編集部より
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「お天気係におねがい!」の1巻はもう読んだ?
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<あらすじ>
わたし、天川空。5年1組の“お天気係”なんだ。
ある日うっかり、お天気神社の大事な鈴をこわしちゃって――
天気をあやつる、神さまの力を手に入れた⁉
かわりに力をうばわれた元・天気の神さまたち、
ハレ・アメ・フウ・ライくんがいうには
みんなのお願いを聞いて、正しく天気をあやつれないと
わたしたち全員、神さま失格で地獄行き⁉
さっそく届いた「運動会を晴れにしてほしい」ってお願い、
じぶんに自信がないわたしだけど・・・カクゴをきめた!
みんなの願い、お天気係(わたし)がかなえてみせるよ!
今日、6月1日は気象記念日!
お天気男子たちとの楽しい休日♪な
スペシャルストーリーを大公開☆
『運だめし対決⁈ 最強の運の持ち主はだれ?』
わたし、天川 空。小学5年生。
わたしには、なやみがいっぱいある。
なにを決めるにも時間がかかっちゃう、根っからの優柔不断な性格とか。
ある日とつぜん、お天気の神さまになっちゃったこともね。
(しかも、命がけ!)
そして今は――。
ガラン……ガラン……。
地元のショッピングモールで開かれている、福引大会。
わたしは、玉がいっぱい入ったガラガラ抽選機を、そ~っと慎重に回す。
ガラン……コロンッ。
出てきた玉の色は、白。ていうことは――。
「はい、残念賞~!」
「また⁈ そんな~~~」
5回やって、ぜんぶ残念賞なんて……。
ポンポンッ。モールに連れてきてくれたパパが、なぐさめるように、わたしの肩をたたく。
「まあまあ。空が、くじ運がないのはむかしからだ。気にするな」
「ちょっと、パパ。それ、ぜんぜんフォローになってないわよ」
ママがパパを注意してから、わたしの目をまっすぐ見る。
「空、今のパパの言葉は気にしないで。運は関係ない。いろんなことをしっかり勉強していれば、生きていけるわ」
それってけっきょく、わたしに運がないって言っているような……。
「はあ……」
残念賞でもらった、5個のポケットティッシュを見つめる。
わたしの、もう1つのなやみ。
それは、ぜんぜん運がないこと……!
***
「――どうやったら、運が上がるかって?」
となりを歩くアメくんが、首をかしげる。
次の日の登校中、ハレくんたち・元お天気の神さまたちに相談してみた。
「どうして、急にそんなことを聞くの?」
「近所のショッピングモールで今週、福引大会をやってるの。でもぜんぜん、賞が当たらなくて。わたしって、ほんとうに運がないなあって」
「ったく。あいかわらず、小さいことで悩むんだな」
ハレくんがあきれたように言う。わたしは、すぐに首を横にふった。
「小さくないよ。賞に当たったら、すごくいいことがあるんだよ」
「いいことって、なんだよ?」
「えーっと。ただで旅行に行けるとか、食べ放題のチケットをもらえるとか……」
「旅行⁈」
「食べ放題だと?」
フウくんとハレくんの目が、パアアとかがやく。
「なにそれ、最高じゃん! おれたちも、福引しようよ! 旅行行きたーい!」
「オレは、食べ放題に行きたい!」
二人とも、急にノリノリになった!
アメくんが、肩をすくめる。
「まったく。すぐにつられちゃうんだから。でも、みんなでするのはたのしそうだね。ぼくはやってみてもいいと思うけど……ライは?」
「俺は反対だ」
ライくんはきっぱり答える。
「仮にも俺たちは神さまだぞ。人のねがいをかなえる立場なのに、じぶんたちのわがままをかなえてもらおうなんて。だめに決まってる」
「でもおれたち、今は人間じゃん。人間らしく、福引でおねがいかなえてもらったっていいじゃん!」
「ライだって、じぶんがかなえてほしいことくらいあるだろ。なあ、空。ほかに賞はねーのか?」
「うーん。あとは、最新のゲーム機がもらえたり……」
「興味ないな」
「それから、高級なお肉のセットを送ってもらえたり。えっと、温泉券ももらえるんだったかな……」
「温泉?」
ライくんのメガネが、きらんと光る。
こほんっと咳払いした。
「……フウの言うとおり、俺たちは今は人間だ。少しは人間らしい生活を勉強する目的で、福引をするのもいいな」
ライくん、急に興味津々⁈
もしかして、温泉が好きなのかな?
