※座談会の内容には、一部ネタバレもふくまれているよ! ぜひ、『こちらパーティー編集部っ!』シリーズを読んでからチェックしてね!
ゆのは雑誌「パーティー」の編集長をやっていたけど、それは、深海さん自身が編集長になりたいとおもっていたからなんですか?
ええっ!? いやいや、ちがいます。 「お話にするなら、主人公は編集長にならなくちゃ!」と思っていたんです。 ふりかえってみると、ちょっとは「心のどこかで編集長をやってみたかったのかも?」とも思うけど……編集長って、こまやかさが必要とされる仕事が多いじゃないですか……? 私には絶対できないなって(笑)
でも、ゆのみたいな、明るくて、ノリがよくて、アイデアマンな編集長って、いいよね! いっしょに働きたい!
今、考えてみると、「パーティー」編集部では、こまやかさが必要な仕事は、王子が全部やってくれてるからこそ、成立してるんじゃない……?
文字の校正が得意な灰塚先輩みたいな人もいますしね!
あとはみんなが文句言いながらもがんばる。 働いてて楽しそうな編集部だよね。
そこらへんは、自分の経験が生きてよかったなと思うんですけど、ときどきその経験が出すぎちゃうことがあって……。 Oさんにはよく「実際の編集者は、本を出すときにいろいろ下準備が必要だけど、ゆのが根回し(編集部注:うまく物事がすすむように、まえもって関係者に相談しておくことだよ!)しちゃダメだよ!」って言われて。
そういえば、何度も言ったね。 「新聞部に交渉しにいこう!」とか「事前に理事長に伝えておいた方が……」みたいに、しっかり準備しちゃうんですよ。 でも、ゆのはもっと直球の子じゃん!って(笑)
そのたびに、「はっ!そうでした!」って。 あと、巻数を書いていくと、ゆのたちの雑誌作りのスキルが、すごくあがってる気分になってしまって。 でも、実際は時間がそんなにたってないから、そんなにあがってるハズがないのに・・・・・・なんてことも。
そこで、Oさんのストップがかかってなかったら、ゆのが「すごくやり手の編集長」にグレードアップしていた可能性が……?
社内の根回しは編集者の大事な仕事のひとつだけどね!(笑)
ぼくは、新聞部の灰塚さんとカレンさんかな? 自分もむかし新聞記者だったから、特に思い入れがあって。
新聞記者の仕事について、わからないことをOさんに聞いていました。
2人とも、登場したときは脇役だったのが、どんどんメインキャラになっていって。 ちょっと感慨深かったよ!
灰塚先輩を書くのがめっちゃ楽しくて、登場する機会が増えていきました。
わたしはアシュラム様ですね! だから担当した13巻の最後の行、えええええ!!?これどうなっちゃうんですか!??? ってめちゃめちゃあせりました。
わたしは、やっぱりゆのが一番好き! カワイイし、がんばってたし、感情移入しやすいですよね。
わたしは逆に、しおりちゃんの不器用なかんじが好きです。 「すなおじゃないな~、そんなところもかわいいな」と思ってて。 ときどき、ちょっとすなおになると、「よくやった! がんばった!」って応えんしちゃう。
たしかに! わたしのごひいきは、王子ですかね。 「無敵のイケメン」だったはずなのに、シリーズが進むほどに、だんだん残念な感じになっていったあたりが、気の毒&かわいくて(笑)。
もともと、「ヒロインのことを溺愛(できあい)してるけど、うまくいかない」みたいなシチュエーションが、好きなんですよ。 王子の顔に「母」っていう漢字がめり込んでるイラストがありましたよね。 あれが好きで!
あれは、私がそういうイラストをお願いしたんですけど、榎木さんが見事に絵にしてくださって……あんな扱いをされているヒーローは、かなりめずらしいんじゃないかな(笑)
王子と言えば、15巻で……じつは私の王子へのキモチがすこし変化してしまって……。
だって、シリーズ開始から8年もあって、作者の私の脳内で、ゆのと王子をどうやってくっつけようか、いろんなバリエーションで考えつくしちゃったんですよ。 あと、14巻のラストあたりの、トウマ先輩とゆのの、作家と編集者のキズナを描いたシーンが、自分でかなり気に入ってしまって。 「……これはトウマ先輩と結ばれたら、ゆのはすごく幸せにしてもらえるのではっ?」と考えはじめたら、止まらなくなりそうに……。
……でも、16巻を書いてたら「やっぱり、ゆのは王子とくっつけないとね♥」という気持ちになれたので、よかったなって思いました!!
