という恐ろしいルールだった!
合格者はたった1人。

降りかかる難問と強敵を前に、
この呪験<じゅけん>を生き残ることはできるのか――!?




2 プロジェクトの真実

「うわ……初めて来たけど、こんな大きいんだ」
 土曜日の夕方、僕はDPC東京支社の目の前に来ていた。
 全面がガラス張りの円塔になっていて、まるで空を突き刺すガラスのヤリみたいに見える。
「入り口は、ここかな?」
 まわりをぐるっと確認して、それっぽい場所でボタンを押すとドアがひらいた。
 そして、目の前に広がる光景に思わず「おお」と声をあげてしまう。
 ――――そこには、すでに僕と同い年くらいの子たちが大勢いた。
 きっとみんなプロジェクトの参加者だろう。ただ、僕はそれよりも気になることがあった。
「階段もエレベーターも、ない……?」
それどころかエントランスのはずなのに受け付けもないし、なにより大人がひとりもいない。
 たとえるなら、まるで大きな箱の中に入れられたような気分だった。
なんにもない空間に、おおぜいの小学6年生がところせましと並んで立っている。
 あちこちでいろんな会話がとびかっているせいか、少しさわがしかった。
 その理由は……。

【プロジェクト参加者の方はこのまま地下5階へ】

 と書いてある大きな紙が壁に貼られていたからだろう。
「おい、階段なんかどこにもねえぞ?」
「あーもうつかれた。もうここで待ってれば誰か来るんじゃない?」
 地下への行き方がまるでわからず、みんなとまどっているようだった。
 すると、いきなりうしろから誰かに肩を組まれて、僕はびくっとしながら振り返った。
「こんちわ! ボクは矢神一虎!(やがみ かずとら) お兄さんの名前は?」
「え? 天城リョウ……だけど」
「おー! ならリョウって呼ばせてもらお! ボクも一虎って呼んでな!」
 えらくフレンドリーに話しかけられて、僕はついつい会話に乗ってしまう。
「いや~、じつはさっきからこんな調子なんだよねえ。ずっと手詰まりでさ~」
 一虎は小気味よく会話を進めていく。
 どうやら彼がここにたどり着いてから、それなりに時間が経っているようだった。
「それで、どんどん人は増えるのに誰も地下に行けてないから、今こんな感じになってんの。ボクが思うに、おそらくこれは参加者の力を試してるんだと思う。いわば試験前の小テストだ」
 たどり着けるだけの力がキミたちにあるのか? ってね。と一虎は肩をすくめた。
 ……ってことは。
「このまま地下に行けなかったら?」
 僕の質問に一虎は「そんなのかんたんだ」と親指で首を切る真似をする。

「全員不合格で試験終了」

 あっけらかんと言い放つ一虎の前で、僕は言葉を失った。
 せっかく選ばれたのに、チャンスが来たのに……何もできないままここで終わるのか?
 いつものテストのように、まるで歯が立たないままダメな結果をつきつけられるのか?
 ……またあの日々にもどるのか?
「そんなの、イヤだ……!」
 小さくつぶやいて、僕は口元を手でおおいかくす。
 昔から集中して考える時にやってしまうクセだった。
「おいおいどうした? 具合悪くなっちゃったか?」
 僕の様子を気にしてくる一虎に無言で首をふって、考えることに集中する。
 これが試験前の小テストなのだとしたら、必ず『答え』があるはずなんだ。
 だから、地下に行く方法は絶対にある……けど、エスカレーターもエレベーターもない。階段もないなら、どうやって地下に行けばいいんだ?
「まあまあ、そんな考え込むなよリョウ。ゲーム感覚で気軽に考えようぜ」
 一虎の一言に、うつむいていた僕はハッと顔をあげる。
「ゲーム……そういえば、前にやってた脱出ゲームでも似たようなものが……もしかして!」
 過去の記憶が一気によみがえってきて、僕はあわててビルの入り口にもどる。
「あ、おいおい! せっかく来たのに帰るのか? それはもったいないぞ!」
 僕は「ちがう!」とさけびながら走り、さっき入ってきた入り口の前に立つ。
「……うん。やっぱりだ」
 僕が目の前に来てもまったく反応しない自動ドアを見て、確信した。
 そして、息を整えながらドア横の壁をていねいに調べていく――――すると。