「やったあ! じゃあ、みんなで行こう! そらりんも!」
「わたしも? ていうか、今から?
ちょっとまって。福引をするためには、福引券がいるんだよ。モールで商品を買うともらえる、赤くて、四角い紙みたいな。それに、モールに行くときは、大人の人がいっしょじゃないと……」
「そういう券なら、きのう、夜雲さんが手に持っているのを見たけど」
「じゃあ、夜雲に券をもらって、夜雲といっしょに行けばいいな!」
すごいスピードで話が決まってく!
夜雲さん、めっちゃ便利な人あつかいされちゃってるし……。
「旅行っ、旅行っ。お菓子、いっぱい持っていかなくちゃね~!」
「食べ放題、ぜったいにぜんぶ食べてやる……」
「どんな効能がある温泉なんだろうな。行く前に調べないとな」
みんな、すごいノリノリ! ていうか……。
「ねえ、みんな。当たったあとの話してるけど、景品が当たる玉を引かないといけないんだよ? 玉はたくさんあって、残念賞もあるし……」
「空」
ハレくんが不敵な笑みを浮かべながら、むねを張る。
「おれたちはずっと長い間、神さまだったんだぞ。運は、ばつぐんにいいに決まってんだよ!」
た、たしかに!
神さまって、運がないイメージない!
「それならさあ、だれが一番運がいいか対決しない?」
フウくんが、人さし指を立てて提案する。
「いいじゃん。おもしろそうじゃん」
「運くらべか。それはそれで、神さまらしい対決だな」
「ぼくは、みんながするならいいけど」
神さま(元)同士の、運だめし対決がはじまる⁈
これは、ものすごいミラクルが起きちゃうかも……!!!
***
週末――。
夜雲さんの付き添いで、わたしとお天気男子たちは、地元のショッピングモールにやって来た。
「おお……」
「うわあ、すごいね」
「広―――――い!」
「これが、もーるというやつか……」
みんなすっかり、おどろいてる。
前にカレーの食材に買いに、スーパーに行った時もおどろいてたけど、こんどはもっと圧倒されてるかんじ。
わたしは、となりに立っている夜雲さんを見上げる。
「夜雲さん、今日はありがとう。でも、だいじょうぶだった? 神社のおしごととか……」
「ぼくもちょうど、買いたいものがあったんだ。それに、勝負の行方も気になるしね」
夜雲さんはニコッと笑う。
「まずは、福引をする場所に行こうか。それが、今日の1番の目的だし――」
「まて。行く前に、福引券をオレにわたせ」
ハレくんが、夜雲さんに向かって左手をさし出す。
すると、フウくんが張り合うように、じぶんの両手をさし出す。
「だめだめっ。おれが持つから~!」
「なに言ってるんだ。お前たちに持たせたら、落とすかやぶるかするだろ。安全を考えて、俺が持つ」
ライくんまで割り込んできちゃった!
アメくんが、少しだけこまったようにほほ笑む。
「みんな、少し落ち着こうよ。これは運だめし対決なんだよね? それなら、1人1枚ずつえらんで持つのは? せっかくちょうど、四枚あるんだし」
さすがアメくん。すご~く平和な提案~。
「わたしも、それがいいと思う」
「アメくんの言うとおりだね。はいじゃあ、えらんで」
夜雲さんが、4枚の福引券を広げて出す。
「じゃあ、オレはコレだ!」
ハレくんが、まっ先に引く。
「おれは、これにする♪」
「俺は……こっちにする」
「じゃあ、ぼくは、最後にのこった1枚ね」
四人がそれぞれ1枚ずつ福引券を持った。
やっと、福引が行われている2階を目指して、歩き出せる。
「スーパーとちがって、服とか本とか、いろんなものが売ってるんだね」
アメくんは感心した様子で、辺りを見わたす。
わたしたちにとっては当たり前だけど、神さまからしたら、なんでもめずらしいんだよね。
「お店で買い物するだけじゃなくて、映画が見れたり、ゲームもできたりするんだよ。あと、ねこカフェとかも……」
「ねこかふぇ?」
ライくんが、まっ先に反応する。
「ねこちゃんがいっぱいるお店のことだよ」
「ふーん……それは、ちょっとおもしろそうだな」
「なあ、それより。福引する場所にはまだ着かないのか? お前ら、ゆっくり歩きすぎ!」
せっかちなハレくんが、今にも走り出しそうな様子でうずうずしている。
「せっかく来たんだから、いろいろ見たいんだよ」
「それに、人ごみの中を、あせって走るのは危険だ」
「ハレくん、福引大会は逃げないからだいじょうぶだよ。フウくんだって、こんなにしずかに……」
うしろをふり返ると、フウくんはいなかった。
「みんな! フウくんがいなくなってる!」
どおりで、すごくしずかだと思ったら!
