『いみちぇん!!廻　二.パートナーの秘密と覚悟』発売を記念して、いろんなお知らせ盛りだくさん♪

グッズの発売を記念して、
あさばみゆきさん書き下ろしSSを大公開！
『いみちぇん!!廻　一.藤原りんね、主になります！』
のあとのお話だよ♪

『旅立ちの贈り物』

　紙の精が、ひふみ学園のプールで騒ぎを起こした、次の日。
　りんねちゃんが、匠兄の工房へ遊びに来てくれる事になった。書道教室の後、その足でモモさまと一緒に来るって。
　二人を待つ間、ぼくはお菓子を用意したり、お湯を沸かしたり、なんだか落ち着かない。匠兄までモップで床を掃除し始めた。朝も掃除してたのに。
「もしかして匠兄、モモさまが来るの、まだ緊張するの？」
　ツッコんでみたら、匠兄はモップの手を止め、耳を赤くしてぼくをにらむ。
「えぇー、ホントに？　結婚したら毎日一緒の生活なんだから、そろそろ慣れなよ」
「バカを言うな。慣れるわけないだろう」
　すっごく堂々と否定してきたけど、うちの兄さん、大丈夫かな。
　――あ。兄さんと言えば。
「紙の精の事件のせいで、すっかり忘れてた。ハジメ兄から預かってたんだ」
　ぼくは寝床に借りてる部屋へ駆け込み、小箱を取ってきた。
　これ、ぼくが東京に旅立った日、ハジメ兄に渡されたんだ。
　なんでも真弓家と共同開発で、ぼくと匠兄の新たな門出のお祝いに、わざわざ作ってくれたんだって。
　でも、とても貴いものだから、主さま方がいらっしゃる時に、一緒に開けるようにと、すごく真剣な顔で伝えられた。
　事情を話すと、匠兄のソワソワしてた空気が、ス～ッと冷えた。
「中身を確かめる」
「いいの？　文房四宝の何かじゃない？」
「樹、思い出せ。ハジメ兄が、わざわざ真面目ぶって見せる時は――、」
「イタズラする時」
「そうだ」
　匠兄は眉間にシワを寄せて過去を反芻し、苦々しい顔。
「ほんとそのとおりだね。うん、開けよう」
　ぼくもためらいなく、ぱかっと箱を開ける。
　中を覗き込んで――。ぼくらは絶句した。

　　　ピンポーン♪

　しかも、まさかこのタイミングで、玄関のチャイム!?
「樹、それ隠せ！」
「わ、わかった！」
　匠兄は廊下へ飛び出し、ぼくは慌ててリビングを見回す。
　だけど、すぐに三人の足音が近づいてくる。自分の部屋に隠そうと思ったけど、もうダメだ。廊下で鉢合わせするっ。
　ドアが開く直前、ぼくはとっさに、箱をソファの下へ滑り込ませた。
「おじゃまします」
「お招きありがとうございます」
　優しく微笑むモモさまと、ひょこっと顔を出し、丁寧にあいさつしてくれるりんねちゃん。
　ぼくは二人の後ろの匠兄と視線を交わし、役目を果たした合図に、小さくうなずいた。

　＊＊＊

　そんなワケで、全て丸く収まったと思ってたんだけど。
　モモさまがそろそろ帰るねって、ソファから身を乗り出した弾み。例のあれが、かかとに当たったみたい。
「何か蹴っちゃった。壊れてないかな。ごめんなさい」
　彼女がソファの下からそれを取り出すのを、ぼくら兄弟は止める手立てもなかった。
　しかも運悪く、ズレたフタの隙間から、見慣れたオレンジ色が覗いてる……！
　モモさまは、「えっ」と小さな声をもらす。
　隣から覗き込んだりんねちゃんも、目を丸くする。

　箱の中身は、りんねちゃんとモモさまの、全身写真付ペンスタンド。

「「わ、わ、わたし!?」」
　二人の顔がカーッと真っ赤に染まっていく。
　こっちは罪悪感と恥ずかしさといたたまれなさで、赤くなるべきか青くなるべきか分からない。
　っていうか、ぼくらは悪い事をしてないんだけどな!?　これでパートナーをクビになったら、どうしてくれるのさっ、ハジメ兄！

　匠兄と二人で、必死の弁明をした後。
　りんねちゃんが「モモお姉ちゃんの筆立て、ほしい！　いつも見守ってもらえるような気がするから」って言い出し、モモさまも「わたしも、りんねちゃんに癒されたいな」って応えて。
　結局、二人が照れ照れしながら、お互いのを持ち帰ることになった。

　でもあれ、ぼくらの門出の祝いの品だったんだよね？
　さすがにそんな事、言えなかったけど。
　………………ぼくも欲しかったな。りんねちゃんスタンド……。

矢神家と真弓家の共同開発！？
グッズ４種　大・紹・介！

『いみちぇん!!』アクリルペンスタンド 直毘モモ

「いみちぇん！！　ふたたび、ひみつの二人組」のカバーイラストをつかったアクリルペンスタンドだよ！
リングが太めだから筆も立てられちゃう！？
『桃花』や『千花』みたいな、みんなのトクベツな相棒をかざってね♪
※ペンの太さにより入らないものもあります。

リングを取り外して、アクリルスタンドにもできちゃうよ☆
飾ったり、お出かけに連れて行ったり、使い方もいろいろ！