「あった! 階数表示だ!」



 壁の一部が横にスライドして、エレベーターの階数を指定するボタンがあらわれた。
「ええ!? なんで? なんでわかったの? ってか、これどこのエレベーターのボタン?」
 おどろく一虎に僕は笑ってうなずいた。
「どこのって、ここのだよ。この場所がすごく大きなエレベーターなんだ!」
「……そんなことある!?」
 一虎の声が大きかったせいで、「なんだ? なんだ?」と人がどんどん集まってくる。
 なんだか恥ずかしくなって、僕はさっさと地下5階のボタンを押した。
 予想通り、このフロア全体が下に降りていく感覚がやってくる。
 最初からおかしいと思っていた。
 ガラス張りの円塔に見えたのに、中には窓ひとつないし、何もない。人もいない。
 入り口はボタンを押してあける仕組みだったし。
 なにより、貼り紙の【プロジェクト参加者の方はこのまま地下5階へ】って言葉。
 このままってことは、ここにいたままってことだ。
「だから、ここが大きなエレベーターなんだろうなって」
 地下5階に着くまでに説明を終えると、一虎が感心した様子でうなずく。
「さっすがー。やっぱり選ばれし小学6年生は一味違うねえ。いよっ! 優勝候補!」
 その言葉に、僕の頭の中にモヤッとしたものが浮かんでくる。
「なんだよ、その優勝候補って。これに気づけたのは、たまたま好きなゲームに似たような仕掛けがあったってだけだよ」
 機械音とともに自動ドアが開くと、そこにはさらに大きな空間が広がっていた。
 おお! と声をあげながらみんながそこに降り立つ。
 体格のいい人、見るからに勉強ができそうな人……それぞれ、なんだかすごい特技を持っている人のように見える。表情から自信が見て取れた。
 その中に僕がいることじたいが、なんだか信じられない。
「うん、やっぱり僕は優勝候補なんかじゃないな……」
 じゃあね。と、手を振ると、一虎はニヤニヤ笑いながら僕の腕をつかんだ。
「まあまあ、そう言うなって。たまたまでもなんでも、勝てばいいんだよ。勝ったもん勝ち」
 勝ったもん勝ち。という言葉につい、僕は「なにそれ」と笑ってしまう。
「さてさて、ボクらを地下まで連れてきてくれたお礼をしなきゃだねえ」
 お礼はしないと気が済まない性格なんだ。と言い、一虎は僕の腕を引いてぐんぐん歩き出す。
 広い空間にちらばった参加者たちを見回しながら、誰かを捜しているようだった。
「っていうか、なんで一虎は僕と一緒にいるわけ? お礼とかいいから、好きなとこに行きなよ」
「好きなところに行っていいの? じゃあリョウとどこに行こうかなあ?」
「だからなんで僕も一緒が前提なんだよ!」
 思わずツッコむと、一虎はクスクス笑って「そういう反応してくれるからだよ」と言った。
「じつは緊張に耐え切れなくて、リョウが来る前にいろんな人に話しかけてたのよ、ボク。でもなかなか話がはずまなくってさー。リョウだけだよ、こうして楽しく会話してくれたの」
「一虎なら、誰とでも仲よく話せそうだけど……」
「そんなことないんだな~これが。だから、ボクにとってリョウは特別なんだ……」
一虎は勝手なことを言いながら歩き続けていると、とつぜん立ち止まる。
たとえば、あいつとか。と一虎が指差したそこには、すごくするどい目つきをした男子がいた。
「名前は神崎氷河(かんざき ひょうが)。話しかけたらめっちゃキレられたわー。ボクみたいな人間を見下してるんだろうね。自分が一番です。ってオーラがすごくてさ。マジであんなのばっかよここは」