どこに行っちゃったの~~?
「とにかく、来た道をもどりながらさがそうか」
夜雲さんが冷静に言う。わたしは、大きくうなずいた。
「そうだね! ぜったい、どこかにはいるはずだから……」
そのとき、店内アナウンスが流れ始めた。
「迷子のお知らせです。天川 空さん。お連れの一颯 風さまがお待ちです。至急、迷子センターまでお越しください」
ま、迷子⁈
ていうか、どうして呼び出しの名前がわたしなの~~~?
***
「フウくん!」
みんなで迷子センターにかけつける。
フウくんはイスにすわっていって、わたしたちを見ると、パッと立ち上がった。
「フウ、なにやってんだよっ」
「おれもよく分かんないんだよね~。いろいろ見て回ってて、気がついたら、ここにいたってかんじ?」
「見つかってよかったよ。でも、なんでわたしの名前を出したの? ここは、大人の夜雲さんでしょ」
「だって、そらりんの名前がさいしょに浮かんだんだもん」
フウくんが無邪気に笑うから、それ以上なにも言えなくなる。
夜雲さんが、ほがらかに笑う。
「まあまあ。一件落着ってことで。じゃあ、福引をしに行こうか」
「行こう行こう!」
フウくんが、空っぽの手をあげる。
「……あれ? おれの福引券がない! ずっとにぎってたのに!」
「つぎから、つぎへと……」
ライくんがあきれる。
「どこかで落としたんじゃないのか?」
「フウ。ここに来るまでに、どこに寄ったの?」
「えっと……」
フウくんは、指を折りながら言う。
「まずゲームコーナーに行って、お腹が空いたからアイスを食べに行って、それから楽器が売ってあるお店に行って、そのあとくれーぷ? って不思議なお菓子を食べて……」
「ストーップ! フウくん、迷子になる前に、どれだけ寄ったの?」
「まったく、話にならない。そんなにあっちこっち行ったんじゃあ、券はとっくに行方不明だ」
ライくんがきびしく言う。
「そんなあ! さがしてくれないの?」
「そんな時間ねーよ。フウは、対決のさいしょの脱落者だな」
「うぅ。おれ、運はいいはずなのに……」
ん~。これはあんまり、運は関係ないような……。
とにかくわたしたちは、もう1度、福引の場所に向かった。
こんどはすんなりたどり着けたけど、なぜか会場はバタバタしていた。
「あの、福引をしたいんですけど。なにかあったんですか?」
夜雲さんがたずねると、係りのお姉さんが頭を下げた。
「すみません! 今、抽選機のガラガラがこわれちゃって……。新しいものに変えるまで、お待ちいただけますか」
「分かりました……。だってさ、どうする? ここで待つか、べつのお店に行って時間をつぶそうか――」
「それなら、ねこかふぇというやつに行こう」
めずらしく、ライくんがまっ先に提案する。
でもハレくんは、くちびるをとがらせた。
「なんでだよ。ここで待てばいいだろ」
「知らないのか? ねこには運を上げる力があるんだぞ。勝負をする前に、最大限、運を上げておきたくないか?」
ねこって、そんな力があるの⁈
わたしは、アメくんにこそっとたずねる。
「アメくん。ねこって、運を上げる力があるの?」
「いや、ぼくは聞いたことないけど。たぶん、ライがねこを見たくてテキトーなことを言ってるだけだと思うけど……」
「それなら行く! すぐ行く!」
ハレくんはすっかり信じちゃって、すぐに動き出す。
というわけで、わたしたちは次に、1階のねこカフェに向かった。
***
「はわああ~、かわいい~!」
わたし、ねこカフェって初めて入ったけど、いやされる~。
いっぱい、いろんなねこちゃんが寄ってきてくれて、最高~。
でも、わたし以上にいやされてるのが、ライくん。
「……」
表情は分かりにくいけど、すっかりねこちゃんたちのとりこになってる。
やさしく見つめながら頭をなでてあげたり、おもちゃで遊んであげたり。
「まってまって、ぼくの髪にのぼらないでー!」
「イタイイタイ! おれのふわふわの髪も、おもちゃじゃないって~!」
「だからフードを引っぱるなって! 引きちぎれるだろっ」
夜雲さんとフウくんとハレくんは、ネコと遊んでるっていうより、遊ばれてるってかんじだけど。
「ほんとうに、人の世界って、いろんなものがあるんだね」