ギリギリのところだったのね。 よかったね、王子……!
ただ、結局、結婚はしてないので、まだ安心できないかも……なんて。(てへぺろ)
そういう意味では、16巻の最後の最後までゆのと王子のジャマをしまくったトウマ先輩がいてくれて、よかったですね!
私は、シリーズを書いているあいだに、ごひいきのキャラがどんどん変わっていって……カレンさんや灰塚先輩がいちばん好きだった時期もあるし、もともとは王子が好きで書き始めたし、ゆのが主人公じゃなきゃ書きつづけられなかったし……そう考えると、結局みんな好きなんですよね。
『こちパっ!』シリーズを書く中で「編集者っていうお仕事は、これから先、どうなっていくのか?」みたいなことも考えるようになって。 お話を書きはじめたころには、こんなことを書く日がくるとは思ってもみなかったです。
そうですね、この8年の間にも、たとえばパソコンやスマホからつばさ文庫が読めるようになったり。 雑誌を読んでいる子も減ったりしましたね。
私が編集者だったころと、今の編集者の仕事はちがっていて。 みんなが大人になるころには、きっともっと変わっていると思う。 でも、みんなへの届け方は変わるかもしれないけれど、楽しいものを作って、人をワクワクさせたいっていう、根っこの部分は同じだと思う。 そういうことを、16巻を書きながらYさんと熱く話してて。
ゆのたちなりに、「雑誌のあり方や、編集者の仕事って変わっていくのかな?」とか「変わっていく中で、どうやっておもしろいものを作っていくのかな?」みたいなことを一生懸命考えていますよね。
なので、もし、編集者になりたいなって思う読者の方がいたら、この先もいっしょに考えてもらえたらいいなって思ってます。
つばさ文庫の『こちパっ!』は完結しましたけど、「パーティー」はこれからも続いていきますからね。
とっても元気な『こちパっ!』のみんなは、また『スイッチ!』シリーズにも出てくるかもしれないから、これからもよろしくね!
『こちパっ!』のおかげで、「将来、編集者になりたい」って言ってくれる読者さんも増えましたよね。
読者さんが、すごく力作の手作り「パーティー」を送ってくれたことも……!
みんな「パーティー」編集部の一員だから、「ゆのたちといっしょに、みんなもクリエーターとしてがんばろうね! ここからは、みんなが作ってね!」って。
今回『こちパっ!』が完結したけれど、『スイッチ!』シリーズはまだまだ絶好調でつづくんだよね。 さらに、その先の新作は…?
イメージはぼんやりとあるんですけど、まだ、どう変わるかわからないかな。
2代目担当のぼくから深海さんに言いたいのは、「まわりに影響されすぎずに、深海さんらしい作品を書いてほしい」ってことです(きりっ)。
深海さんはときどき「いま、こういうのが読者のみんなに流行ってるよね?」って、心配しすぎることがあるから。 でも、深海さんは『スイッチ!』シリーズのときみたいに、自分の「おもしろいと思うもの」を追求したほうが、絶対にいいと思う。 『スイッチ!』のときは、プロット(編集部注:お話を作るとき、じっさいに執筆するまえに考える物語の構想のこと)を読んだだけでキャラが生き生きしてるのが伝わってきて、「あ! これはいける!」ってすぐに電話した記憶が……。
どっちにしても、深海さんが書くお話には、「笑えて、ときめく」が絶対入るから、期待は裏切られないはず!
ファストフードみたいな小説が書きたくて! 健康になれる「正しい食事」じゃないけど、ポテトフライみたいにおいしいお話が(笑)。 なるべく、手軽にサラッと読める、たのしくて一気読みできるものがつくりたいなと!
みなさんに楽しんでもらえるような新シリーズ作り、がんばります!
あ、『スイッチ!』の原稿の残りもお待ちしてます! もう〆切すぎてますから!(強)
スペシャル対談は楽しんでもらえたかな……?
「パーティー」編集部は永遠に不滅っ!
これからも、みんなで「パーティー」編集部を盛り上げていってくださいね!
そして、深海ゆずはさんの別シリーズ『スイッチ!』の最新10巻も準備中だよ! お楽しみに!
みんな、これからも大好きだよーーーーーっ!
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