 逆にそんな人から名前だけでも聞きだせたのがすごい気がするけど……。
 なんて考えていたら、一虎はつぎに近くにいたひとりの女の子に気付いて、「あ、いたいた」と手を振った。
 その子がこちらに気づいてふりむく。
 ふわっとしたショートボブカットで、目鼻立ちがくっきりとしたキレイな子だった。
 しかしその透き通るようにキレイな顔は一虎を見て、一気にけわしい表情になる。
「なに? またあんた?」
 いいかげんにしてよ。とにらまれて、僕は思わず一虎を見た。
 いったい何をしたんだよ、お前……。
 でも、一虎は笑顔を崩さず「まあまあ」とその女の子をなだめながら僕にウインクする。
「ほかにも感じよさそうだった人は、あとふたりいたんだよな~。あ、見つけた!」
 いや、この女の子の反応はまったく感じがいいように見えないんだけど……。
 一虎は僕の視線も無視して、離れたところにいた男子ふたりを呼びに行ってしまう。
 チラリとその女の子を見る……が、気まずすぎて何も話せない。
 すると、とり残された僕と目が合って彼女はあわれむようにため息をついた。
「きみも、あの人にからまれたんだ?」
 質問にコクコクとうなずくと、彼女は肩をすくめた。
「選りすぐりの小学6年生が集まってるんだから、変な奴もいて当たり前か」
 災難だったね。と、手を差し出される。僕はその手をとって握手をかわした。
「私は如月(きさらぎ)あかね
「僕は天城リョウ」
 かるい自己紹介をすますと、一虎がもどってくる。
「お待たせ~! この人たちもめっちゃ感じよかったからさ! もうこの際ボクらでチーム組んじゃおうよ! ね? チーム一虎! おお、いいじゃん! かっこいいじゃん! ねえ!?」
 ひとりテンション高く話す一虎に無理やり腕を引かれてきたふたりが、僕と目を合わす。
 あっとうてきにダサいチーム名にツッコむひまもなく、一虎は男子たちを紹介してくれた。
 ひとりはアイドルみたいな美少年の鈴原奈央(すずはら なお)。
 もうひとりはすごく優しそうで話しやすい男子、三船秋歩(みふね あきほ)。
「仲間っていいもんだからさ! きっと試験のはげみになると思うんだよ!」
 一虎が言うには、どうやらこれが僕へのお礼らしい。
 ありがたいけど……彼らからしたらひどく勝手な話なので「ありがとう」とは言いづらかった。
 一虎以外なんとなく気まずい空気が流れて僕は耐え切れなくなり、とにかく話題を探す。
「そ、そういえばさ。みんなはどうしてこれに参加しようと思ったの?
「おお! いいねえリョウ! チーム一虎の仲を深めるために、もう少しだけ自分たちのこと話そうってことだろ? いいじゃん! おたがいの健闘を祈るのも込めて話そうぜ!」
 全然そんなつもりはなかったけど、一虎の勢いに負けて僕はうなずいてしまう。
なんだか台風に巻き込まれたみたいに、僕らは一虎のペースに流されていた。
「じゃ……じゃあ、まずは私から」
 一虎にうながされるまま、あかねから話しだす。
「如月あかね。パティシエになるのが夢で、将来はお母さんの洋菓子店を継ぎたいと思ってる。ここへはそんな将来をつかみにきた」
 ハッキリといい切るあかねを見て、僕は少しとまどう。
 今度は秋歩が「じゃあつぎは僕が」と口をひらく。
「三船秋歩。将来はNPO法人を立ち上げて困っている人の役に立ちたいと思ってて。だからここで合格して、世界中の人たちを助けられるような大きな団体を作りたいなって」
 夢みたいな話だけどさ。とはにかむ秋歩に僕らは「そんなことない」と首をふる。
 すると奈央がおずおずと手を挙げた。
「鈴原奈央。じつはまだ誰にも言ってないんだけど……恥ずかしくて言えないんだけど……夢があって……それを叶えるチャンスかなって思ってここに来たんだ」
 顔を真っ赤にしながら言う奈央に、秋歩が「無理して夢を言う必要ないからね」と微笑む。
 あかねも「おたがい夢を叶えるためにがんばりましょう」とはげましていた。
 そんな3人を見て、僕は少し気がひけてしまう。
 みんな、同い年なのにもう自分の進みたい道を見つけている。
 ちゃんと目的があって、このプロジェクトに参加していた。
 でも、僕は……。