「まだまだ、いろんなものがあるよ。そうだ。いつか、遊園地とかにも、みんなで行ってみたいなあ」
わたしは、アメくんと同じテーブルでのんびり会話。
すると、うしろの席の会話が聞こえてきた。
「もう福引はできないの。1回だけって約束でしょ?」
「でも、でも……」
そっとふり返ると、水色のリュックをかついだ小さな女の子が、しくしく泣いていた。目の前にすわるお母さんが、必死でなぐさめている。
この子も福引にチャレンジして、はずれちゃったんだ……。
「どうしても、ほしいものがあったんだもん……」
「それでもあきらめて。帰ろう」
とつぜん、アメくんが、スッと席を立った。
女の子とお母さんの前に行って、じぶんの福引券をさし出す。
「これ、どうぞ」
「えっ? あっ、話聞こえてました?」
お母さんがすばやく手を横にふる。
「いいんです、いいんです。気にしないでください」
「ぼく、ほしいものがないんです。だから、もらってくれるほうがうれしいんです」
アメくんは、女の子のまえでひざをつく。
「これでもう1回、チャレンジしてきてごらん。気持ちをこめていのれば、きっとほしいものが手に入るよ」
「わああ……お兄ちゃん、ありがとう! ママ、行こう!」
女の子はお母さんの手を引いて、いそいでお店を出ていく。
アメくんは満足そうに笑って、女の子に手をふって見送る。
とっさに、あんな行動ができるなんて。
さすが、アメくんだなあ。
「アメくん、よかったね! よろこんでもらえて」
「空ちゃん。きみは、こういうとき、あげてよかったの? って聞かないんだね。ぼく、ハレたちにいつも、もったいないってあきれられるんだけど」
「あきれないよ。だってアメくんは、じぶんが持ってるよりも、だれかにあげたほうが幸せそうな顔するから」
アメくんはちょっとだけ、おどろいた顔をする。
それから、「そうだね」って照れたようにうなずいた。
「アメくんはほんとうに、だれにでもやさしいね」
「……だれにでも、か」
「えっ、なに? どうしたの? わたし、ヘンなこと言っちゃった?」
「ううん、なんでもないよ。それより、ぼくが福引券をあげたこと、ハレたちには秘密にしておいてもらえるかな。勝負に熱くなって盛り上がってるから、空気をこわしたくないんだよね」
アメくん……。どこまでみんなのことを考えてるの?
「分かった、約束ね。まあ今は、みんな熱くなってるっていうより、モフモフにいやされてる……」
「あー!」
とつぜん、フウくんが大声を上げた。
「フウ、大きなを声出すな。ねこがびっくりするだろ」
「ライ! そのねこが、ライの福引券を……」
フウくんは、テーブルの下のライくんの足元を指さす。
わたしたちも近づいて、のぞきこんだ。
そして、ぎょっとする。
ライくんの福引券、ねこちゃんたちに引き裂かれちゃってボロボロ……。
「い、いつの間に、ポケットから出して……」
ライくんは、がっくりうなだれちゃった。
すごくかわいそうだけど、この券じゃあとても使えないよ。
「俺のミスだ。ねこに、油断してしまった……」
「はっ!」
ハレくんが勝ちほこったように、こしにうでを当てる。
「これで、オレとアメの対決になったな」
「それなんだけど、ぼくもどこかで落としちゃったみたい。だから、ぼくの負けだよ」
アメくんはけろっとした顔で、ごまかす。
「なんだって⁈ じゃあもう、オレの勝ちじゃん」
「まだ、決まってないよ。ハレがはずれを引けば、意味ないし」
「ここまできたら、一等賞を当ててやるぜ!
もう、会場にもどろうぜ!」
「そうだね。そろそろ、ガラガラも直ってるころだね」
「ほら~、ライ。もう落ち込まないで、行こうよ~」
まだショックを受けているライくんを、フウくんが支える。
みんなで、カフェの出口に向かう。
「まったく張り合いがねーな。まあ、でも――ぐわっ!」
どーーーーーっん!
お店を出ると同時に、ハレくんがふっ飛んだ。
「いてて……」
「ハレくんだいじょうぶ?」
たおれているハレくんのそばには、帽子をかぶった男の人もいた。
よつんばいになって、床に飛び散っている荷物を必死にかき集めて、黒いかばんにつめている。
この人が、ハレくんとぶつかっちゃったんだ。
かばんまで落としちゃって……手伝わなくちゃ!
「わたしも、拾い……」
「さわるな!」
びくっ!
帽子の人にどなられて、かたまる。
その人はかばんをぎゅっとむねに抱いて、速足で去って行った。
「あいつなんだよ! いきなりぶつかってきて、なにも言わねーとか!」
「せっかく手伝おうとした空ちゃんにまで、あんな言い方するなんて」
「まあまあ、みんな。無事だったからいいじゃん」
「そうだ。これ以上危険なことに巻き込まれる前に、福引会場にもどるぞ」
あの人、なんであんなに、あわててたんだろう……?
ちょっともやもやしながら、みんなで、2階へつづくエスカレーターに向かって歩き出す。
「……って、あれ? ねえ、みんな。夜雲さんはどこに――」
「あーーーーー!!」
ハレくんの大声に、わたしの声がかき消される。
「ない……! おれの福引券がなくなってる!」
「「「「ええ!」」」」
みんなびっくり。
だって、どういうこと?
「あのへんなやつにぶつかるまでは、ちゃんとあったんだよ! ねこの店を出る前に、パーカーのポケットに入ってるのをたしかめたし」
「……じゃあ、ぶつかったたときに落ちて、さっきの男が持って行ったんじゃないか? ほかの荷物にまじって、じぶんのものとかんちがいしたのかも。もしくはわざと持っていった可能性もある。福引の景品は、どれも当てれば、なかなか豪華みたいだからな」
ライくんがいつものように、冷静に推理する。
「あいつめ……だったら、とり返すまでだ!」
ハレくんはいきなり、帽子の人あとを追って走り出す。
あわわっ! なんか、もっとたいへんなことになってきたよ~!
みんなでいっしょに、帽子の人の後を追ってさがす。
「くっそ~、どこだ? どこに行ったんだよっ」
「もしかして、もう帰っちゃったかな?」
「まだそれほど時間は経ってないから、いると思うんだが……」
「あっ、いたよ!」
フウくんがまっ先に見つけて、指さす。
帽子の人はあいかわらず速足で、人ごみをすり抜けている。
「ぜったい逃がさねー……おいっ、まてよ!」
ハレくんの大声に、帽子の人がふり向く。
わたしたちに気づくと、なぜかその人も走り出した。
「おいっ、なんで逃げるんだよ!」
「ま、まってくださーい!」
わたしたちが必死になって追いかけるほど、帽子の人はあわてて出口に向かおうとする。
このままじゃ、ハレくんの福引券までなくなっちゃう!
スッ――。
帽子の人の前に、だれかが立ちはだかる。
「――夜雲さん⁈」
いなくなったと思ったら、なんでそこに?
ていうか、なにをする気なんだろう……。
ニコッ――。
夜雲さんはやさしくほほ笑んだかと思うと、とつぜん、帽子の人のうでをつかんだ。そして、くるっと背負い投げした。
「や、夜雲さん!」
ちょっとやり過ぎじゃない⁈
いそいでかけつけると、帽子の人はくるくる目をまわして気絶していた。
そのそばで、夜雲さんは勝手に荷物をさぐっている。
「あ、あったよ! 福引券。やっぱり、まちがって持って行ったんだねえ」
「夜雲さん、気づいてたの? でも、勝手に荷物なんてあさったら、おこられちゃう……」
「いったい、なにごとですか!」
案の定、すぐに警備員さんたちがやって来た。
ほら~、どうしよう~。福引券を返してもらうためだけに、背負い投げしたなんて……。
「この帽子の人、万引き犯らしいのでつかまえました」
夜雲さんは平然と、そう説明した。
ま、万引きって?