「天城リョウ。えっと、とにかく自分の人生をいいものにしたくてきました」
 自分だけ夢も何もないことに気後れしてしまい、なんとなく敬語になってしまった。
 みんなは夢をかなえるという前向きな理由でここに来ている。
 それなのに僕は、自分が『現実から逃げるため』というひどくマイナスな理由でここに来ていることが恥ずかしくなってくる。
 やっぱり、将来の夢がある人って目がキラキラしてるよな。
 もしも思い通りの人生を手に入れたら、僕は何をやりたくなるんだろう。
 なんにでもなれるとしたら……僕は。
 プロゲーマーとか? いや、ないない。それこそ親から猛反対されるだろうし。
 ため息をついて首をふると、部屋が暗くなり、奥にむかってスポットライトが当てられた。

「プロジェクト・エグザムへようこそ!」

 盛大な音楽と共に、異様なマスクをつけたスーツ姿の男が手品のようにとつぜん現れる。
 どうやらいよいよはじまるらしい。
 彼は両手を大きく広げて、そのまま僕たちをたたえはじめた。
「キミたちは選ばれた人間です! だからこそ、自由に思い通りの人生を歩む権利がある!」
 力強くこぶしを握りながらマスク男はつづける。
「世の中は不平等だ! 残念ながらキミたちの人生は生まれた場所、環境でほとんど決まっているのが現状です……」
 しかし! とマスク男は語気を強める。
「生まれた時点で将来の選択肢の数に差があるなんて、おかしいでしょう!?」
 その言葉には熱があり、なんだか僕はいつのまにか聞き入ってしまっていた。
「こんなもの、まるで『呪い』だ。生まれながらにして呪われているんですよキミたちは。だからこそ、ここでチャンスをつかんで欲しいんです! そのためのプロジェクトなんです!」
 音楽が止まり、部屋全体がふたたび明るく照らされる。
「さあ、選ばれし者たちよ! 望み通りの人生を勝ち取る姿をみせてください!」

――――この呪験戦争(じゅけんせんそう)を生き残ってみせてくれ!

 男のうしろに巨大なモニターがあらわれ『呪験戦争(プロジェクトエグザム)』の文字が映しだされる。
 その瞬間に、会場にいた全員が「おおおお!」と声をあげていた。
 呪験戦争――――プロジェクト・エグザム。
 今から、僕たちの人生をかけた試験が始まるんだ。
 しかし、つぎの一言で熱気は一気に静まる。

「合格者はこの中の1名のみ! あとの者は人生そのものを奪われます!」

 ……え? と、動揺する会場。
 しかし、とまどう参加者のことなんか気にせずマスク男は話を続ける。
「今からここにいる選ばれし100人でいくつかの試験を受けてもらいます! そして最後まで勝ち残ったひとりが「思い通りの人生」を獲得し、残りの敗者は人生を奪われる」
 かんたんな話でしょう? と男はクスクス笑った。
 それを聞いて、誰かが手を挙げた。
「人生を奪われるってどういう意味ですか!?」
 その質問にマスク男は「今さら聞かなくてもわかるでしょう」と肩をすくめる。
「そのまんまの意味ですよ。試験に脱落した瞬間に人生を奪われる。人生がそこで終わるのです。人生終了。この意味、選ばれたキミたちなら理解できますよね?
 そう言いながら、マスク男はこちらへ近寄ってくる。
 そして、なぜかリョウのとなりにいた男子の前で立ちどまった。
「さて。それでは、せっかくなのでみなさんに脱落者の具体的な例をお見せしましょう」
 そう言うとマスク男はその男子の腕をとり、ひきずっていく。
「招待状の注意事項にも書かれていた通り、このプロジェクトのことをだれかに話したらペナルティがあるのは、みなさんご存じですよね?」
 あばれる男子をものともせず、すごい力でひきずりつづける。
「彼はそれをやぶり、友人にこの招待状を見せてしまいました。もちろん、その友人にはしかるべき対応をして目をつむってもらいましたが……」
 そのままさっきまでマスク男が立っていた場所までもどる。
「彼にはペナルティとして、ここで人生を終わらせていただきます」
 その言葉とともに男子の足もとの床が抜けて、真っ逆さまに落ちていく。

 ――――ああああああああ!!

 耳をつんざく悲鳴とともに落ちていく男子を見て、みんな言葉を失った。
 そんな僕らを見てマスク男は手をたたきながら満足そうにうなずく。
「まさに『脱落』といったところでしょうか。試験に落ちたら、文字通りこうして『落ちて』いただきますので、みなさん死ぬ気で試験にのぞんでください」
 それを聞いて、ゴクリとつばをのみこんだ。
 受験に落ちたら人生終わり。そういう気持ちで勉強しろってまわりから言われてきた。
 だけど、この場合の『人生終わり』は……。

 ――――命の終わりって意味?

「お、俺! やっぱり辞退します!」
「私も! そんなの無理無理!」
 ひとり、ふたりと参加をやめて帰ろうとする人が出てくる。
 当たり前だけど、おおぜいの人が帰ることを望んだ。
僕とあかねも急いでその場から立ち去ろうとした。
けど……それは叶わなかった。
「ねえ、エレベーター……止まってるんだけど」
 あかねが青ざめた顔で何度もボタンを押しながら振り返る。
 その言葉に僕は絶望した。
 ゆいいつの帰り道であるエレベーターが動かない。
 ほかに出入り口はない。さらにここは地下5階だ。ということは……。
「完全に、とじこめられた……」
 僕の一言で、まわりはさらにパニックになる。
しかし、壁をたたこうが何しようが逃げ道は見つからなかった。
あきらめたように力なく地面にひざをついたり、泣き叫ぶ人も出てくる中、マスク男はパンパンと手をたたいてみんなの視線を集める。
「はいはい! 見苦しい真似はよしなさい! ここに来た時点で参加とみなし、辞退は一切認めません。時間は戻らないのと同じです。受験にやり直しはないでしょう?」
 だから……。とマスク男は僕たちを指さした。
「キミたちにはもう呪験に立ち向かう道しか残されていないんですよ……」
 とつぜんつきつけられた地獄のような現実。マスク男はそのまま試験内容の発表を始める。
「それではさっそく試験に移りましょう。最初の試験はいきなり狭き門になります。合格者は最高で40名までの定員制。つまりこの中の半分以上は確実に……」

 ――――人生を終えることになります。

 その言葉に僕らは息をのんだ。
まさか、いきなり最初の試験で半分以上が消されるなんて……。
ただでさえ、選りすぐりの小学生が集まっているこの試験。僕なんかが勝てる要素はどこにも見当たらない。でも試験に受からなければ、僕の命は……。
参加者の動揺をよそにマスク男は楽しそうに背後にある壁に手を向ける。

「第1次試験は『トビラをあけろ!』です!」
 

次回は5月3日更新予定!
明らかになった、恐るべき呪験<ジュケン>のルール。
リョウは生き残ることができるのか――!?

 



本の情報
 
タイトル:人生デスゲーム 命がけの生き残り試験
作:あいはらしゅう 絵:fuo
ISBN:9784046323583
出版社:KADOKAWA
判型:新書
ページ数:192ページ
定価:858円 (本体780円+税)
発行年月日:2025年5月9日