「荷物の中を調べれば分かります。万引き防犯タグがついたままの商品が、いくつもはいってますよ」
警備員さんがすぐに調べて、「ほんとうだ!」っておどろく。そして、まだ気絶している帽子の人の両肩を支えて連れて行く。
「夜雲さんすごい! でもどうして、万引き犯だって分かったの?」
「このモールにさいしょに入ったときから、あの帽子の人が、お店であやしい動きをしているのを見かけて気になっていたんだ。そして、ハレくんとぶつかって、福引券も持っていこうとしたのを見たとき、レジを通していない商品もかばんに入れているのがはっきり分かってね。
急いで出口に向かうだろうと思ったから、先回りして待っていたんだよ」
「かっこいい~! 警察の人みたい!」
「すごい観察眼だね」
「頭いい~♪」
「なかなかの計画だな」
みんなに絶賛されて、夜雲さんは照れたように笑う。
そこに、ハレくんが割り込んできた。
「おいっ。それよりはやく、福引をしに行くぞ! オレの運だめしがまだだっ」
あっ……そうだった。
***
――福引き会場に到着すると、新しいガラガラに変わっていた。
「お客さま、おまたせしましたー! どうぞー!」
「やっと、オレの運の良さを証明するときがきたぜ! ほらっ」
堂々と福引券をわたして、ガラガラの取っ手をつかむハレくん。
ぎゅっと力をこめて――。
「あっ、まってください!」
とつぜん、係りのお姉さんに、ストップをかけられた。
お姉さんは、ハレくんからもらった券を見せる。
「えっと……。この券、期限が切れてますけど。去年のです」
きょ、去年⁈
「あっ」
夜雲さんが、思い出したように声を上げる。
「どうしても福引券が3枚しか見つからなくて、いろんな場所をさがして4枚目を見つけたんだけど……去年のがまじっちゃってたんだ。ごめんごめん」
夜雲さんは、かるーくあやまる。
ハレくんは体をわなわな震えさせて、天井に向かってさけんだ。
「なっ、なっ……なんでなんだよ―――――!!!」
***
けっきょく、福引で運だめしどころか、1回も福引をすることもなく、帰ることになったお天気男子たち。
「つまりみんな、運はよくないみたいだね~」
モールを出る途中で、夜雲さんはほのぼのした様子で言う。
そこに、ハレくんがすぐにつっこむ。
「オレの福引に関しては、ぜんぶ夜雲がわるいだろっ」
「でも、さいしょにどの福引券にするかえらんで引いたのは、ハレだ。期限切れのを迷わずとるなんて、やっぱり運がない証拠じゃないか?」
「おまけに万引き犯に盗られるくらいだからねー。運がない1位は、ハレハレってことで!」
「いつから運のないやつを決める対決になってんだよっ」
みんなが、わちゃわちゃ言い合う。
そのとき、見覚えのある水色のリュックをかついだ女の子を見た。
リュックの口から、大きなぬいぐるみが飛び出している。
あれ、福引の景品の中にあった……。
自然と、アメくんと顔を見合わせる。
あの子、アメくんの券で当たったんだ!
ていうことは……。
「……わたし、だれが運がいいか分かったよ」
言いながら、アメくんに笑いかける。
アメくんも、おだやかにほほえむ。それから「ひみつだよ」ってかんじで、くちびるに人さし指を当てるしぐさを見せた。
「なんだよ空、だれだよ」
「ごめん。教えられないの」
「アメメも分かってるみたいだけだど、だれなの?」
「ぼくも教えない」
「2人とも、なにをうれしそうな顔をしているんだ? まったく分からない」
アメくんのおかげで分かったかも。
運はよくなくても、ココロがあれば、奇跡はちゃんと起きるんだって……。
「みんな。今日はおわびに、ぼくがごちそうするよ。なにがいい?」
夜雲さんがそう言うと、ハレくんたちがいっせいに手をあげる。
「なら、食べ放題に行く!」
「旅行に行って、いろんなもの食べたい!」
「いや、温泉だ」
「え~。そんな一気に、ぜんぶはムリだよ~。
ていうか、どれも、ごちそうするレベルじゃないおねがい……」
「じゃあ、1番さいしょにモールを出たやつの、願いをかなえてもらおうぜ!」
夜雲さんのこまってる声を聞かずに、ハレくんが走り出す。
フウくんも「わーい」って走り出して、あのライくんまでムキになって、2人を追いかける。
「みんな、走ったらあぶないよ~。分かったから、ぜんぶかなえてあげるから~」
夜雲さんも、あわてて追いかける。
万引き犯はあっさりたおせても、ハレくんたちにはかなわないみたい。
「ぼくらも、行こうか」
「うん、そうだね」
お天気男子たちといっしょだと、ただの休日も、こんなにさわがしくなる。
でも、すごくたのしかった。
アメくんとならんで、笑顔で、みんなを追いかけた。
トクベツ書き下ろしエピソード 『運だめし対決⁈ 最強の運の持ち主はだれ?』 おしまい
『お天気係におねがい!②』も大好評発売中★
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あさつじみかさんの人気シリーズ
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第11回角川つばさ文庫小説賞《金賞》受賞のゼッタイおもしろいシリーズだよ!